△男は、
吸い込まれて行くような…
透き通る大きな目をした、
おとなしい赤ん坊でした。


時はバブル

この頃まで、
夫の仕事も、順調で…

絵に描いたような
「幸せな若い家庭」でした。

△男の「障害」が、わかるまでは…


「何かおかしい…?」

2才前頃から、
つのり始めた不安は、日に日に大きくなり…
2才8ヶ月の時、保健所へ相談に行きました。

今でも、
その日の事を忘れることは、ありません。

「乳癌」と宣告された時より、
ずっとずっと、つらかった。

「輝くような未来を持っている」
そう信じていた△男が「障害児」だなんて…

何かの間違いかも…

なぜ△男なの?
何かバチがあたるような事をした?


△男と共に歩んで行く「未来」は…
どこにも「幸せ」なんか見えなかった。

「底なしに暗い未来なんか見たくない!」

32才…未熟な母親だった私は…
その晩…
一瞬でしたが、
親子心中を思いました。

でも…

愛らしい△男に、手をかける事なんて…
とてもできなかった。

そして…

傍らで寝ている〇子の寝顔を見た時、
我に返りました。

「私は、母親なんだ。何が何でも、子供達を守らなくちゃ!」


△男と共に「療育センター」へ通い…
夫と相談しながら…
手探りで「自閉症児の子育て」を始めて行きました。








チューリップオレンジ裕子