扉の前で
一人たたずみ ふと思う

思い出の中に 幼い私の姿が見える
小さなスキップをくり返す
その お出かけ先は何処?
海水浴?
家族旅行?
入学式?
クリスマス会?

あれから
幾度 私は この扉を開けたんだろう?

駆け落ちをする日
開けたのも この扉

生まれたばかりの
我が子への 責任の重さに
震える手で
開けたのも この扉

我が子の障害を 受けとめられず
泣きながら 飛び出したのも
この扉

癌の手術に臨むため
開けたのも この扉

子供達の独立を 見送りながら
この扉の陰で 涙した

扉の向こうには
いつだって
救いと希望が 待っている

たとえ
死を待つ日々であっても

おもいっきり 泣けばいい
寂しい時
せつない時
悲しい時
苦しい時
痛い時
つらい時

そして また
私は 扉を開ける

開ければ きっと
青空の下