宅浪2年…
籠城していた、×男の部屋は…
窓枠に、カビが生えていた。
机の上は…
参考書、赤本、模試のプリント等が、いつも山積みで、よく雪崩を起こした。

この4月…
大学の学生寮へと旅立つ時…
×男は、必要な物以外、それまで大切にしていた思い出の品も含めて、すべて処分していった。

「コイツ、本気だナ!もう、戻ってくる事はないナ…」
と、直感した。

今、×男の部屋は…
キレイに片付けられ…
×男の物は、何も無い。

けれど…
掃除の途中で、手にした古い写真立て…
おどけた顔で、写っている小さな×男…
少しタレ気味の大きな目、ふっくらとした頬…
黒渕メガネで鋭い目付きの今の×男と、同一人物とは思えない。





母親って、バカだナ~
×男が好きだったお菓子を見ると、つい買っちゃう。
たまに家に来た×男が帰る時、ジャマなのを承知で、持たせる。
いつまでも…
幼稚園児じゃあるまいし…

夕暮れに、外出先から戻る時…
つい、×男の部屋を見上げる。
「電気が消えてる…そうか、×男は、巣立ったんだったナ!」

もう8か月も過ぎたのに…
いまだに、チクリと寂しい。

でも…
彼の巣立ちが、心から嬉しい。

仕送りもなく、初めての一人暮らし…
トラブルが無いわけがないが…
彼は愚痴は言わない。

必死で、頑張ってる君が愛おしい。


もうすぐ、また、帰ってくるかナ…?
つまらないお菓子、また、受け取ってネ!



母ちゃん💯💮