幼かった頃の事を思い出す事がありますか?


捨ててしまった日々を…

私は、今頃になって、懐かしく思い出す。


鎌倉の広大な祖父母の家

私を可愛がってくれたお手伝いさん

青山のオシャレな叔母の家

優しかった物理学者の叔父


結婚によって、私の生活は大きく変わった。


18才の初恋…

他に、付き合って下さいという人も、いたのに…

いくらでも、ハイソな見合いの話があったのに…

なんで、そんなに、夫にひかれたんだろう…?

恋は不思議…


両親の反対を押し切って24才で駆け落ち…

27才で長女が生まれ…

30才で自閉症の長男がうまれ…

36才で次男が生まれ…


ずっと、ひた走ってきた。

長男の事、借金苦、私の難病、両親との軋轢

もつれた糸を、そのまま抱え込むようにして、走り続けてきた。


解決できないまま、両親は亡くなった。

私の余命も限られている。


亡くなった両親も夫も、誰も悪くない。

全ての発端は、この私…

みんなを巻き込んでしまったんだな…

そんなふうに、思えるようになった。


でも…

人生の終わりに…


良かったと思う

一度でも、そんなふうな恋ができた事…

そのおかげで、子供達と出会う事ができた。

自閉症の長男を育てる事ができた。


いまさら、ゴージャスな生活をしたいとは思わない

(アレはアレで、堅苦しいもんだしナ~)

お金は、足りる分だけあればいいの…


ウ~~ン

でも、ヤッパ「癌」はいらない!!




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