抗癌剤治療中ではあるが…髪も抜けず…
潰瘍性大腸炎ではあるが…今は、ぽっちゃりと…
骨転移バリバリでも…今は、杖もなく…
でも…元気そうな私が「末期癌」とわかると…
みんなサーッとひく。何と声をかけていいのかわからないんだろう。
でも、「かわいそうな人」「不運な人」と思われてるのは、何となく伝わってくる。
その上、息子が「自閉症」とわかれば…
だから…近しい人以外、伝えてこなかった。
「本」もペンネームで出版した。
でも、今月半ばにはN○Kの取材が終わり…末頃には、ニュース番組の中で紹介される。ほんの小さなコーナーとはいえ…近所の人が見て「アッあいつだ!」とも思うだろう。
家族に迷惑をかける事になるのは、承知している。
それでも、私は、伝えたい事がある。
「障害」という事についてだ。
息子と共に街へ出れば、必ず幾度か、蔑みの視線にあう。
ジーッと息子を見つめられたり、息子と私の杖を交互に見て、ため息をつかれたりする。
「社会のお荷物親子」とでも、思っているんだろう。
こういう時のために、私はいつも、心の中に<卑>のハンコを持ち歩いている。
こういうヤツラのおでこに<卑>とペタッと押すと、スッキリする。
「弱者」を差別する人というのは、おそらく、自分に自信がないんだろう。本当の意味で愛された事がないのかもしれない。いつでも、人を上下関係で判断している。だから、自分より、明らかに下と思われる人を見つけて、優位に立とうとする。こういった考え方から抜け出せない限り「幸せ」からは、ほど遠い。
でも、偉そうな事は言えない。
息子の障害がわかるまで、私こそが、そういう人間だったんだから…
26才になった君は…
日々を楽しんでいる。
わずかな能力を総動員して…
家族を守ろう、周りの人達の役に立とうとしている。
君の障害がわかった時…
「私が君を幸せにする」と、意気込んでいたけど…
「幸せ」にされたのは、私の方だった。
「障害」は…
常に澱んでしまう社会へ投げ込まれる小石…
波紋はひろがって行く。
気づかせてくれるものは何だろう?
それは…
一人一人違うはず。
裕子