1. 主人公:すべてを「肯定」する少年・天良木光定
主人公の高校2年生、天良木光定(あまらぎ みつさだ)は、少し変わった少年です。
彼はどんな人のコンプレックスも、独自の視点で「肯定」してしまいます。
一見おっとりした「クラスのオアシス」ですが、実は「他人が気づかない微細な違和感に気づく」という、異能バトルにおいて最強の素質を持っていました。
『パラショッパーズ』1巻(小学館)より引用

 『パラショッパーズ』1巻(小学館)より引用


2. 日常を壊した、たった一度の「誤操作」
あらゆる異能をポイントで売買できる謎のアプリ「パラショップ」
「わたあめを作る能力」のような無害なものから、「靴で天気を操る能力」といった超常的なものまで、リストには無数の力が並び、強力な能力ほど売買するポイントは高くなります。
初期持ち点は300ポイント。このポイントを増やす唯一の方法は、他のプレイヤーを倒して奪うこと。そんな血生臭いデスゲームに、高校生の天良木光定(あまらぎ みつさだ)は、あまりにも不運な形で巻き込まれます。
クラスのオアシス的存在である彼は、スマホに届いたパラショップからの怪しい通知を「危ないからやめておこう」と無視しようとしました。しかしその瞬間、人とぶつかった拍子に画面をタップしてしまうのです。
この不可抗力による「購入」が、彼の運命を激変させることになりました。

3. 最弱?の初期能力:「藁を1本だけ動かせる能力」
スマホの誤操作で、不可抗力にプレイヤーとなってしまった天良木。
彼が手にした能力は、少年漫画の主人公のような火炎でも怪力でもなく、「藁(わら)を1本だけ動かせる能力」
「え、1話で打ち切り?」と心配になるほど頼りないこの能力で、彼は過酷な戦いへと放り込まれます。

4. 最初の壁:卑劣なビギナー狩り・西園寺
プレイヤーとなった瞬間、天良木を襲ったのは西園寺公徳(さいおんじ きみのり)
彼の能力は「輪ゴムの威力を変える能力」。単純ながら、最大180kgの衝撃を放つ恐ろしい力です。
初心者を狙う「ビギナー狩り」の魔の手が、右も左もわからない天良木に迫ります。

 『パラショッパーズ』1巻(小学館)より引用


5. 「藁」を武器に変えた、驚異の分析力

スマホの誤操作で手に入れてしまったのは、「藁を1本だけ動かせる能力」。

絶望的な状況下で天良木が取った行動は、あまりに冷静でした。


「藁……イネ科植物の茎が乾燥したもの」


彼は逃走の最中、道端に生えていた草を引きちぎり、それが自分の能力の対象になるか、どう動くかを即座に検証します。ピンと直立させ、トグロを巻き、結び目を作る。この理系的で徹底した現状把握こそが、彼の真の武器でした。


6. 閉鎖空間への逃走:ビルを舞台にした心理戦

180kgの衝撃を放つ輪ゴムを操る西園寺から逃れるため、天良木はあえて建物内へと逃げ込みます。

遮蔽物があるビル内では、西園寺の攻撃は建物を破壊しかねないリスクを伴います。しかし、それは西園寺にとっても織り込み済み。

「結局逃げ場は・・・“屋上“しかねぇよなぁ。」

西園寺の言葉通り、天良木は屋上へと追い詰められ、絶体絶命の標的になります。


7. 異能バトルの醍醐味「能力の買い換え」

天良木に向けて撃たれた至近距離の攻撃が何故かすべて外れ、弾切れ(輪ゴム切れ)を起こした西園寺。

その隙に隣のビルへ跳び移るために走り出す天良木。

しかし、ここからが「パラショップ」の恐ろしいところです。西園寺は、その場でポイントを使い「能力の買い換え」を敢行。新たに「相手の体を強制的に攣(つ)らせる能力」を手に入れ、逃げる天良木の足を封じます。

「後出しジャンケン」が成立するこのゲームの理不尽さが、絶望感を加速させます。


8. 逆転の結末

足が攣りながらも、なんとか隣のビルへ跳び移った天良木。

しかし、追撃のためにビルを跳び出した西園寺に対し、天良木は静かに言い放ちます。


「跳んだな。オレの勝ちだ。」



 『パラショッパーズ』1巻(小学館)より引用


次の瞬間、空中の西園寺の右腕が「ぐいん」と逆方向に引っ張られました。
天良木は屋上に入る際、あらかじめドアノブに藁を忍ばせ、西園寺が触れた瞬間に手首へ巻き付かせていたのです。この1本の藁が、射撃の瞬間に腕を引き銃口を逸らせ、そして跳躍の瞬間にバランスを奪った。
1本の藁が、180kgの衝撃を放つ「凶弾」をねじ伏せた瞬間でした。

9. これはまだ「練習」に過ぎない
西園寺を退けたことにより手にした1750ポイント。
安堵する天良木のスマホに届いたのは、戦慄の通知でした

「以上で『チュートリアル』は終了となります。これより72時間後に所持ポイントが5000以下のプレイヤーは死亡します」

倒さなければ、自分が死ぬ。
平和な日常から一転、天良木は「5000ポイント」という命のノルマを課せられたデスゲームの本戦へと引きずり込まれていくのです。


 『パラショッパーズ』1巻(小学館)より引用


『パラショッパーズ』感想まとめ

昨今のマンガ界隈では「強力なスキル」で勝ち進めていく主人公が人気ですが、本作はその真逆を行くからこそ最高に熱いんです。

初見では「いや、何ができるんだよ!」と突っ込みたくなるような超マイナー能力ですが、これを駆使して強敵を翻弄する姿には、ページをめくる手が止まりませんでした。

「そんな使い方があったのか!」という驚きの連続で、読んでいるこちらまで頭が良くなった気分になれます(笑)

読者の期待を軽々と超えてくる福地先生、マジで天才すぎます……!



「不自由」だからこそ面白い、能力バトルの醍醐味

あの名作『うえきの法則』の福地先生の作品。

「ゴミを木に変える能力」をあれだけ面白く描いた先生ですから、この「藁」という縛りの中で話を広げる手腕も納得ですよね。

登場する他のキャラクターたちの能力も一癖も二癖もある変なものばかりで、「次はどんなヘンテコな能力が、どうやって牙を剥いてくるんだろう?」とワクワクが止まりません。



パラショッパーズ』は、機転と知略でどん底から成り上がっていく物語が好きな人にはたまらない一冊です。

「藁1本で世界は変えられるんだ」と本気で思わせてくれるこの面白さ、ぜひ皆さんも体験してみてください。本当におすすめです!