土曜日の夜、虫の知らせというか
「なんだか、風呂の時間が長いな…
でも見に行って嫌な顔されてたら、私も行為も台無し」
縁起でもないこと考える私が悪いわ♪♪
と、8時からのソフトバレーへ出掛ける準備でもしようと着替えていたら、
旦那が走ってきて
「かあちゃんが風呂で倒れた!! 救急車呼んでも良かろうか!!」
「呼ばんばさ! 呼ばんね!!」と、救急車をよびました。
口は湯から、出ていて溺れたわけではなく、意識がない
引き揚げたら、吐いたというのです。
風呂に行くと、
座らせていた姑を旦那が引き揚げていました。
意識が朦朧とした姑は、猫を持ち上げたように、
四肢は、だらりと伸びていて
[とうとう来たんだな…]と、今生の一番嫌いな人を触ることに身震いしました
しかし、次の瞬間
私が来たことに気がつくと、目が開いて
後ろから抱えられている姑は、風呂の手摺りを両手で
力一杯握りしめました。
旦那が後ろから、「母ちゃん離せ!!母ちゃん離せ」と言い、
掴む力が強すぎて、運ぶことができません。
私は、手首をつかんで手を放しました。
朦朧としていたはずの姑は、私に邪魔するなというオーラを放っています。
・・・こいつは大丈夫だ。救急隊に気の毒と、私は想いました
全裸なので、なにか着せなければ寒いだろうと
着替えを探すのが大変でした。
とりあえずバスタオルと毛布で体を巻きました
普段から
元気なくせに、オムツを履いています。
咳やくしゃみも豪快で下品、気をつけようとしないので年齢的に漏れるのもありますが
とにかく面倒くさがって、トイレに行くより畑や庭で小水する人ですから
故意にオムツにするのです。オムツの中に「3回する」と、近所の人に言っているそうです。
オムツは容易に探せたのです。すぐに履かせました。
全裸にオムツ・・・。
姑が落ち着いてくるほど、全裸にオムツだけとは笑いがこみあげてきて
・・・でけぇ赤ちゃんかよ!! ダンシングベイビーの姿も思い出してしまいます。
姑の場所からは、
下着と、服を探しても汚れたものや破れたものを
そこらに積んであるばかりで、見つかりませんでした。
ゴミ屋敷となんら変わりません。
出てくるのは、使用後のオムツばかりです。
大きなゴミ袋に2つ分になるほど
洗ってあるはずの洋服の中に、隠すように置いてありました。
オムツをしているのは知っていましたが、本人は隠せていると思っているのです。
私に対しての対抗心のプライドだけは高く、弱みをみせたくないのでしょう
毎日のオムツをどう処理しているか、全く私には見せませんでした。
洗濯機の中が、大量のゼリーまみれになった事もあります。
それでも、ゴミ回収の日に出すそぶりもありません。
いつかどこからか、大量に出てくるだろう、死んでからしか探せないかもしれない。
・・・今回、入院にでもなれば、汚い衣服、オムツ(使用頻度にしたら本の一部)を捨てて
新しいものを購入して、婆も気持ちよく過ごせるのではないのかと
嬉しくなってきました。
救急隊も到着して、優しく婆に質問します。小声で話しているから
少し聞き取りを間違うと、大きな声を出して訂正しました。
「・・・なんだ、げんきじゃねーか」と、私は軽く目まいがしました。
殆ど、ろくな服もなく、バスタオルや毛布の裸で搬送になりました
検査するし、入院なら入院着レンタルになるだろう・・・別にいいんじゃないと。
病院へ付き添うのは一人という指示に、救急隊の人は女である私を見ましたが
私は、洋服を探すので、息子である旦那に行かせることにしました。
救急隊の方は、少し不思議のようでした。
介護でもなさそうなお婆さんに、なぜオムツだけを履かせたのか
なぜ女性が付き添わないのか・・・
救急車が来てから、近所の人が出てこられた時も
私一人が、大丈夫ですよ、元気ですよ、お湯で溺れたわけじゃ無いしと、笑顔で接し帰ってもらって
そんな私はちっとも、心配そうではなかったのですから。
なんと冷たい嫁だと思ったことでしょうね
・・・・いやいや、冷静だったということですよ
旦那の落ち込み様は、可哀想なくらいだったので、「大丈夫だよ」と、
本当のことを伝えるけれど、「冷たい」と思われても損なので言いたくなくなりました。
倒れた人が、手すりを力いっぱい握れますか??
救急隊員の問いかけに、訂正しますか??
・・・できませんよ、そんな芸当
救急車が病院へ行く間
またまた洋服の捜索が始まりました。
良さそうなものを、集めて私も救急病院へ向かいました。
優しく問いかけて下さる医師や看護師の方々に
重病人よろしく、弱弱しい声で答えます。
血液検査も、CTも異常ありませんでした
点滴ひとつする必要はなかったのです。
帰ることになりました。
高齢な事もあり、私は一晩は泊まることになると思いましたが
それくらい元気だったという事でした。
病院着から、洋服へ着替えさせているとき
医師や看護師さんたちには、聞こえなかったでしょうが
私が持っていった下着に「半袖や・・・」と、小声で文句を言いました
・・・おうおう元気じゃねーか
車イスをつかい、乗用車に乗せてもらうまでは歩けない人でした
しかし、自宅に戻り、車が降りるとき旦那が優しく介助しましたが
玄関に入った時には、歩き出しました。
ご飯もバクバク食べ始めました。
大声で話している声も聞こえました
・・・翌日
旦那や、私の前では重病人のふりをして大人しいのですが
爺の前や、猫を追い払う大声は、うるさいくらい元気なのです。
ゆっくりしておけ ねとけ
なにか家事をし始めても
旦那が言うので、寝っころがって、テレビ
テレビに飽きたら、ご就寝します。
身体に悪い事ばかり・・・
あんまり大事にすると、却ってよくないよ!!
倒れたって言っても、手すりを握る力とか、
吐いたのだって、風呂から引き上げる時みぞおちを抱えたでしょう。
寝ていたから、ちょっとお湯に当たっただけだよ 大丈夫なんだよ
というと「話しかけていただけだ」と怒りました。
喧嘩しても損なので、
本当なら婆のためになることだけれど、良いことは言わずに
旦那や婆が、自ら甘やかして、たとえ歩行困難になろうとも
知らないふりを決め込もうと思います。
介護ね・・・ 私、農作業が忙しいもん。
今まで、赤ちゃんにオムツを使えば、いちいち文句言った人。
爺婆が散らかしたものでも、家にいるもの片づけろ
嫁としての才覚がないなどと、えらそうに言った人。
家にいるものに、ちゃんとやってもらおうじゃないか・・・
二人で助け合え!!
今回、頭のCTの検査では、倒れたという異常は見られなかったのですが
年相応の、脳の委縮があると判明しました。
しかも一部が、ごそっと縮んでいました。
マダラ呆けなんだわね・・・変だもんね 婆。
私は、鬼嫁です。そうさせたのは、爺婆です。
普段から死ね死ね思うから、とうとう悪いことが起こったのだと
反省も過ったほど、まだ優しさは持ち合わせているようで
仏壇にも、「風呂場の早期発見で助かりました」と報告もしました。
鬼嫁・・・それでいいのだ
今日も婆、元気。
私ら夫婦と子供の前だけは、おとなしい。
私を見ます。
でも、私は目もくれないです それでいいのだ