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神戸RANDOM句会

シニアの俳句仲間の吟行・句会、俳句紀行、句集などを記録する。

 

 わくらばや沖には白き鱶あそび 橋 閒石

第24回神戸RANDOM句会は、「海峡スケッチ句会」。明石港から船で海峡をわたり、淡路島の岩屋で野外スケッチに挑戦しようという句会です。

句会当日の10月24日(月)は、雲一つない青空です。

集合場所のJR明石駅へ須磨、垂水、舞子と電車が進むにつれ、車窓の淡路島と明石海峡大橋は姿を変えてゆきます。

この橋の完成を見ずに1992年に89歳で亡くなった神戸高商(現・県立大)・親和女子大英文学教授で、神戸の俳人・橋 閒石の句が浮かびました。

明石~淡路・岩屋のスケッチ―――――

集 合

  

集合は午前8時50分、JR明石駅改札口。

本日の参加者は、さくらさん、だっくすさん、つきひさん、へるめんさんと女性4名。男性は蛸地蔵さん、稲村さん、英さん、播町さん、ひろひろさん、見水さん、蝋芯(ろうしん)さんの7名で総勢11名。常連の一風さん、どんぐりさん、弥太郎さん、ろまん亭さんらは所用あり今回欠席。

蝋芯さんは稲村さんに誘われて句会初参加。2004年発行ランダムマガジン第7号の「オータムコンサートin柏原」にフルートの奏者として登場して以来12年ぶりのランダム参加。俳号の「蝋芯」は「蝋のように仲間に溶け込むが、芯を持って生きたい」と命名。歳時記も用意し意気込み十分ですが、今回は温泉・宴会付句会に魅かれたよう。

 胴伸びるときの無想や秋の猫 閒石

JR明石駅を出て淡路島の岩屋への高速船「ジェノバ・ライン」が発着する明石港まで歩きます。中心街は再開発で生まれ変わってお洒落な街に変身。魚の棚まで来ると懐かしい明石です。明石は水産加工業が盛んで、さんまの開きは明石の特産品です。

明石港

 

 

「ジェノバ・ライン」乗り場へ。乗船料は1人500円ですが、幹事さんは11枚綴りの回数券を4,600円で買い(ラッキー!)、全員に配付。

明石港は、マンション群に囲まれながら古い灯台もあり、昔の面影を残しています。湾内には鰯の群れが回遊し、カモメやシラサギが飛び交っています。午前9時20分に出港です。

今朝の元祖・ランダムメンバーの釣師・波平さんのブログを見ると、今日は北北東の風で、潮の流れと風向が逆。明石海峡に近い海域では波が半端じゃないとのこと。船は揺れるのか、絵に描こうとしている海はどんな色なのか、気になります。

高速船

  

 心地よい潮風に吹かれ、エンジン音を聞きながら、大橋をくぐって13分間の船旅。

明石海峡大橋は全長3,911m、中央支間1,991mの世界最長の吊り橋で、主塔の高さは海面上298.3m。1986年に着工し、建設費は約5,000億円。1995年に阪神・淡路大震災が起きますが、1998年に完成し開業しました。

淡路島側の橋付近の岬と浜はかつて松帆の浦と呼ばれました。古くから潮待ち・風待ちの地で、歌枕になっており、藤原定家が小倉百人一首に自ら選んで入れた歌は有名です。

 来ぬ人をまつほの浦の夕なぎに焼くや藻塩の身もこがれつつ

岬の西方には1871年に設置された江埼灯台があります。

船のデッキでは、自転車ツーリングのカップルがしきりとカメラのシャッターを切っています。午前9時33分岩屋港着。

道の駅あわじ

岩屋港で本日の温泉入浴・昼宴会・句会会場となる旅館淡海荘の送迎バスが待ってくれていました。奇岩の絵島をちらっと見て、海沿いの道を松帆アンカレイジパーク「道の駅あわじ」へ。午前10時に到着。淡海荘とは隣接しています。

 

これから1時間半~2時間で、全員分100円ショップで調達した同じ画材(B5サイズのスケッチブックと18色のクレヨン)で野外スケッチを1枚描き、俳句を5句作るのが本日の課題。

11人分の画材を準備したのはさくらさんですが、1つの店では揃えられず他の店も回って探し、今日も重いのでキャリーケースに詰めて運んできました。

 水澄むや空に聳ゆるものばかり 閒石

蕪村や子規など絵心のある俳人はいますが、今日のメンバー、野外でクレヨンを使うのは小学校以来何十年ぶり。最初に、公僕らしく見水さんが画像を元に描いたクレヨン画を見せ、メモを配ってミニアドバイス。

 ★100円ショップのクレヨンで描く風景スケッチ画の基礎の基礎5か条★

  ①   安全で落ち着ける場所を確保します。

  ②    描きたい「構図」を決めます。

  ③   下描きをします。

  ④    クレヨンで悪戦苦闘します。

  ⑤   仕上げをします。

月曜日の午前10時なので、広い公園は人もまばら。それぞれ元気よく場所選び。海の近くは強い潮風が吹いています。

 海見ゆと青き林檎の下をゆく 閒石

松帆アンカレイジパーク「道の駅あわじ」は、明石海峡大橋の真下に広がる公園。アンカレイジは吊り橋の両側の重しで、本州側は舞子にあります。この公園から見上げる橋と行きかう船の眺めは素晴らしく、また工事で使われた機材をモニュメントとして展示。パーク内の「道の駅あわじ」には、食事コーナーや土産物コーナーがあります。

食事コーナーでは、生しらす丼、海鮮丼、淡路牛バーガー、淡路島玉ねぎの料理が好評。土産物コーナーでは、海産物や玉ねぎ、ビワなどの農作物と、それらを使った食品やお菓子を販売。

農作物の販売所をのぞくと、「特選玉ねぎは完売致しました」の表示が出され、収穫したばかりの新米やサツマイモが並んでいます。

 

 秋潮に靴濡し来て花を買ふ 閒石

幹事のさくらさんとだっくすさんは、早速、土産物コーナーで賞品選びをされていました。

30分ほど吟行を兼ねて歩き回り、気に入った場所に落ち着き、絵を描き始めます。

午前11時を過ぎた頃から、だんだん客が増えてきて、絵を覗き込む人もいます。

「お絵かきですか。いいですね」

「下手ですけど、今日はそんな集まりなので」

やはり悪戦苦闘。

蝋芯さんが立ち寄り「午前11時30分からの淡海荘の温泉入浴に行く」というので、こちらも片付けて淡海荘へ。

淡海荘

岩屋温泉の淡海荘は、眼前に明石海峡大橋が臨め、風呂や部屋から、刻々と移り変わる雄大な光景が楽しめる旅館。本日の昼はわがメンバーだけの貸切のようです。

部屋に荷物を置き、タオルを受け取って男湯へ。露天風呂もあります。最初は蝋芯さんだけでしたが、播町さん、ひろひろさんも入ってきました。

 

12時、全員が集まり、豪華昼食。部屋には「海客萬来」の額が掛けられ歓迎してくれています。

料理は淡路島の新鮮な刺身や天ぷら、玉葱と淡路牛のすき焼き風ひとり鍋も盛り込まれ、夕食並みのボリューム。ビールで乾杯。

 秋茄子に目のない男ゆめを見ず 閒石

青空の下、歩き回ってお絵描きをし、温泉にも入ったので、アルコールも口もよく回ります。

今年の夏の異常気象や先日の鳥取地震、亡くなった平幹二朗の話などで盛り上がり、句会初参加の蝋芯さんの近況報告に。

蝋芯さんは子供の頃から本格的に音楽を学び、趣味でフルートの演奏を続けています。最近、5年がかりでブラームスの大曲「ドイツ・レクイエム」を翻訳し、熊本や東北の被災者に思いを届けるコンサートに取り組んでいることはマスコミでも紹介されました。「句会で言葉を磨きたい」と今回の抱負を語ります。

 ひとつ食うてすべての柿を食い終わる 閒石

淡海荘句会――――――――――――

 午後1時に、宴会場の隣の句会場へ全員移動し、句会の始まりです。

午後1時15分までに、スケッチ画と各自5枚の句を書いた短冊を提出し、短冊をばらして選句表に清書します。

清書した選句表を、受付の事務所で人数分コピーしてもらいます。

全員に選句表を配付し、午後1時45分から15分間で、今回は各自、自作以外の気に入った5句を選びます。特選1句2点、その他4句は1点で、各人の持ち点は計6点。参加者11名の総点数66点の争奪戦です。

 

午後2時、つきひさんの進行で、特選句から順番に発表。作者も明かされます。

珍句・迷句にはテレビ番組の「プレバト」のような応酬で爆笑。句会は午後3時過ぎに終了しました。

熱いお茶と、つきひさんからの差し入れの和菓子で一息入れ、各自が描いたスケッチ画を並べて、しばし鑑賞会。どの絵ものびのびした味のあるいい出来です。これから皆さん野外スケッチがやみつきになるかも。

 

 蝶になる途中九億九光年 閒石

 

名画・選句の発表

今日はどんな名画と名句ができたでしょうか。句の数字は句会での得点、は特選句です。

ひろひろ

 

八十姉(やそねえ)やお祝句会深し秋 

びり競う友欠席や秋句会 

明石港鰯大群待つかもめ ②(数字は句会の得点)

架橋・船一衣帯水淡路秋 

明石蛸足をつないで架橋なり 

 

蛸地蔵

 

海峡の潮風浴びて秋日和 ①

秋日和海と大橋天晴れや ①

秋日和松帆の浦の今昔 ①

秋空を切り取る大橋レジェンド 

千鳥鳴く淡路の秋はいづこかな 

 

さくら

 

秋うららリュックに画材と句集入れ ③は特選句)

風を連れて淡路へ明石の門 ②

スケッチに心踊るや野菊晴 ③

薄紅葉淡路の山は高からず 

秋空にぶら下がりをり観覧車 ①

 

へるめん

 

古灯台確(しっか)と明石の浦の秋 ①

海の碧(あお)深めて秋の風わたる ⑧◎◎◎

瀬戸の海碧く玉ねぎ天甘し 

秋風や見えぬあたりが友が島 

クレパスの色を重ねて秋岬 ③

 

 

行商の明石のさいら在りし日に 

今わずか播淡の海秋の鯖 

秋澄めり明石海峡橋わたす 

淡路島海の向こうも秋模様 

山の秋須磨と舞子を別けにけり ②

 

見水

 

仰ぎ見る塔すっくりと天高し ④

大橋を花道にして秋祭 ③

玉葱は完売しました道の駅 ②

生しらす丼食ふ秋の海青し ③

対岸の街ハロウィーン一色に 

 

蝋芯

 

ともがきと海峡わたり新酒もり 

主夫の座に就いて走るや収穫祭 

今年からスマホでさがすきのこ狩り 

弦月の糸弾く姫見あかくなり 

菊の香をあてにのみたい明石城 

 

だっくす

 

天高し淡路島まで船の旅 

秋風や潮の香つよく肺にまで ①

秋風や潮の香あびてスケッチす 

秋茄子の色よく煮られ湯気の中 ③

吸物に松茸少し香りたる ①

 

つきひ

公僕の互いに老いて旅紅葉 

秋惜しむ十二分間乗る船に ②

秋潮や赤きタンカーゆっくりと ④

クレヨンで描き切れない秋の潮 ⑧◎◎

秋潮を眼下にしたる句会場 

 

稲村

 

淡路島久し振りだな秋句会 

秋の風船旅句会またよろし ①

天高し大橋くぐって岩屋港 ①

道の駅まず新米に眼が光る 

猛暑がうそのようだね秋の浜 ①

 

播町

エンジンの音騒がしき島渡船 ①

海の碧(あお)秋天の蒼(あお)橋渡る ②

秋日濃しむかし夢見し灯台守 

橋描いて空と海とに秋の色 

秋空へ釣糸投げる代休日 ①

 

高得点句

本日、高得点を獲得した句は、

海の碧(あお)深めて秋の風わたる へるめん⑧◎◎◎

 秋の澄んだ爽やかな風が海の色をますます青くするすがすがしい一句。

クレヨンで描き切れない秋の潮 つきひ⑧◎◎

 晴れわたる秋空の下、美しく変化する海はクレヨンでは描き切れません。

秋潮や赤きタンカーゆっくりと つきひ④

 青い海に赤いタンカー。童心に戻って楽しんでいます。

仰ぎ見る塔すっくりと天高し 見水④

 道の駅あわじから見上げるスマートな橋の主塔の絶景。

 

3点の句も、いい句が並びました。

秋茄子の色よく煮られ湯気の中 だっくす③

秋うららリュックに画材と句集入れ さくら③◎

スケッチに心踊るや野菊晴 さくら③◎

クレパスの色を重ねて秋岬 へるめん③

生しらす丼食ふ秋の海青し 見水③

大橋を花道にして秋祭 見水③◎

 

表彰式

 

表彰式です。優勝は、つきひ(14点)さん。続く高得点者は、へるめんさん(12点)、見水さん(12点)。

他のメンバーの得点は、次のとおりでした。

さくらさん(9点)、だっくすさん(5点)、播町さん(4点)、蛸地蔵さん(3点)、稲村さん(3点)、英さん(2点)、ひろひろさん(2点)=ブービー賞、蝋芯さん(0点)。

今回の賞品は、道の駅あわじで選んだ淡路島特産品です。

  1位(優勝)  :牛肉めしの素

  2位     :鯛めしの素

        :玉葱ラーメン

  4~6位  :オニオンスープ

  7~9位  :淡路のジャム

  ブービー賞 :鯛めしの素

  11位           :淡路のジャム

総点数66点の行方は、女性軍4名の得点が40点、男性軍7名の得点が26点。大差をつけて女性軍圧勝です。

午後3時30分、幹事さんは受付で会計、各メンバーは賞品を提げて淡海荘の玄関へ。送迎バスの運転手さんに全員集合写真を撮ってもらい、岩屋港へ。

 

岩屋港で見かけた釣人の竿は鰯が入れ食いでした。

午後4時に岩屋港を出港し明石港へ。午後4時30分に明石で解散。有志で魚の棚の明石焼き店へ。

 階段が無くて海鼠の日暮れかな 閒石

初参加の蝋芯さんは「あっという間の一日。楽しかった」と感想を一言。

今回の事前準備とハードスケジュールの幹事をしていただいたさくらさん、だっくすさんに心から感謝。ハロウィーンも終わり、冬に向かって寒くなりますが、来春の句会はどこで何を…待ち遠しいです。

 ふるさとへ続くこの道秋の風 閒石

 冬の橋着飾ってこそ渡るべし 閒石

2016.10 写真/bancho, mimizu 文/mimizu