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2/3、パナソニックの業績予想が7800億円の赤字となる見込みで、大きく報道されました。

先日のソニーやシャープに引き続き、日本の大企業が勢ぞろいする電気機器業界の業績下方修正報道は、予想されていたこととはいえ、衝撃的でしたね。


「7800億円の赤字」といわれてもいまいちピンとこないので、いったい何がどうなったらこれだけの赤字になるのか、ちょっと細かく決算短信を見てみました。


■まず前提として、7800億円の赤字の内訳の整理が必要です。

売上高:80,000億

営業利益:300億

税引き前利益:-8,200

したがって、営業利益はぎりぎり黒字をキープしているものの、営業外での損失により大幅な赤字が発せしています。


■ポイントは2つ。

①世界的な需要低迷、円高、タイ洪水による本業の低迷

②完全子会社化した三洋電機のれん減損処理、事業構造改革費用による営業外の支出の増加

です。


■まぁ一つ目は景気が悪い、ヨーロッパが悪い、ってことで要はうちだけじゃないですよという言い訳のように聞こえますね。こちらは営業利益が300億円と低迷したことの説明に該当すると思うのですが、本業の業績悪化ですから本質的な問題はこちらです。


■二つ目は財務上の処理のおはなしです。こちらもポイントは2つあります。

・のれん代の償却(-2,900億円)・・・日本では、のれん代(三洋電機を買った際の純資産額と買収価格の差額)は規則的に20年以内に償却せよ、と決まっていますが、ある程度企業側の恣意で調整できてしまいます。もともと今年度は400億円の償却予定だったところを、2900億円とすることで利益を大幅に押し下げました。

・事業構造改革費用(-3,470億円)・・・こちらは事業の選択と集中、また主力であるテレビ事業の生産ラインの整備のための、資産の売却等による減損処理の実施など、収益構造を再構築するための支出です。


営業利益が300億円しか出ていないのに、上述の2つの営業外支出によりこのような決算となったわけです。


■本当の問題は?

これだけの赤字が出ているのは上述した②の部分が寄与しているわけです。

勢いのある成長企業であれば何事もなく本業の収益でまかなえるかもしれませんが、さすがにきついですね。


ただ、世界的に需要が低迷しているという説明を日本の企業はよくするわけですけれども、本当にそうでしょうか?たしかに日本を始めとする先進国の需要は低迷しているかもしれません。しかしアジアやアフリカ、南米にはまだまだ日本企業がマーケティングしていない国はたくさんありますし、現に世界人口は増え続けているのですから、これから世界中に販路を広げて本業の成績を伸ばしていただきたいものです。