読書・ラン ときどきライド -2ページ目

読書・ラン ときどきライド

昔から本を読むのが好きです。最近、かつて読んだ本を再読することも多くなってきました。懐かしい友達に再開したような気分になります。
そんな本を読んだ感想や、趣味のマラソン、自転車などについてのブログです。

学生の頃、一度読んだ本ですが、最近、再読しました。岩波文庫版です。

アパルトマンの一室に閉じこもり、独自の世界の中で生きた姉エリザベートと弟ポールの話です。閉じられた世界で、二人は大人になることなく大きくなってゆきます。お互いに嫌がらせをしたり、からかったり、それでも深い絆で結ばれていることを感じさせる二人。。。

エリザベートは、外で働いてみたり、一度は結婚して、外に出ようとしますが、運命はこれを許さなかったようです。いろんな事情があって、再び、エリザベートは、ある意味居心地の良い、弟ポールのいる世界で暮らすことになります。この二人だけの世界に出入りすることを許されたのは、弟が学校に通っていた頃の学友ジェラールと、姉が一時的に働きに出た時、友達になったアガートのみ。

ジェラートはエリザベートを愛し、アガートはポールを愛する。人間関係、複雑です。しかし、外に出ることを運命に阻まれ、諦めてしまったかのように見えるエリザベートは、弟ポールへの執着を深めてゆきます。この執着が、物語最後の悲劇を引き起こす事になるのです。

血のつながりった愛が悲劇を起こす、という単純なストーリーだが、一貫して「生活」というものをほとんど感じさせない点が特徴的です。まあ、普通に考えて、人間が暮らすためには、それなりの収入を得るため働き、外の世界に触れざるを得ないものです。
そして人は、皆、「大人」になって行くでしょう。仮にそんな必要がなかったとしたら。。。ごく限られた関係の中に閉じこもって暮らすことができたら。。。我々は、大人にはならないのでしょうか。エリザベート、ポールの例を見ると、おそらくそうなんでしょうね。