東京での仕事は本社の時と同じく営業職を

命じられた

麻布十番から南北線で目黒まで行き山手線

に乗り換えて品川まで約30分





地方にいたときは会社の寮に入っていたた

め電車通勤は初めてだった

夏の通勤ラッシュは汗だくの人々の合間を

ぬい、できるだけドアに近いところを陣取

るようにした

到着駅で人の波を後ろから押す勇気がなか

ったからだ

お正月のバーゲンでしか経験したことのな

いような光景が日常となり

いつしか涼しい顔で他人の体に身を預けバ

ランスがとれるようになっていた

その頃には地方では着ることのなかったイ

ンターナショナルブランドを身につけ見て

いるだけで足が痛くなるようなヒールで颯

爽と歩く

それだけで大都会で働くキャリアウーマ

ンになった気分でいた

休日には近所のエステにも通った



東京に馴染みたいという思いよりも、そう

することが都会での暮らしを充実させてく

れると信じきっていたのかもしれない




東京では住む場所が

身につけるものが

ステータスを

物語ってくれるのよ




ビルに囲まれた街で裸に布をまとって日々

髪を整える

時には花の香りをまとって





この戦場は兵士のランクを3秒で見分ける

能力を必要とするのだろう

戦闘能力なしと判断されれば息をひそめ茂

みに隠れ目立たないように生き抜く



東京では毎日が戦場だ