②
降りる乗客は結構多く…
しかし…その殆どが北口に向かう人で
工藤が降りる南口に向かう人は
まばらだった…
工藤は…一番最後に
改札を抜けた…
改札を出て…
すぐ左側には『切符売り場』がある
工藤は…何となく…
そっちの方向を見てみた…
すると…そこに
『真っ白いワンピース』を着た
女性が佇んでいるのが見えた
年齢は…
20代の前半位か…
髪は長く
ちらり…と見えた横顔は
中々の美人である…
工藤は…
『…綺麗な女だな…』
と思いながら
山本のアパートへと向かって歩き出した
しかし…
ちょっと待てよ
何でこんな時間に
女が一人…
駅で立ってんだよ…
電車は…
上りも下りも…もう無いんだぜ
おかしい…と思った時
背中から声を掛けられた
『…あの…すみません…』
どきっ!!
として振り返ると
さっき駅前に立っていた女がそこにいた
女は…
『…突然に声を掛けてしまって
ごめんなさい…
私の家は…
ここから20分程の所にあるのですが
今夜は残業になってしまい…
一人で帰るのが怖く…
宜しかったら…途中まで
ご一緒して頂けませんか?…』
と言うのである…
工藤は
『ええ…別に構いませんが
私は…友人の家に行くので
ここを真っ直ぐ行った所にある
コンビニを右に行くんですが…
あなたは…どちらへ行かれるんですか?』
女
『私は…そこを左に行くのですが
そこまでで良いですから
ご一緒して頂けませんか?』
工藤は…何も考えず…快諾した
もしかしたら
心のどこかに…甘い蜜の味を
感じたのかも知れなかった…
女は喜び
いきなり工藤の左腕に
自らの右腕を絡めてくる…
工藤は驚いたものの
悪い気はしなかった
こんな美人と
いきなりこういうのも良いかもしれない
それに…もしかしたら…これが切っ掛けで……
工藤はそんな事を思いながら
歩き出した
現在の国立駅周辺は
とても拓けており
近代的な建物が多く見られるが
1970年ともなると
まだまだ
田畑があったりして
長閑な空気があった
だから…夜ともなると
街灯も少なく
寂しく
暗い道が多かったのである
そんな中を
二人は歩き出した
③へ


