自分の両親は、大恋愛の末に結婚し、10年で離婚。
私が9歳の時だった。
母の涙や苦労をたくさん見て育った。
「愛はいつか壊れる」
最も身近にそんな見本があったので、結婚はしたくないと子供のころからずっと思っていた。
そうは言っても、お父さん、お母さん、そして子供のいる幸せな家庭に、中学生ぐらいまでは憧れた。
なぜなら、そういう家庭像には、安全で安定した幸せのイメージがあったから。
でも一方で、自分が結婚をして子供を産み育てる自信もなく、そういう自分の姿を想像できなかった。
「愛」がいつか壊れることが怖くて、むしろ片想いの方が気楽で良いと思っていた。
結婚という形に捉われなくても、大切な人が近くにいて、お互いに助け合っていけるような関係もあるのだということに、その時はまだ気づいていなかった。
大人になって、好きな人とのお付き合いが始まっても、結婚に発展することをいつもどこかで恐れていて、一番幸せな時に別れを選ぶようになった。
独身で生きていくと信じて疑わなかったのに、夫と出会ってすぐに結婚。
周りも驚いたけれど、一番驚いたのは自分。
住居が離れていたので、会うためにお互い通うのが面倒だったから。
そして、この人は自分を傷つけないと、なぜか直感で思ったから。
結納や結婚式などもせず、婚約期間もなかった。
でも、安心感だけはあった。
子供のころから不安でしかなかった結婚。
私は、自分の妄想にずっと捉われていた。
息子は10歳になった。
人生って何があるかわからない。
思い込みを手放したら、今よりもっと自由になれるのかな。