私は15年もの間、人生を共にしてきた愛車を廃車しました。キーを挿してもエンジンがかからないことが増え、そろそろ寿命かなと感じたからです。多くの感謝を込めて手放した私の愛車は、物理的なスペースだけでなく、私の心にも大きな変化をもたらしました。
車を捨てて得たもの、そして気づいたこと
車を断捨離した当初は、行動範囲が制限される不安がありました。しかし代わりに、車検料や自動車税、保険料といった維持費の負担がなくなり、生活に経済的なゆとりが生まれたのです。
そして、自分の住んでいる場所を見つめ直す良い機会にもなりました。都心からは遠いものの、電車に乗れば1時間強でアクセスできること、徒歩圏内に駅、スーパー、銭湯、図書館、郵便局が揃っていること、さらに田舎特有のコミュニティバスが便利に利用できることなど、その利便性の高さに改めて気づかされました。どうしても車が必要な時は、一日2500円ほどで借りられるレンタカーを使えば十分。重たい買い物は通販サイトを活用すれば、自宅まで届けてくれます。
車を手放したことで、私の生活は一変しました。必然的に近所を歩くことが増え、運動量が増加。定期的に太陽の光を浴びるようになり、メンタルも安定してきました。まさに極端なインドア生活から抜け出すきっかけになったのです。
新たな「欲」と、それを満たす道
しかし、ひとつだけ困ったことがありました。それは、定期的にやってくるスイーツ欲。車があった頃は、思い立った時にすぐ菓子専門店に立ち寄ることができましたが、もうそれができません。コンビニスイーツでは物足りないと感じていた私は、どうしようかと思案していました。
そんなある日、最寄りのコンビニで、興味本位で「ホイップクリームでまとめたシフォンケーキの角切り」を買って食べてみました。すると、その口当たりと胃への負担の軽さに驚き、これが私が求めていたものだと感動したのです。ですが、人気商品のためか、いつもお店にあるとは限らず、買いに行くのが億劫になっていきました。
次第に「シフォンケーキを自分で作れるようになって、食べたい時にいつでも満たしたい」という思いが強くなっていきました。
不思議な巡り合わせと、新たな挑戦
そんな時、創作を通じて知り合った友人がSNSで「家に暖房がない」とつぶやいているのを見かけました。実はその時、私の手元には電気毛布が2つあったのです。メーカーに問い合わせても「破棄してください」の一点張りで、仕方なく保管していたのですが、使わないままでいるのはもったいない。そこで、その友人に譲ることにしました。
友人はとても喜んでくれ、お礼がしたいと申し出てくれました。不要だと言ったのですが、彼女は聞き入れてくれず(笑)。そこで、ほしいものリストを公開しました。すると、彼女が選んで贈ってくれたのが、シフォンケーキの型だったのです。
プレゼントされた型を見て、「これは作れるようにならなければ」という奇妙な使命感が湧いてきました。目標は「スイーツ欲を満たす」から「作り方をマスターする」へと変わり、私の挑戦が始まりました。
失敗を重ねて見つけた、揺るぎない自信
初めて焼いてみたシフォンケーキは、想像とは全く違うぶよぶよの物体で、見た目はひどいものでしたが、味はとても美味しかったんです。その不思議な出来栄えに、私はシフォンケーキについて徹底的に調べるようになりました。
シフォンケーキが「失敗の魔窟」と呼ばれることを、私はその時まで知りませんでした。でも、知らなかったからこそ落ち込むこともなく、「味が美味しければ食べられる」と前向きに捉えていました。
そして、YouTubeでシフォンケーキの科学的な検証を行う素晴らしいチャンネルに出会いました。そこで水蒸気が影響していることを学び、オーブンのスチーム機能を使わずに焼いてみることに。腰折れや萎みを防ぐメレンゲの作り方、他の材料の扱い方などを研究し、10回ほど試行錯誤を繰り返しました。
その結果、ベーキングパウダーを使わなくてもしっかり膨らむ、完璧なプレーンシフォンケーキを作れるようになったのです。今では、いつ作っても失敗することはほとんどありません。
友人には製作レポートを随時送り、とても喜んでもらえました。そして、私自身には新しいスキルが身につき、大好きなシフォンケーキをいつでも楽しめるようになりました。
何かを断捨離すると、そこに新しい何かが入ってくる。物質的なものだけでなく、心やスキル、そして人とのつながりまでもが、その「空いたスペース」に流れ込んできたように感じます。私の人生は、あの愛車を手放した日から、豊かに、そして面白く変化し続けているようです。
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