続き...
ロチュス様が、脱走した次の日...。
外出から帰ってきたレファンに昨日のことを報告すると...
ロチュス様に沢山お話しします...と目が笑っていないレファンさんは怖かった。
ロチュス様が考えそうなことを防げなかった私もいけないと注意を受け、今日は騎士の練習。
午後の個人練習の時間...。
素振りの練習中
「...うん、初めのころよりは立ち姿も良くなってるんじゃない?まだまだだけど」
と可愛らしい顔を少し崩しながら言うキャプセラさん。
「ありがとうございます。」
「魔法の方はどうなの?」
「こちらもまだまだですが、なんとかさまになってきました。」
「見せて」
開けたスペースに右手を前に出して風を呼ぶ...
すると風は前に少し集まったが、上には上がらず散り散りに吹いた。
「なるほどね、まだまだだわ。」
あれから練習して感覚はなんとなく分かって来たのだが、上に吹き上がるのにはまだ時間が掛かりそうだ。
だが、木の葉が少し踊るくらいにはなったので、嬉しい。
「お二人とも、お疲れ様です。」
ふと聞き慣れた声が後ろからした。
振り返ると、レファンさんが居た。
「レファンさん、お疲れ様です!」
「レファンさん、お時間頂きありがとうございます。よろしくお願いします!」
キャプセラさんがお辞儀をする。
「ええ、よろしくお願いします。」
レファンさんの後ろにいる他の騎士の人達から、レファンさんだ...と口ぐちに声が聞こえる...。
何をするのかな?と思っていると...
キャプセラさんは訓練用の剣を持つと、レファンさんと距離を取り向かい合わせになる。
しばらく見つめあった後、キャプセラさんがレファンさんに向かって行く。
それをレファンさんは幾度も片手で受け止めたり、あまり身体を動かずに受け流している...。
レファンさんは何も持たずにキャプセラさんの相手をしている。
キャプセラさんは個人練習の時、剣に水を纏わせて岩を割ったり、地面を割っていた。
あと、魔法を使わずにほとんど騎士団を一人で相手をしていた。
そんな強いキャプセラさんをまるで子どもをあやすようにレファンさんは対応している...。
「...っく!」
キャプセラさんは距離を取った後、剣を水で纏い体勢を低くしながら素早くレファンさんの下にもぐり、一気に下から上に振り上げる。
レファンさんは、それをすまし顔でヒョイっと避ける...
「...ん。いいですね...。」
キャプセラさんの体に沿うように移動したかと思うと、レファンさんの右足が高く上がり...
ドンッと勢いよく降ろした。
...凄まじい。
その言葉しか出なかった...。
レファンさんの振り下ろした足の振動が私の膝まで伝わって行き、後ろの奥の木々にも伝わったのか止まっていた鳥達が飛び去った。
足はキャプセラさんの右肩に近い背中に降ろしていた。
「...グッカハッ...。」
キャプセラさんは地面に少しめりこんでしまった。
「...なかなか良かったですよ、ですがもっと狙いを定めてください。重心がぶれています。」
レファンさんが少し体を前に倒して話した。
「...うっ。...はぃ...。」
キャプセラさんはめり込んだ腕をあげ手を地面につけて力を入れて体を起こす。
「...さてと。サラ」
レファンさんが私のところに来る。
その後ろでは、キャプセラさんは立ち上がり体に付いた土を払っていた。
...ちょっと怖い。指先の震えが...。
「...はい。」
「おや?少し怖がらせてしまいましたか...。」
レファンさんは私が震えていることに気づいて、草むらに座るように促す。
「...私は、実は前騎士団長でして。たまにこうして今の団員の相手をしているのですよ...。
私自身、たまに体を動かしていないと鈍ってしまいそうなのでね」
と震えている私を気遣い、いつもより優しく微笑みながら話をして下さる。
「そうだったのですね。」
コップに入れたほんのり甘いアイスミルクティーを口付ける。
「私は先に騎士団に入隊して力を付けてから従者の仕事を覚えて、そこからサラと同じく掛け持ちしながらしばらく続けて、
ロチュス様がお生まれになってからは今の団長に任せたのです。」
「凄くお強いですね...。」
「いえいえ、まだまだですよ。王様やサンセールさん、私の前の団長はもっとお強いです。大切なお方を護る為に必要ですから...」
護る...。護るのに必要な力、あんな凄まじい力はたして私に身に着けられるのかな。
「従者の仕事も段々と覚えてきて、いい感じですね。」
レファンさんが褒めてくれたけど、頭に入らない...。
あと2か月で...レファンさんは居ない...。
続く...