「楽クリ」誕生秘話 byボスくじら
2009年5月、街から人の姿が消えた。世界的に新型インフルエンザが猛威をふるったためだ。
社長の田村はこの光景に青ざめた。
「人が外出しなくなったらクリーニング業界は壊滅だ。」
「これが今回だけの短期的なもので収まればよいのだが、恒常的に起こるものとなれば恐ろしい事態だ。」
1月もすると何事も無かったかのように再び街に人の姿は戻った。
これを契機として、田村はクリーニングを通して健康を守る方法を探った。
その結果として、ドライクリーニングで出来るものとして抗菌加工があり、水洗では銀イオン殺菌が出来ることを知り、全てのクリーニング品にこれを導入した。しかし、何処のクリーニング業者も特別加工品としての別料金での導入はしても料金据え置きのクリーニング代金込みでの導入をするところはなく、クリーニング業界を変えなくてはならないとの強い意志を持って田村は全国展開を模索し始めたのだ。
現代はインターネットによる買物も普及し始め、I Phoneのようにパソコンが携帯になったような機種の物が急速に拡大している。
田村はネットでの売買というものは信用していなかったが、その世界に足を踏み入れ実際に商品の購入をしてみることにした。注文から受け取りまで色々な仕組みが組まれていて、安心感があることに気付いたのだ。
「これならクリーニングでも利用できるかもしれない。」
「ネットと宅急便を使えば、現在の工場を活かして店舗や工場を広げていく心配もない。今までは地域に根差したドミナント戦略のみを考えてきたが、これなら広く薄くでもニーズのある人にお応えすることが可能だ。」
田村の頭の中で、急速に楽クリのシステムが形になって動き出した。
そして約1年、ホームページの製作と宅配システムの構築と、その両者のリンクに力を注いだ。
「楽クリ.ネット」の誕生だ。