いま世の中には、
「AIに“売れる本”を書かせる」ためのノウハウがあふれています。
たとえば、
あるテーマを設定し、
売れるタイトルをつけて、
売れる構成で、
PREP法を使い、
2万文字の本を書かせる。
AIにこう命じて、そのままKDPに出す。
いわば「AIに丸投げして本を量産する」というやり方です。
もちろん、これはひとつの流れとして今後も加速していくでしょう。
その一方で、あえてそれとは逆方向に、不利だと知りつつ参入しようとしている人間がいます。
それが、私です。
私の言う「AIを使って書かずに本を出す」は、一般的なものとはプロセスからしてまったく違います。
ポイントは一つ。
AIに「命令する」のではなく、AIに「質問させる」ということです。
AIは本来、こちらが指示を出すための道具だと理解されています。
しかし逆に、「AIに質問を投げさせる」という使い方をすると、まったく別の顔を見せ始めます。
AIは、その人間の過去・経験・感情にアクセスするための問いを次々と掘り当ててくる。
この「質問され続ける」というプロセスに、全力で付き合ってみるのです。
ひたすら、投げかけられた問いに答え続ける。
それだけ。
気がついたときには、
あなたの中からあなたにしか書けない物語や知恵が引き出され、「一冊の本の骨格」がほぼ完成している。
これが、私の言う「AIを使って書かずに本を出す」という方法です。
ですから、同じ「AIで本を出す」という言葉を使っていても、世の中で流行しているやり方とは、中身も目的もまるで異なります。
・売れるテーマをAIに選ばせるのではなく、
あなた自身の人生からテーマが立ち上がってくる。
・AIに二万字を丸投げするのではなく、
AIの質問に答えているうちに、いつの間にか二万字分の原稿が積み上がっている。
・一時的に消費される量産コンテンツではなく、
「売れる・残せる・語り継がれる」本になっていく。
この違いは、プロセスの差であり、同時にクオリティの差でもあります。
だからこそ、あえて「タイトルは世の中に出ている本とほとんど同じでもいい」とさえ思っています。
むしろ似たタイトルにして、その中身の違い・プロセスの違い・手触りの違いで勝負したい。
表から見える見出しは似ていても、
中に流れている思想と体験の濃さはまったく別物です。
この本で伝えたいのは、「真のAIとの付き合いの第一歩」は、
AIに命令することでも、AIを恐れることでもないということです。
AIに問いを立ててもらい、
その問いに、肉体を持った人間として誠実に向き合い、
言葉を返し続ける。
この往復の中でしか、
「あなたにしか書けない一冊」は立ち上がってこない。
私の考える「AIを使って書かずに本を出す」とは、
AIに魂の代筆をさせることではありません。
AIの問いによって、
人間の中に眠っている物語と経験を、
深く、ていねいに掘り出していくためのプロセスです。
このプロセスを通った本は、
その場で消費されて終わる類いのものにはなりません。
売れる。
残せる。
そして、語り継がれる。
そんな一冊を、AIと「共犯関係」を組みながら生み出していく。
そのやり方を、これからじっくりお伝えしていきます。