前回のShort Saleと同じ章で、今回は擬制売却(という語で適切なのか分かりませんが)についてです。見るからにややこしそうな名前ですが、どんな感じでしょうか。


(※最後に軽く調べてみたら、constructive saleに対して『みなし売却』という語が見当たりました。みなし≒擬制だと思うので本質的には同じだと思いますが、擬制売却よりもみなし売却の方が分かりやすい気がするので、そっちの方が良かったですね。置換すれば一発ですが、既に先週も書いてしまっていたし、そのままで行こうと思います)


(その5:ショート・セール / その7:個別株オプション単純所持


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税と投資~個人投資家へのガイド~
(http://www.optionseducation.org/content/dam/oic/documents/literature/files/taxes-and-investing.pdf)


擬制売却 (Constructive Sales)

『擬制売却』ルールとして、様々な例外を除いて、納税者は、株式、パートナーシップ持分、または特定の負債商品に対して、いかなる利益を生み出すポジションに関しても、納税者の損失および潜在的利益に対するリスクの実質的に全てを効果的に取り除く特定の取引へのエントリーに伴って、収益(しかし、損失ではない)を計上しなければならない。ショート・セール、先物または先渡契約、およびトータル・リターン・エクイティ・スワップ(※信用リスクと市場リスクを対象資産(この場合株式や株価指数)に移転させる取引とのことですが、いかにも高度な金融取引という感じで、複雑そうです。参考:金融用語辞典 (http://money.infobank.co.jp/contents/T500258.htm) など)は、擬制売却になり得る取引の例である。株式の売りポジションが含み益をもたらしている場合、その株式の取得も擬制売却となり得る。これらのルールが適用されるその他の取引は、財務省の規制で特定され得るものであり、その規制は不正防止のために遡及的に適用され得るものとなっている。


擬制売却が行われた場合、その利益は、そのポジションが公正な市場価値で売却され、直ちに買い戻されたものとして評価されることになる。含み益のあるポジションの取得ベースはその評価された利益によって増加し、新たな保有期間が、そのポジションが擬制売却の日に取得されたものとして始まることになる。


擬制売却ルールは、以下の3つの条件を満たす取引には適用されない: (1) その取引が、エントリーした課税年度の終了後、30日目の終わりまでに閉じられる; (2) その取引が閉じられた日から60日の期間中、その含み益のあるポジションが保持されている; かつ、(3) その60日間に、納税者が、そのポジションからの損失リスクを軽減する取引を行わない。アットザマネーおよびアウトオブザマネーの適格カバードコールは、この目的のためのリスク低減取引としては取り扱われない。1つ以上のリスク低減取引がこの60日期間に行われ、かつ、最初の取引が発生した年の終了から30日が経過する前に閉じられる場合には、特別ルールが適用される。擬制売却未遂の取引が行われた課税年度が終了してから30日が経過する前にそういったリスク低減取引が全て閉じられ、かつ、その後60日間その含み益ポジションがヘッジのない状態で保持されている場合、擬制売却ルールは適用されない。


ある1つの含み益ポジションの擬制売却にあたる取引は、納税者が、その擬制売却されたとみなされるポジションを保持し続ける限り、その他いかなる含み益ポジションの擬制売却につながるものとしても扱われない。しかし、そのポジションが売却された場合あるいは他の方法で処分された場合、その擬制売却取引(まだ未決済であるなら)は、別の含み益ポジションの擬制売却を引き起こす可能性がある。


全てのポジションが擬制売却されていない場合、納税者は、『売却』された特定の税務画分を具体的に特定することができる。その特定がない場合、そのポジションは取得した順序で販売されたとみなされる(すなわち、『ファーストイン・ファーストアウト』方式で)。


1つ以上のオプションポジションにエントリーすることが擬制売却を構成するかどうかを決定する特定のルールはまだ存在しない。しかし、擬制売却規定の法制史上からは、財務省の規制は、実質的に全ての損失および利益取得機会リスクを排除するオプション取引を、擬制売却として取り扱うことが期待されていることは明らかである。これらの規制は、不正防止のためを除き、遡及して適用されるものにはなっていない。


本ハンドブックで議論されているオプションに関する取引は、規制ガイダンスに先立って、擬制売却ルールの適用可能性を反映しているわけではない。


例:
2014年6月3日、X社の株式100株を1株あたり50ドルで購入。2014年8月18日、X株100株を1株あたり60ドルで空売り。2015年1月6日、2014年6月3日に購入した100株を受け渡すことで空売りポジションを閉じる。
→8月18日の空売りへのエントリーは擬制売却であり、2014年は1000ドルの利益となる。2014年6月3日に購入した100株は、空売りへのエントリーに伴い60ドルで売却し、買い戻されたとみなされ、2015年に空売りを閉じた時点ではそれ以外のさらなる損益は評価されない。


例:
上記の例で、2015年1月6日に、『市場価格で』X社株100株を1株あたり65ドルで取得し、2014年6月3日に購入した株を受け渡すのではなく、今取得した株を空売りポジションのカバーに用いると仮定しよう。2014年6月3日に取得したX社株式を、ヘッジなしで、空売りポジションを閉じた後60日間保有する。この場合2014年にX社株の擬制売却を行ったことにはならず、2015年1月の空売りポジション清算時に、1株あたり5ドルの損失を計上することになる。


例:
2014年5月4日、Y社の株式100株を1株あたり25ドルで購入。2014年7月12日に、Y株100株を1株あたり20ドルで空売り。
→空売り時にY株に含み益はなかったため、7月12日に擬制売却は行われていない。


例:
2014年2月3日、Z社の株式200株を1株あたり30ドルで購入。2014年4月22日、Z株が1株あたり40ドルの時点で、アットザマネーのプット(=行使価格が、対象株の現在の市場価格に等しい)を200株分購入。
→このオプションは投資家に対し損失のリスクのみを低減するため、このアットザマネーのプットの取得は、擬制売却ルールを引き起こすことはない。しかし、税金ストラドル・ルールが適用される。17ページを参照のこと。


例:
2014年1月7日に、証券会社に対し、XYZ社の株式100株を借りて空売りするよう指示。他にXYZ株は一切所有していない。2014年12月30日、株価が下がり、空売りポジションの価値が上昇した時に、XYZ株100株を購入し、それらの株式を、2015年1月3日、空売りポジションを閉じるために株の貸し手に受け渡した。
→擬制売却ルールの下において、株式の購入時に空売りポジションが含み益を有していたため、2014年12月30日に利益を計上することになる。逆に、株式購入時に空売りポジションの価値が下がっている場合(株価が2014年1月7日以降に上昇した場合)、空売り清算における損失は、2015年1月3日に株式が譲渡されるまで計上されない。


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…う~ん、全体的に難しい!難しいのもさることながら、全体的にあまり自分には関係無い気がして興味も湧かない、というのが正直な所な感じです。


オプション取引に関して、「オプションは複雑そうだし、今はいいや。後にします」という意見を何度か目にしたのですが、その度『こんな単純でめちゃくちゃ面白いのに、何で興味が湧かないのかな』と思ったりもしたのですが、多くの方がそう感じられる理由が、まさに今、「言葉」ではなく「心」で理解できた!
たとえ税理士の人が「擬制売却ルールは整理すれば単純だし、重要だよ」とどれだけ言おうが、自分にとってはどうでもいい!興味もない!必要に迫られたら調べるかもしれないけど、今はいいや、後にします!!…って感じるのと同じだったわけですね。
自分に全く馴染みのないものを新たに吸収するというのは、結構なパワーが必要な感じだということを再認識です。必要に迫られていない話であればなおさらですね。
今回擬制売却ルールに関する話は、文字列をただ読んだだけで全く心から理解してはいませんが、そんな感じで「またいつか」ってことにしておこうと思います。恐らく永久にその「いつか」は来ないでしょう。


次回はオプション取引に関する税金のようで、こちらは割と興味が持てそうです。