前回のカバードコール売りに続き、今回は対象となる現物株を持たずにコールオプションを売る、いわゆるコール裸売りについての章です。
 
(その10: 基本戦略3-1・カバードコール売り / その12: 基本戦略4・プット売り
 
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個別株オプションを理解する
(http://www.optionseducation.org/documents/literature/files/understanding-equity-options.pdf)

 

II. コール裸売り

 

オプションで取り扱われる対象株を所有していない状態でコールオプションを売る場合、それはカバーされていない状態となる。カバーされていないコールの売り手は、対象株の所有権へと資本を投じることなく、その売り取引から収益を得ることを目的とする。カバーされていないオプションは、裸のオプションとも呼ばれる。コール裸売りの売り手は、もしも、そして実際に権利の行使が課された時に、権利行使に伴う受け渡しの株の購入が可能であることを保証するために、証券口座に十分な委託証拠金を預け入れ、そして維持せねばならない。


コール裸売りの潜在的な損失は、無限大である。しかし、コール裸売りは株価が下落あるいは一般的に安定している時に利益を生み出すことが可能である。がしかし、この戦略を考えている投資家は、以下の極めて重要なリスクを意識せねばならない:


1) もし対象株の株価が急激に上昇したら、コールの権利行使が課され得る。受け渡し義務を果たすために、オプションの行使価格より高価な市場価格で株を買わねばならなくなるだろう。これは、極めて大きな損失になり得るのである。


2) コール裸売りのリスクは、株の空売りのそれと同様のものである。オプションの売りでは、リスクは、受け取るプレミアム(コール売却資金)によっていくらかクッションが入るという違いがあるにはあるけれども。


例として、XYZの7月満期・行使価格65ドルのコールを、コール価格6ドルで売却する場合を考えよう。コール売却資金として、600ドルを受け取ることになる。
もし株価がそのままであった、または65ドル未満になったならば、オプションの権利行使が課されることはないであろう。この場合株のポジションを保有していないので、株価の下落は得られた利益600ドルに一切影響がない。
一方、もし株価が1株75ドルへと大きく上昇した場合、恐らく権利行使通知が課され、純損失400ドル(コールの受け渡し義務による1000ドルの損失が、コール売却資金の収益600ドルで相殺される)でポジションをカバーせねばならなくなる。コールの売り手は、引き続く株価の上昇に伴い、損失が増大し続けるのだ。


全てのオプション取引と同じように、もし自分のポジションに対して権利行使通知が課されていない状況であれば、コール裸売りの売り手は、ポジションを畳む購入取引を行うことで、オプションの義務をキャンセルすることが可能である。コール裸売りの売り手はまた、オプションの有効期間中いつでも、対象株を購入することで、リスクを軽減することも可能だ。それによってカバードコール売りになるのである。

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…と、あまりコール裸売りの危険性が強調されてはいませんでしたが、株価が下がれば下がるほど利益が大きくなる空売りと違って、コール売りの場合利益は最大でもコール売却資金に限られており、一方損失はリアルに無限大であるため、完全なる利小損大です。あくまでも個人的な意見というか好みですが、コール裸売りに一切メリットはないように思えるので、こんな無意味な取引をするのはやめましょうと思えてしまいます。


コールを売るなら、絶対に現物を持っているカバードコール売りの形にしましょう。

現物を持っていないけれどその株が大きく下がると思っているなら、コール売りなどと消極的なことはせずにプットを買う方がいいように思います。
現物を持っていないけれどこの株はしばらく株価に動きはないだろうと思い、そこから利益を生み出したいならば(そんな状況あるのか分かりませんが)、せめてコールではなくプットを売った方がいいように思います(プット売りは、行使価格で株を引き取るだけであり、リスク無限大ではないため)。
現物を持っていないけれど、『しばらく株価に動きはないだろうけど、あるとすれば下がるかな』という、『プット売りは避けたい』形であれば……まぁそこまでこだわるならコールを売ってもいいかもしれませんが、やっぱり大きなリスクを負ってまでコールを売るメリットがそこにあるとは思えません。そんな銘柄は無視すべきでしょう。


コール売りの基本はやはり、現物株を保有している状態で、「この価格なら別に手離してもいいかな」と思える行使価格のコールを売ることによって、ただ株を持っているだけの状態から、爆上げするかもしれないリスクと引き換えに小銭を得ることができる、というカバードコール売りの形かなと思います。