昨日に続き、機関投資家の動向を見ることのできるサイトはないものかと探してみました。

やはり「この国の情報収集ならこの国の国家機構が一番優れている」ということで、親方日の丸ならぬ親方星条旗の政府機関・SEC(米国証券取引委員会)が一番かと思ったのですが、ちょっと調べたら、より情報の集う、取引場の提供者・胴元のNASDAQに非常に便利な検索ページが用意されていたので、今回はそちらを紹介してみようと思います。


やっぱり情報技術に特化した取引所のツールは最高や、政府機関なんて最初からいらんかったんや…!

 

 


…というわけで、こちらがNASDAQの機関投資家保有状況の詳細検索ページです。


http://www.nasdaq.com/quotes/institutional-holdings.aspx

 

25個までシンボルを入力して、結果を得ることができます。
…と言っても並列比較をしてくれるわけではなく、複数シンボルを入力しても単純にタブが表示されてアクセスが便利になるだけであり、実質1銘柄ずつ結果を見る形です。

 

 

早速本命株NYMXを見てみました。

 

 

最初の円グラフは、機関投資家による保有率です。発行済株式数の1.44%、4500万株・200万ドルが機関投資家の保有割合とのこと。

…ふむふむ、多いのか少ないのか分かりませんが、とりあえず少なからず保有している機関投資家は存在する感じですね。

 

その下の円グラフは、直近のフォーム13F申告に基づいた、機関投資家の売買状況です。緑が購入して増加したポジション、赤が売却して減少したポジション、そしてこのグラフではほぼ見えませんがグレーが保有し続けている機関投資家数とポジション数を表しています。

 

グラフによると、5つの機関が合計8万3364株購入、そして20の機関が合計56万700株を売却…。

…ガビーン!NYMX、ほとんどの機関投資家に投げ売りされてるぅぅーー!!…と、この時点で、機関投資家の保有状況は何の参考にもならないという結論に達しました。自分の判断が間違っているのではなく、間違っているのは奴らの方なのだという何とも不遜な態度です。

これでは一体何のために機関投資家の保有状況を見ているのか分かりませんが、彼らは一般投資家とは違いギャンブルはできず、職務として何らかの根拠に基づいてより確からしい投資先を見つけなければいけないという縛りがありますからね、仕方ないですね。

 

 

一応まともな判断もしてみると、このフォーム13Fがどれだけ最新のものを表しているのか分かりませんが、多分1か月程度の話だと思うので、最近1か月のNYMXの結構な値下がりは、ここで示されている機関投資家による売りがかさんだものだったのかな、という推測が立つ気がします。
何を思って彼らがNYMXを売ったのかは分かりませんが、少なくともこの動きが最近の下がりの主な原因なのだろうなということが分かったので、このデータを見ることで少なからず得られるものはあったかなという感じです。

→訂正:

後ほど述べる下の方のデータを見て気づいたのですが、フォーム13Fは恐らく四半期ごとの提出であり、最新のデータでも第2四半期終了時点の6/30のようです。
…ということで、上で述べた『最近の値下がりの原因は…』というのは全く的外れでした…。
しかし逆に、NYMXは6月の第3週まで全然ニュースがなくくすぶり続けていたので、6月末の良いニュースとそれに伴う株価のジャンプを受けて、今頃は買い漁っている機関も結構いるのではないかと予想します…!第3四半期の報告が来たら、またポジション増加が大きくなり、見た目にも勢いのある感じになるのではないでしょうか。

 

 


円グラフの下には、新規参入組(緑)と、完全に売り払って去っていった(赤)機関投資家の数と、その株数、つまり出入り状況が棒グラフになって示されています。

 

 

これを見ると、円グラフや左側の棒グラフで示されている通りポジションの総減少分は圧倒的に多いのですが、『新しく入ってきた/完全に去っていった機関の保有株数』を比較すると、実は新しく入ってきた分の方が多いことが分かりますね。一応、これはホルダーにとってポジティブな情報なのではないでしょうか。

 

 

さらにその下には、株式保有中(あるいは上部のタブをクリックすれば新規参入者・ポジション増加組・減少組…等々の一覧に変更できます)の、具体的な機関一覧が確認できます。
各機関によるフォーム13Fが公開されたのであろう、最新の取引状況の日付もここで確認できます。

 

 

さすが弱小バイオ、有名所の機関はほとんど見受けられませんが、とりあえず現在最も株を保有しているのはWEDBUSHセキュリティーなる機関のようですね。直近では650株売却したようですが、それでもなお21万1943株・69万9千ドル分保有中です。


もちろんどんなに優れた機関でも百発百中などあり得ないので、仮にNYMXを大当てしたとしても他も当たるとは限らないのですが、少なくともこのウェドブッシュさんは、NYMXに大賭けしているあたり、自分とウマが合いそうです。

 

リンクになっているWEDBUSH SECURITIES INCの名前をクリックすれば、ウェドブッシュさんの保有している株式一覧も確認できます。
軽く見てみた限り、ウェドブッシュさんの最大保有株はGeneral Growth Propertiesという不動産投資信託株のようでした。この株含め、自分とウマが合いそうな機関がどのような株を保有しているのか見るのは面白そうですね。

 

 

 

また、この検索ツールではNASDAQ上場株だけではなく、NYSEの株も、ETFも検索することができます。さすがNASDAQ!他所の取引所のデータも平然と載っけてくれるッ そこにシビれる!あこがれるゥ!
(ちなみに、個人的にはNASDAQより伝統と格式のNYSEの方がなぜか好きです。特に理由はなく、株を選ぶ決め手にも決してならない、単なるどうでもいい個人的な性癖ですが)

 


…ということで、個人的に他にも気になる銘柄をチョロチョロ調べてみました。

まずは最近プットオプションの売買をした、金鉱株ベア3倍ETFのDUSTです。

 

 

上の円グラフを見ると機関保有率わずか1%、さすがにこんな激しい値動きのETFを保有している機関はほとんどいないか…と思いきや、数字をよく見るとNYMXよりもむしろ保有されているぐらいですね。


そして、下の円グラフから、ポジションを増大させている機関が非常に多いことが分かります。

これは最新でも6月末のデータなので、現在進行形のトレンドを表してはいないわけですが、それでもこれだけのポジション増加が認められるとなれば、『金鉱株は下がる』と見ている機関が多いのかなとも言えるように思えます。

 

なお、画像は載せていませんが下にある機関一覧情報を見ると、最大のDUST保有機関はモルガン・スタンレーで、3月末時点で24万5千株・130万ドル分も保有しているようです(しかも3月末時点で、増加率253%と、大きく買い増ししています)。

天下のモルガン・スタンレーがこれだけ保有しているというのは、何とも説得力がある気がしますが…。

 

ちなみにDUSTと逆の動きをする金鉱株ブル3倍ETF・NUGTは、ちょうど反対にポジションを減らしている機関が多いです。
NUGTの保有ランキング上位ではバンク・オブ・アメリカやゴールドマン・サックスといった有名所の名前が目に付きましたが、なんとDUSTを大きく買い増ししていたモルガン・スタンレーも保有数上位に位置していました。しかし、なお大量に抱えてはいるものの、ポジション自体は3月末に74%減と大幅に減らしているので、モルガンはやはり金鉱株の下がりに賭けているような状況ですね。


ということで、BACやゴールドマンが金鉱株ポジティブ派、モルガンが金鉱株ネガティブ派といった感じでしょうか。いずれも3月末の時点での状況なので最新ではないですが、これは面白いですね!


一応、最新6月末の時点では、機関投資家の多数決の総意としては、上記の通り金鉱株ネガティブ派が主流だったわけですが、8月1週目を終えた現時点では、今の所NUGTは上昇基調でDUSTは下降基調であり、金鉱株ポジティブ派に軍配が上がっている感じですね。もちろんこの先どうなるかはわかりませんが。

 

 


他にも見れば見るほど面白いデータが満載です。天下のGOOGL様を見てみたら、これは凄い!さすがに超有名株だけあって、82%もの株が機関投資家によって保有されています。

 

 

 

 


TWTRさんは終わってるから、手離してる機関が多いんだろうなぁ~ワクワクなどと思ってみてみたら、意外や意外、ポジションを増大させている機関の方が多い感じです!

 


TWTR・奇跡の怒涛の大回復が、微粒子レベルで存在する…?!

 

 

 

ちなみにLINEは、7月新規上場なので当然かもしれませんが、まだデータが存在しません。

 

 

 

 

また、結果の右上にある「コミュニティー・レーティング」ですが、見てみた全ての銘柄が『Bullish(強気)』であり(不思議なことに、DUSTも、その逆の動きをするNUGTもどちらもBullishです)、おかしいなと思い、他にも冴えなさそうな銘柄をいくつか調べてみたんですが、全てBullishとなっていたので、『何だコレ、機能してないのか?』と思ったものの、あまりにもクソな動きをし続けているGBSNを調べたら、ようやく『Bearish(弱気)』が出てきました。ちゃんと機能はしているようですね(なお、下の画像のタブにある、LINE (LN) とGBSNを除く全ての企業がBullishでした)。

 


そもそもこんなレーティングは信頼に足るものではないですが、一応NYMXや他にも気になる銘柄はほぼ全てBullishとなっているので、購入する上では若干心強い気はしますね。

 


というわけで、機関投資家の保有状況検索ツールの紹介でした。
正直、これは『検索ツール』であり、できれば『スクリーニングツール』(=企業名から機関の保有状況を調べるのではなく、機関の保有状況から企業名を調べる(例えば『最近の機関による買い増し数ランキング』を表示するなど)逆方向のサーチですね。説明するまでもないですが…)もあればいいなと思ったのですが、よく考えたら昨日の記事にもあった通り、機関が大量に購入したからといってそれが爆上げにつながるわけでもないと思うので、「気になる銘柄→機関の売買をチェック」という方向のデータさえ見られれば、「機関の売買→銘柄の発見」という逆方向のデータ検索は特になくてもいいかな、という気もします。


もちろんあった方が便利だし、そもそもただ見落としているだけで実は普通にあるのかもしれませんが、またスクリーニングツールも見つけたら取り上げてみようかと思います。

 


とりあえず、活かせはしないけれどデータを見るのが好きな立場としては、とても面白い情報でした。これだけの情報が無料で手に入るって、本当に凄いですね。さすがインターネッツ、おれたちがほしい情報を平然と提供してくれるッ そこにシビれる!あこがれるゥ!

 

何か少しでも参考になった点がありましたら幸いです。