…と疑問に思ったので以前調べたのですが、実はこんなのは調べるまでもなく、単純に、「株式の分割や併合に伴い、保有しているオプションもそれに応じて合理的に調節される」ということになるようです。

 

全てはOptions Clearing Corporation (OCC) が勝手にやってくれるので、我々は何も気にする必要ありません。


気になる方は、全てのオプション取引に関する調節・変更は、OCCにより公式にアナウンスがなされているようなので、それを見るのが一番確実かと思われます。
http://www.optionsclearing.com/clearing/clearing-infomemos/infomemos1.jsp
(今見たら、『SUNEが倒産手続きに入ってSUNEQに変更されるため、オプションのシンボルもSUNEQに変わります』というアナウンスもちゃんとなされていました (#38809)。)

 

 

 

ただ、それだけでは味気ないので、自分の備忘録もかねて、代表的な調節の具体例をまとめておこうかと思います。


情報は全てCharles Schwabの以下のページを参考にさせてもらいました。相変わらず単なる焼き直しに近い形で大して意味もないまとめですが…。
https://www.schwab.com/public/file/P-3951800/INF57995_114923.pdf

 

 

【株式分割】
単純なようで、地味に整数倍の分割とそれ以外の分割とでは異なる調節がなされるようです。
ただし言うまでもなく、どちらも合理的な計算に基づいているため、どの場合に損だ得だということはありません。

(もっとも、どうしても出てくることのある割り切れない小数が生じた場合は、1セント以下四捨五入になるので、その場合に限り、微妙に元の取引と完全に同じ金額の取引にならない場合はありますが。)

 

<整数倍の分割>
2:1とか3-for-1とかのタイプです。

(余談ですが、この「ただ数字を並べる表記法」って、これがあらかじめ分割だと分かっていれば混乱はないのですが、そうでない場合、一見「2株が1株になる株式併合」なのか「1株が2株になる株式分割」なのかがすごく分かりにくいと個人的には思えてしまいます。
別にそう思わない方のほうが多いかもしれないので余計なお世話かもしれせんが、比の形であれ、forで数字が並んでいる場合であれ、常に『新→旧の並びになっている』と覚えておけば瞬時に判断がつくと思います。
例えば『3-for-2』なら「2株が3株になる、分割だな」、あるいは『1/4』と見たら「4株が1株にまとまってるから、併合だったんだな」という具合ですね)

 

このタイプは非常に単純で、「権利行使価格とオプション取引数が変わる」という調節がなされるようです。

 

例: 権利行使価格2.5のプットを8単位売却していた(⇒権利行使後、2.5ドルで800株購入する義務を負う=2000ドル使う)

→2:1の分割であれば、『権利行使価格1.25のプットを16単位売却』という契約になる⇒権利行使後、1.25ドルで1600株購入する義務を負う=2000ドル使う
→3:1の分割であれば、『権利行使価格0.83のプットを24単位売却』という契約になる⇒権利行使後、0.83ドルで2400株購入する義務を負う=1992ドル使う

 


<整数倍ではない分割>
3-for-2とか7/5とかのタイプですね。
このタイプでは、「権利行使価格が変わり、かつ、オプション単位に変更が加わるが、オプション取引数はそのまま」という調節がなされます。

ちょっとややこしいですが、オプションの取引枚数に小数は使えないため、苦肉の策でしょうか。


また、オプション1単位で扱う株数が変わる影響か、オプションの名前も変わるようです(末尾に1がつく)。

 

例: 権利行使価格2.5のプットを8単位売却していた(=権利行使後、2.5ドルで800株購入する義務を負う=2000ドル使う)
→3:2の分割であれば、『権利行使価格1.67のプットを8単位売却』という契約になるが、オプション1単位で扱う株数が100株から150株になる⇒権利行使後、1.67ドルで8 x 150 =1200株購入する義務を負う=2004ドル使う


割り切れない行使価格のせいで微妙に取引価格に違いが出てきますが、これは仕方ないものとして割り切るしかない感じですね(特に損をしてしまう最後のケースでは)。

 

 

 

【株式併合】
1-for-2から始まり大きいものでは1-for-100の併合なんかもあるようですが、どの場合でも「権利行使価格・オプション取引数・オプション単位あたりの倍率(=今まで『オプション1単位で扱う株数』と書いていましたが、ここではより正確には『オプション1単位あたりの取引代金倍率』のことで、通常は100倍ですね)は変わらないが、受け渡される株の数と1株あたりの値段を減らす」という調節がなされるそうです。


非常にややこしいのですが、OCCの公式アナウンスのファイルを見ても、確かにそのようになっていました(New Multiplier=倍率は100のままで、New Deliverable Per Contract=契約あたりの受け渡し株数が減らされています)。

 

併合比が100で割り切れない場合は、最も近い整数の株数になるようです。結構誤差が大きくなりますね(下の具体例に示した1:15の併合であれば、1単位当たり100/15の小数部分を四捨五入して7株の受け渡しになる)。

 

また、この例でもオプションの名前が変化します(末尾に1がつく。もちろん2度目の併合であれば、2になるようです)。しかし、オプションの名前なんてそもそも表示すらされないことも多いので、これはあまり大した話ではないですね。

 

例:権利行使価格2.5のコールを8単位売却していた(⇒権利行使後、2.5ドルで800株売却する義務を負う=2000ドル受け取れる)
→1:15の併合であれば、『権利行使価格2.5のコールを8単位売却』という契約のままだが、対象とする株価は新しい併合株を0.07倍したものとし、オプション1単位あたり株を7株受け渡すことになる
⇒もし満期日に株価が2.5/0.07=35.71を上回っていたらこのコールはインザマネーとなり、権利保持者に7 x 8単位=56株売却する義務を負うが、権利保持者からは、元々の権利行使価格と通常の倍率100倍を掛け合わせて、権利行使価格 2.5 x 8単位 x 100=2000ドル受け取ることができる(市場価格が最小のインザマネー35.72であれば、35.72 x 56=2000.32で、誤差は非常に小さいですね)。

 

…なんでこんな意味の分からない手続き(権利行使価格やオプション1単位の倍率はあえて変えず、受け渡しの株数のみ変える)を取っているのか、30秒ぐらい考えてみたんですが、「割とどうでもいいな」と気付いたので、考えることを放棄しました。


まぁ何となくの予想では、権利行使価格を単純に15倍(上記1:15の併合の例)にしないのは、受け渡し株数が100株の1/15になっておらず丸めの誤差が大きいことと関連しているのかな、という気はしますが、本当にそういう理由なのかまでは考えが及びません。

 

多分偉い人がじっくり考えて、これが最も不都合なくオプション取引を回していけるような仕組みなんだろうな、という感じで個人的には納得しておくことにします。

 

 


…と思ったんですが、やっぱりちょっと考えると結構奥が深いというか、どうなっているんだろうと地味に気になる点もありますね…。

 

例えば3:2の分割のケースですが、分割後にオプション1単位で扱われる株数が変わるというのなら、分割前に取引きしていた人と分割後に新たに取引に参加した人とでは同じ1単位のオプションでも取り扱う株数が違うのだろうか??という疑問が湧いてしまいます。
(一見、オプションの名前も変わるということですし、一度でも整数倍ではない分割を経験した株のオプションは、その後永久にオプション1単位の株数が変わるのかな?と思えたんですが、以前3:2の分割を行った株のオプション(例:ROL)を確かめてみたところ、もちろんそんなことはなく、現在ROLのオプション1単位の取扱い株数は100株でした。これは恒久的な変化ではなく、あくまでも分割前に持っていた人のみに適用される「調節」だということですね。)


恐らくOCCは分割以前にオプションを取引きしていた人をきちんと把握しており、分割後に取引きしても自動的に調整してくれるのだとは思いますが、その調整自体がどうやっているのか疑問です。

例えば、分割前に購入したため3-for-2の分割後に「1単位で150株を買う権利」に変化しているコールの権利保持者が、分割後に同じコールを売った場合、新しくコールを買った人は当然分割後の行使価格で「1単位で100株を買う権利」を有することになると思うのですが、果たしてその差分の50株は誰がどこで折り合いを付けるのか、というのが結構気になります(オプション1単位で取引きされる株数が違ってくるので、取引金額にも差異が出ちゃう気がします)。

 

それとも、分割後は権利行使価格が通常ありえない微妙な値になるので、新しく取引きする人はその微妙な値のオプションには参加できないようになってたりするんですかね…?

しかしその場合、微妙な行使価格のオプション保持者は、分割後、取引の機会がかなり小さくなってしまうのでは…??

また、3で割り切れる行使価格だった場合、分割後も普通の整数の行使価格になってしまい通常の取引価格と区別がつかないわけですが、その場合割り切れない行使価格になったオプションと差別が生まれてしまうのではないか…???等々疑問はつきません。

 

実際のオプションの行使価格がどうなっているか確かめてみたかったんですが、ROLは既に分割前のオプションはとっくに満期を迎えているようで確認できず、他に最近整数倍ではない分割をしたオプション取引が行われている銘柄も存在しないため、現状確認できないのが残念な所です。

 

…と思ったら、一応、整数倍の分割ではあるものの、割り切れない行使価格が発生する3:1の分割を最近(2015年10月)したSKXという銘柄がありました。

こちらは結構長期のオプションがあり、分割前に既に存在していたはずでまだ満期を迎えていないオプションがあるのですが、分割に伴い発生したはずの小数点以下.33や.67のオプションは見当たりませんでした。

 

上記の調節ルールを元に考えると、分割に伴い、行使価格が割り切れない小数点を持つオプションが生まれてくるはずなのですが、何でそいつらが見当たらないのかは謎です。これらのオプションを持っている人が、オプションを手離したくなって売り払ったり買い戻したりしたくなったらどうすればいいんでしょうね…?今のところその辺まで言及してくれている情報は見つかっていません。

(恐らく自分が何か致命的な勘違いをしているだけで、実際は「な~んだ、そういうことだったのか」という話なんだと思いますが…。)

 

恐らくこんなしょうもないことが気になる人は1人もいないんじゃないかと思いますが、今後ちょこちょこ調べてみて、疑問が解明したらまた追記しようと思います。

 

 


何か結論としては非常に単純なこと(=分割・併合があっても、合理的に調整されるため、最終的に取引される金額は小数点誤差を除き変わらない)なのに、無駄に長々とこねくり回しただけの上に疑問点も残ったままになってしまい申し訳ない感じです。

 

いずれにせよ、まさに自分に言い聞かせるべき言葉かもしれませんが、オプション取引において分割・併合は「気にしなくて良い!」というのがファイナルアンサーかもしれないですね…!