グッドフェイスについてまとめた先週の記事で米国株現物取引の決済にはT+3ルールが適用されていると述べたのですが、米国株オプション取引はどうなっているのでしょうか?

 

何となく株とそう変わらないように見えるオプション取引なので決済ルールも同じかと思いきや、実はオプション取引の決済はT+1ルールが適用されている、すなわち取引の翌日にはもう決済が完了しています。

 

 

素早く決済されるのはありがたいのですが、なぜあえて株取引のルールとは違うものが適用されているのだろう、何か意味があってのことなのだろうか、と思案に暮れてみたのですが、果たしてなぜなんでしょうね?
色々理由は考えられそうですし、それ以前にそもそも理由などないのかもしれませんが、一番あり得そうなものとしては…

 

 

もしオプションの決済に3営業日かかるとすると、例えば満期日にコールオプションを売却した場合、この取引の決済が完了するのは翌週まで待たねばいけなくなります。

(さらに言うと、先日訂正した通り、オプションの売却資金は満期日を迎えてから得られるものであるので、いつオプションを売却したかに関わらず、オプション取引は『満期日に取引された』とみなされるものなのかもしれません。その場合は、いつ取引したオプションであろうと、T+3ルールが適用されている条件下では決済完了が来週になってしまいますね。)


この時、オプション売却で得られた資金まで株の購入に充てている状況(ちょうど昨日の「ギリッギリの余力でオプションを売却した例」はまさにそうで、権利行使後の株の購入に、オプション売却資金まで当てにしている感じになっています)では、コールの権利が行使されることになった場合、「未決済の資金を用いて市場から株を購入した後、すぐに権利者に行使価格で売却する」という2つの取引を経てしまうため、これはまさにGFVに該当してしまうことになり、それはまずかろうという判断があるのかもしれません。

 

非常にややこしくて恐縮ですが、結論としては、もしオプションの決済がT+1であればこの問題は発生しない(※注)ことになるので、オプション取引の妙に素早い決済というのは、これ(=権利行使後の株のやり取りがGFVになってしまうことを避ける)が一つの理由なのかもしれないですね。
※注:仮に満期日にオプションを取引しても、T+1であれば翌日には決済が完了していることになるので、権利行使による株の売買は全て決済ずみの資金を用いて行われることになるため。


実は、「なぜ権利行使後の株の購入がいつも金曜ではなく土曜になされているのだろう?」と疑問だったんですが、これも、まさにそのことが理由だったのかもしれないですね。土曜日になればオプション取引でやり取りされた資金は1日経過して全て決済ずみになっているため、GFVを犯す心配がありません!
(土曜日を営業日とみなしているのがやや反則くさい気もしますが、そうしないと本当に権利行使後の株のやり取りをいつやればいいんだ、という話になってしまうので、これは苦肉の策の例外扱いなのかもしれないですね。)

 

…が、あくまで勝手な推測ですし、もしかしたら全く的外れな理由付けかもしれませんが、まぁ正直そうなっている理由などどうでもいいっちゃあどうでもいいので、そもそもわざわざ長々と語るほどの話でもなかったかもしれません。

 


しかし、オプションみたいな株取引より複雑そうな取引の決済が1営業日で可能ならば、株取引の決済も本当は1営業日で可能なんじゃないか、実はわざとゆっくり処理して嫌がらせをしているのではないか………本当に全力で決済処理に当たっているのかね君たちは!(机バンバン) 休憩か?休憩中なのか?(机バンバン) お前らグルになって俺をはめようとしてるだろ!(机バンバン) やる気を見せろって言ってるんだやる気を!!(机バンバン) …と思わないでもなかったのですが、まぁオプション取引が複雑そうに見えるといっても所詮「いくらで売った買った」のみの話なので本質的には株と変わらず、一方取り扱われている数は比較にならないぐらい違うので、株取引の決済が3営業日もかかってしまうのは致し方ないのかもしれないですね。

 

 

いずれにせよオプションはT+1ルールが適用なので、1日でデタラメに注文を繰り返したりしない限り、オプション取引が原因となってGFVが課されてしまうことはなく、その点に関しては要らぬ心配はしなくてもよさそうで安心ですね。

 

以上、割とどうでもいい感じの小ネタでした。