(前回のあらすじ)
いつの間にやら権利だなんだと言わなくなったオプーナ氏と、ベアETFのオプションについて夜すがら口角泡を飛ばすような舌戦を繰り広げたスライム。


師匠に当たるオプーナ氏、興奮のあまり語尾の「~ナ」縛りを忘れてしまうこともしばしば。どうもしっくり来ないことも多いため、今後もしばしば興奮のあまり、ついつい変な縛りなしの冷静な口調が出てしまうことも目立ってくるようだぞ。

さすがはスライム、師を動かすとは弟子の鑑!師匠(総資産530000)を追い抜くのも目と鼻の先だ!

 


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ス「あれから三日三晩寝ながら考えたんですが…聞いていただいてもよろしいです?」

 

オ「もちろんですナ。島のことはショーンEさんとコブチャさんが色々尽力してくれていますからナ、私は暇なのです」

 

ス「自分のいい所ってどこだろうと考えてみたんです。他の人と較べて、誇れるとこはあるか…。…足が速いとか、喧嘩の強さ、服のおしゃれさ、音楽の趣味とか…いろいろ思いつく点はなくはなかったんですが…、悲しいかな、この辺は株取引にはあまり関係無いかと」

 

オ「無いでしょうナ」

 

ス「しかし仮に何かあったとしてもですね、大負けしてる時に言ってもただ滑稽に映るだけだし、大勝ちしてから自慢げに言ってもやや鼻につく……いつ言ってもベストではないな、『株取引を行う上で、自分のいいと思う所』を述べるのは存外難しいぞ、などとも思い始めまして…」

 

オ「まぁ、そんなアピールは、別にしないのがベストでしょうナ」

 

ス「あ、やっぱりそう思われます?」

 

オ「まぁ、既に最初の頃にチョロッと語ってる気もしますがナ」

 

ス「…違ぇねえ、ハハハ」

 

オ「あれは別にスライムさんのセリフではありませんがナ、ホホホ」

 

 

ス「まぁその辺はどうだっていいんです。とにかく僕は頑張って、大赤字というあまりにも高すぎる山を越えてみせなきゃならんのです。このままではオ師匠の言葉だって中身を伴わないものとして、薄っぺらくなってしまうんです!」

 

オ「言葉の本質は変わらないもの。誰がどんな状況で言った言葉だろうと、それで中身まで変わってしまうことはないでしょう。そもそも私自身、オプション取引の達人、ワゴンの神などと呼ばれていますが、その実態は頭にボンボンをつけたただの変わり者です。スライムさんとだって、実は大きな違いなどありゃしません」

 

ス「しかし、優等生のよい子に対して『人の嫌がることを進んでする子』というのと、フダ付きのワルやどうしようもないヤンチャなじゃりン子に対して『人の嫌がることを進んでする子』というのとではまるで意味が違うように、僕が黒字か赤字かで、話の説得力やひいては面白さだってきっと段違いになると思うんです!トネガワ先生の言葉を、アンドウが言っちゃいけないんです!!」

 

オ「フム、一理あるようで、実はまるで関係無い例えですナ。とにかく!我々は油断すると株取引とは関係無い話に熱中してしまうようですナ。これはいけない。…して、結局何が言いたかったんですナ?」

 

ス「そうでした、株取引です。すっかりいい所なく赤字は積もる一方だけれど、自分が持ってるもので何かいいもの、武器になるようなものはないだろうか…と考えたら、実はあったんです」

 

オ「まぁ、アレでしょうな」

 

ス「そう、アレです。本命本命と言いつつ、何気に今まで大して触れてこなかった、あいつです、NYMXなんです!」

 

オ「それも正直現在大赤字を叩き出しているわけですが、スライムさん、数だけは持ってますからナ」

 

ス「そうなんです、実はこれを何とかできないかと思ったのが、そもそもこのワゴンランドを訪れたきっかけだったんです」

 

オ「こうして色々と話をしてお茶を濁している内に、NYMXが上がってきて、見事、華麗にカバードコールを売りさばく目論見だった…そんな所でしょうナ」

 

ス「ぐっ、さすがはオプションの達人、鋭い…」

 

オ「そして言うまでもなく、そんな都合のいい目論見は外れてしまい、何も新たな案が浮かぶこともなく、無為無策のまま事ここに至る、と」

 

ス「ウェ~ン、何とかして下さいよ達人さんよぉ~~!!」

 

オ「…まぁ、何ともできませんが、現状を鑑みるという体で、本日のお茶を濁すことぐらいはできそうですナ」

 

ス「仕方ありません、それでいきましょう。じゃあ、説明ヨロシク」

 

 

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オ「こちらがNYMXのオプション板ですナ。これがNYMXオプションで現在取り扱われているものの全てです。NYMXはTWTRと比べて弱小株なため、取扱い品目は非常に貧弱ですナ」

 

 

ス「11月の2.5にある、赤い三角形は何ですか?」

 

オ「『何ですか?』はないでしょうスライムさん。これはあなたが以前注文して無事約定した『プットオプション・売り』を保有していることを示してくれているのでしょう。忘れてもらっては困りますナァ」

 

ス「そうでしたそうでした、面目ネェ。勢いで注文しちまったけど、こんなに長い期間のプット売りは資金を拘束されるだけでその間は何も出来なくなっちまうし、約定後すぐに『しまった』と後悔したんでした。
   まぁ本当は、今みたいにBidがかなり小さかったから、まさか約定しないだろうと思って試しに遊びで1.00で注文してみたら、いきなり注文が吸収・約定されてビックリ、って感じだったんですけど」

 

オ「11月にNYMXが1.50より高い値がついていればスライムさんの勝利、もちろんそれ以前でもスライムさんが期待している通りNYMXが暴騰したら、それに連動して価格のかなり下がっているはずの同じプットオプションを買い戻せば十分な利益が期待できるので、そんなに悪くはない注文ではないのでしょうか……本当にNYMXが上がるならば、ですがナッ!!」

 

ス「僕らに出来ることは何もないんで、こればっかりは祈るしかないですね」

 

オ「まぁそうでしょうナ。さて、スライムさんは現在NYMXを27800株程度お持ちなので、コレを使ってカバードコール売りを仕掛けて一儲けできないか、という話ですが…」

 

ス「カバードコールが売れれば、即座に現金ゲットですもんね。それを元手に、また新たな可能性を求めて無謀な取引にチャレンジしちゃったりなんかして…」

 

※6/19追記訂正: 以下の取消線を加えた対話情報は誤りでした。カバードコールが売れれば即座に現金ゲットで問題ありません。参考までに削除せず残しておきますが、この部分は無視していただければと思います…。

 

オ「それなんですがナ、スライムさん、指摘しそびれていたんですが、カバードコールを売っても、得られた売却資金はすぐには余力資金にはならんのですナ。売却資金が利用可能になるのは、オプションの満期日が過ぎて、権利が失効してからになるのです。もっと早く指摘すべきでしたが、楽しそうに目を輝かせているスライムさんを見ているとなかなか言い出すタイミングがなくて…(書いている人が今まで勘違いしていただけなんですがナ)」

 

ス「な、なんだってーー!じゃあ、高く売れるからと、かなり先のカバードコールを売っても、使える資金は一切増えないで、結局満期日までただじっと暴騰しないことを祈って待つしかないって感じなんですか!?やだーー」

 

オ「そういうことですナ。しかし、幸い一月に一度しかないNYMXの5月限りのオプション期日は、来週に迫っておりますナ。これならわずか1週間でケリがつくので、チャレンジしてみてもいいと思いますナ」

 

ス「そうですね、そうなってるものは仕方ない、それを踏まえてどうすれば最も勝利に近づくことが出来るかを考えて、ベストな手を打てるべく最善の行動をしてみせますよ」

 

オ「(スライムさん、戦いの中で成長してる…)」

 

ス「…と思ったんですけど、なかなか難しっすね…。どうすればいいんでしょう?」(丸投げー)

 

オ「ヘコーッ!…まぁなかなか難しいと思うのは半ば当然で、むしろ『取引に簡単なものなど存在しない』というのは真理であるとも言えるんですナ。とりあえず現状を把握することから始めるのが王道でしょう。
   考慮すべき因子は3つなわけです。行使価格・コール売却代金(プレミアム)・期間、の3つですナ。もちろん、スライムさんとしては、なるべく高い行使価格で・なるべく高い売却代金で・できれば手早く短い期間で、コールを売ることをお望みなのですナ」

 

ス「いかにも」

 

オ「そこで板を見ると、まず残念ながら、いの一番に候補から外れてしまうのが、Bid Sizeが0のオプションですナ。Bid Sizeが0、つまり買いたい人が存在しなくては、どんな価格で売ろうとしても、それは徒労に終わりますナ」

 

ス「例えBid Sizeが0でも、かなりお得な条件を提示すれば、買いたい人がひょっこり現れたりすることもあるのではなくって?」

 

オ「それもないわけではないですが、この場合においてはまずあり得ないでしょうナ。なぜならば、このオプションの最低Bid価格は0.05に設定されているからです。

   Aug16の行使価格5や7.5をご覧なさい。0.05のBidが入っているでしょう。この最低Bidすら入っていないということは(例:May, Junの5や7.5)、本当に、そのオプションに興味のある人が一切存在しないということを示唆しとるわけですナ」

 

ス「はぁ~…。仮にNYMXが暴騰しても、5や7.5で売れるなら万々歳だから、行使価格5や7.5でコールを売れたらそれが一番なんだけどなぁ~。そう上手くはいかない、ってことですね」

 

オ「もちろん、8月まで待てるなら、行使価格5のコールを買ってもいいという人は存在しているようですがナ」

 

ス「でも、僕、実は8月ぐらいにはNYMXはひょっとして10ぐらい行ってるかもしれないんじゃないかって密かに思ってるんだけどな。もちろん根拠もない、行ってくれたらいいなぁ、って希望でしかないんだけどさ」

 

オ「あながち可能性は0ではないでしょうナ。なぜなら、まさにそう予想している人が、5や7.5のコールにBidを入れているわけですから」

 

ス「う~ん、僕はケチンボだし、先のことも予想できないから、やっぱり来週限りのオプションで手を打つとするよ」

 

オ「『手を打つ』とは、何とも上から目線というか、それを選べば成功するかのような物言いですが…。
   まぁスライムさんがそう思うならそれでいいでしょう。しかしその場合、現実的に選べる選択肢は、行使価格2.5のみですナ。ここまで決めたら、あとはいくらでコールを売るか、売却代金の決定を残すのみですナ。
   現在Bid(=買いたい!)は最低価格の0.05、Ask(=売りたい!)は0.15となっており、どちらも譲ることなく、均衡が保たれているようですナ」

 

ス「0.05かぁ…。オ師匠はその考え方はダメって言ってたけど、僕はNYMXを2.59で購入したから、仮に来週株価が2.5を超えて権利が行使されちゃったら、コール売却金を含めても実質2.55で株を売ったことになって赤字になっちゃうなぁ…」

 

オ「まぁ『自分がいくらで買ったか』を基準に考えちゃダメだなどと言いましたが、それを抜きにしても、0.05で売ること自体が、リスクとリターンとを比較して釣り合いが取れていないと自分が感じるのならば、それは自分にとってベストな選択肢ではないと判断するのもありでしょう。最後はスライムさんの気持ち次第です。
   ただ、人々の合理的な思考が数字として表れている市場においては、『0.05で買えるならお買い得だ』『0.15で売れるならお得だから売りたい』と思っている人が、現時点において少なくとも存在しているということは、板を見れば間違いないようですナ」

 

ス「よし、じゃあ間を取って0.10で行くよ。これなら大きな失敗にはならないでしょう!!」

 

オ「スライムさんらしい、どっちつかずの真ん中をとった折衷案ですナ。けなしているわけじゃないですよ、それが正しい選択なのかどうかなんて、そもそも私にも分かりません」

 

ス「でも、たった14枚分しかBidは入っていないんだね。ためしに14注文入れたらどのくらいのお金が手に入るのか、見てみよう」ぽちぃーっ

 

 

 

ス「128ドルか。1週間で得られる分と考えたら悪くないね。でも僕は278までカバードコールでオプションを売れるから、そうだな、欲張って100ぐらい売ってみたらどうなるか見てみよう」ぽちぃーっ

 

 

 

ス「まぁ、当たり前だけど、大体さっきの7倍強ぐらいの970ドルも貰えるんだね。これだけ儲けられるのなら、リスクを取る価値もありそうだ、早速注文してみよう!」ぽちぃーっ

 

 

 

ス「あ、Askが0.10になった!青い矢印もついて、ここに注文を入れているってことが分かるんだね。でもAsk Sizeが120なのは?僕は100しか入れてないけど、多分ツールを使って何かのアルゴリズムだかで自動的に最低Ask価格に追従する設定にしている人でもいたりするのかな…?
   まぁいいや、僕は今日はこの後用事があって取引画面を見ていられないから、終わってからの楽しみだね!約定していたら嬉しいけど…ここは祈るしかないところだな…!」

 


オ「ホッホッホ。何だか非常に初心者向けの取引報告みたいな感じで微笑ましいというか何というかですが、実際スライムさん自身初心者なんで、温かく見守っていただけたら嬉しいですナ」

 

 

 


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ス「さて、市場は閉まっちゃったけど、戻ってきたよ。オ師匠、注文はどうなった?」

 

オ「ホッホッ、残念ながらBidの人はスライムさんの注文に歩み寄ることなく、スライムさんの注文は約定せずに終わってしまったよ」

 

ス「ちぇーーっ、何だぁ~、期待してたのに…。でもまだ来週の満期日まで5日程度はあるってことだね。NYMXの株価が上がってくれれば、コールも売りやすくなるからありがたいんだけど、そうは上手くいかないのが世の常なんだよねぇ~。ここはもう、やっぱり、祈るしかないところだな…!」

 

オ「ホッホッ、おやつさんよろしく、『こいついつも祈ってんな』となる未来が目に浮かぶようですが…。何はともあれスライムさん、ここからちょっとずつでも利益を積み重ねていけるとよいですナ…。スライムさんの冒険はまだまだ始まったばかり…」

 

 

 


何の役にも立たない普通のモンスターだけど…市場を支配する強大な魔物を倒して、利益を手にする資格は、果たしてスライムにあるのだろうか?
運を味方にして…願い叶うまで…負けるなスライム、Do your best!