たまに話題に出しているオプション取引ですが、馴染みの薄い方もいらっしゃるかもしれないので、簡単にまとめてみようかと思います。

 

(※6/26追記:特にオプションの『買い』について、記事執筆当時は目がいっていなかった点について新たにまとめたので、興味がある方はそちらもご覧ください)

現物買いとコールオプション買いの比較~それぞれの利点・弱点は?

 

…とは言ってみたものの、オプション歴2か月(しかもちょっと触ってみただけ)ぐらいの素人の浅知恵で解説できるようなことなどほとんどなく、オプションについて紹介しようにも自分自身参考にしたオプション道場というサイト以上に分かりやすい説明など無理無理かたつむりにも程があるため、ここはその間隙を縫って、実際経験してみたからこそ言える素人の雑感・感想みたいな浅い話を適当に並べてみようかと思います。

 

まずオプションとは何ぞやですが、オプションと聞いてシューティングゲームの分身しか思い浮かばない方(そんな人いるのか?)は、これはもうやっぱり、ぜひオプション道場をご覧ください。
対話形式の分かりやすい解説で、やり取りも軽妙で非常に面白いです。

 

http://www.option-dojo.com/le/

 

入門の1-7ぐらいまで読めば、仕組みに関する基礎知識はばっちりでしょう。

 

既に、この時点で、こうして偉そうに解説を試みている私スライムめとほぼ同等の知識を習得されたといっても過言ではありません。

 


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一応念のためここでも改めて再度ざっくりと説明しておきますと、オプションには「コール」と「プット」の2種類があり、我々トレーダーは、そのどちらを「買う」ことも「売る」こともできるようになっています。

 

つまり、オプション取引では、「コール買い」「コール売り」「プット買い」「プット売り」の4つの選択肢から、自分が取引したいと思えるものを自由に選んで注文ができるというわけですね。

 

そして、「コール」というのは、指定された値段で株を『買う権利』を、「プット」とは、指定された値段で株を『売る権利』を、それぞれ取引することになります。

 

 

 

…買う権利… …あっ!
http://dic.nicovideo.jp/a/%E3%82%AA%E3%83%97%E3%83%BC%E3%83%8A



節子、それ公式ちゃう、パチモンや!…けどこっちの方が有名だしまぁええか

(画像はアンサイクロペディアより)


「…そう、エナジーボンボンで有名なアイツは、オプション取引が面白いということを暗示していたんだよ!その証拠に名前も似ている!!」
「な、なんだってー!」

 

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脱線しましたが、コールとプットの説明に戻ります。


正直、初見では「買う権利を売る…?売る権利を買う…??なんぞ???」と、一見ややこしくて、「うっ…頭が…」となりますが、落ち着いて整理すると実は言うほどややこしくもない感じです。

 

…と、改めて具体的に一つ一つ説明しようと思ったんですが、あまりにも冗長になってしまう気がしたので、やめておくことにしました。もし初めての知識で混乱されている方はオプション道場の説明を繰り返し読んでみていただければと思います。

 

代わりに具体的ではなく感覚的な説明を試みてみますと、(以前の記事でも同じことを書いたのですが)プットというのは災害保険とまさしく同じ感じのものであり、コールというのは宝くじに似たようなもの、と例えてみると、分かりやすくなるかもしれません(ならないかもしれません)。

 

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「プットを売る」ということは、保険屋さんが保険を売るようなもので、オプションの期限内に株価の暴落という災害さえ起きなければ、保険(プット)を売りつけた後は一切何もする必要がなく、無事に権利が失効したら、プットの売却代金分完全に丸儲けになります。しかしもし株価暴落という災害が起きたら、莫大な保険金をプット購入者に払わなければいけないリスクがあります。

 

「プットを買う」ということは逆に保険を買うようなもので、株価の暴落という災害が起きたら、小さい掛け金で莫大な保険金をゲットして大儲けもできるという寸法になりますが、もし特に大きな暴落もなく平穏なままオプションの期限を迎えてしまうと、何の見返りもない紙くずを買ってしまったことになり、プット購入代金分が丸損という感じですね。

また、例えの文字通り、自分の持っている株のプットを買っておくことで、その株が暴落した時の保険として活用することももちろんできます(というかそれが本来の使い方でしょうか)。

 

「コールを売る」ということは、宝くじを売るようなもので、外れクジを売りつけた場合は売却代金分が丸儲けになりますが、万一株価の爆上げという「当たりクジ」を引かれてしまうと、莫大な当選金をコール購入者に払わなければならないリスクがあります。

 

「コールを買う」ということはもちろんその逆で、購入後株価が上がらなければ外れクジを買ってしまったことと同じでコール購入代金分が丸損ですが、万一大当たりを引いたら、すごい額の当選金を少ない掛け金でゲットできるという夢もあります。

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…うーん、余計分かりづらいだけだったかもしれませんね。

 

いずれにせよこの4種類のオプション取引ですが、よほど無理な設定のオプションを取引しない限り、多くの場合大暴落という災害は起きず、宝くじは外れクジに終わるので、一般的にオプションは「売り手が有利」とされているようです。

 

実際やってみてもそう思いました。基本的には、素人には、オプションの売りが勝率も高くて利益も出しやすく、楽しいかな、と思います。

 

しかし、これもよく言われることですが、オプション売りは万が一マズイ方向に大きく動いてしまうと(プットなら大暴落、コールなら大暴騰)、その時のリスクが青天井、取引額によっては文字通り一発で破産する可能性すらあるのが怖い所です。


99回連続で勝っても、次の1回で負けたら破産、がオプション売りの怖さであり、リスクを考慮しない無茶な売りを続けていると、いつか必ず破滅すると言われています。

 

印象に残っているオプション売りの危険性に関する例え話的な言い回しに、こんなのがありました。

 

「泥棒はいつか必ず捕まる。なぜなら、捕まるまでやめないから」

(探してみたら、こちらのYahoo知恵袋でした)

 

 

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…と、いかにも恐怖心を煽る怖い書き方をしてしまいましたが、実はこれらは大きくレバレッジを効かせられる日経平均オプション取引を想定して言われていることであり、なんと実は、我らが米国株オプションは、少なくとも現物株口座しか持っていないのであれば、レバレッジを効かせることができません(※注)(もしかしたら、日経平均オプションと米国株オプションの違いではなく、単に使っている口座が現物株口座か信用口座かの違いなのかもしれませんが…)。


これはすなわち大儲けができない代わりに破産して命を失うこともないシステムになっていると言えるのではないかと思います。

 

※注:ここでいう「レバレッジを効かせられない」というのは証拠金のレバレッジのことであり、例えばプットを売る場合、「権利が行使されて指定価格で株を購入する羽目になった場合、株を全てきちんと買い取れる余力を証拠金として持っていない限り、売り注文を出せない」という意味になります(実際自分の口座ではそうなっていますが、ひょっとすると証券会社によって違いがあるのかもしれません。また前述の通り、信用口座をお持ちであれば、米国株オプション取引でも普通にレバレッジをかけられるのかもしれません)。
また、売り注文成立後は、無事権利日を迎えるか、同じプットを買い戻すかするまで、証拠金を別の取引に使うことはできません。一時的に証券会社に没収されたのと同じことになります(もっとも、それが「証拠金」というものなので、言うまでもない話ではあるわけですが)。

 

一方日経平均オプションであれば、証拠金として権利行使時の20%ぐらい(?やったことないので適当ですが)を用意しておけば取引ができるらしいので、手持ちの資金より遥かに大きい額の取引ができるのですが、いざ大暴落を迎えてしまうと追証が発生してテンヤワンヤになってしまうわけですね(レバレッジの効く信用取引全般にいえる話ですが)。

 


もちろん、レバレッジを効かせられなくても、なおオプション売りが危険なことには変わりないですが、どこぞの青いスライムのような無茶無謀な取引をしない限り、個人的には極めて高い確率で、配当金よりもはるかに高い収益を上げられるのではないかと思います(度々配当金を目の敵にしているかのような物言いですが、そういった意図は全くないのでお目こぼしいただければと思います)。

 

また、中には破産リスク完全0でオプション売り取引ができる方法もありまして、それが、いわゆる「カバードコール」の売りになります。カバードコール売りとは、現物株を持ちながら、その株のコールオプションを売る、という方法です。

 

実は、プット売りの場合、損失が青天井といっても、「権利行使価格で株を買い取ればよい」だけなので損失は無限大ではありません。しかし、コール売りの場合、権利行使されたときの現在価格で株を買って、それをコールの権利保持者に売り渡さなければいけないので、リアルに損失は無限大の可能性があります。
(例えば権利行使価格100ドルのコールオプションを売った株が、万が一権利行使日に100万ドルになっていたら、1株当たり100万ドルでその株を市場から買って、1株100ドルで権利保持者に売ってあげなきゃいけないわけですね。極端な例ですが、むしろ100万ドルが株価の上限でもないので、本当の意味で損失リスクは青天井無限大です。)

 

しかし、そこでカバードコールです。自分が現物を持っている株であれば、仮に権利が行使されて権利保持者に株を売り渡さなくてはいけなくなっても、自分が持っている株をそのまま売ってあげればそれでOKですよね。

その株が現在100万ドルになっていても、100万ドルで株を市場から買ってきて権利者に売る必要などどこにもなく、自分の手持ちの株を売ってあげればそれで事足りるわけです。

もちろん100万ドルで売れる株をわずか100ドルで権利保持者に売らなくてはいけないので非常にもったいないですが、少なくとも破産することは絶対に無いわけですね。

 

また破産リスク0というメリットにとどまらず、現物株をただ持って眠らせておくぐらいなら、その株を担保にカバードコール売りをするというのは非常に賢い戦略だと思います。

「そこまでは上がらないだろう」という行使価格のコールを毎週売り続ければ、株を持ち続けながら毎週ずっとコール売却代が稼げるわけですし、万一権利行使価格に届いてしまって株を手放すことになっても、ただ単純にその価格で株を売却して利益を確定した、というだけにすぎないので全然問題無しです。

 

 

米国株を取引する最大のメリットは、実は何を隠そう、自分の興味のある株、あるいは保有している株で、個別株オプション取引ができる、という点にあるのかもしれません。

(もちろんGLBSのような弱小クズ株なんかではオプションが取り扱われていない場合もありますが、有名所であれば確実に、日々かなりの量が取引されているはずです。)

 


唯一のネックは、オプション取引の最小単位は100株であるため、ある程度の資金がないと取引に参加できない、ということが挙げられるかもしれません。
例えば700ドルのGoogle株のプットを売りたい場合、最小1単位のプット売りでも、権利行使されたときに備えてGoogle株を100株購入できる分、すなわち7万ドルもの資金が口座内に買付余力として必要になります(もちろんレバレッジを効かせられない場合の話です)。


ただ、さすがにGoogleだと非常に高価ですが、例えば10ドルの株なら1000ドルから、3ドルの株なら300ドルからオプション売り取引に参加できるわけです。

 

ただし、これも以前の記事で書きましたが、低位株のオプションは、株自体がマイナーなこともあってか、それほど活発にはオプション取引がされていない上に、オプション取扱い品目も貧弱な可能性があります。具体的には、権利行使価格の設定が異様に少ない、権利行使日が月1回しか設定されていない、などですね。
(例えば以前触れたPRGN株は、いつの間にかオプション取引が開始されたようですが、現在2.50と5.00の行使価格のものしか取引きされておらず、コールはアウトオブザマネーのものしか、プットはインザマネーのものしか存在しないという惨状です。しかも、今のところ7月限りの、2か月も先のものしか扱われていないようです。
もちろんPRGNが今後値上がりしたりして盛り上がれば、オプションの取扱い品目も増えていくと思いますが)

 

 

いずれにせよ自分の予算にあった範囲で扱える興味深い米国株オプションは、探してみればきっと見つかるかもしれません。

 

 

なぜか続きます。