毎日をただこなしているように見えても、
私たちは知らないうちに小さな壁を越えています。
心理学者アルバート・バンデューラさんは、
そんな小さな成功体験の積み重ねが、
自己効力感という自信を育てるのだと言っています。
“ただの日常”にも、小さな壁はある
忙しい日々の中で、
「今日は何もしてないな」
「ただ過ぎただけだった」と感じる日ってありますよね。
でも、そんな一日の中にも、実は“越えた壁”はちゃんと存在しています。
たとえば私の場合。
今朝、少年野球のチームから
「週末の大会、お母さんも選手として出てください」と言われて、
びっくりしてしまいました
(低学年向けの大会で、母も数名出場するというルールがあるのです)。
正直「えーなぜ私…」と思ったのですが、
ちょっとした興味もあって、「頑張ります」と返事をしてしまいました。
他にも、SNSで見かけた投稿に「いいな」と思った気持ちを、
コメントにして伝えることができた。
そういえば昨日、久しぶりに雑巾を使って床掃除をしました。
少し面倒だったけれど、やってみたら想像以上に気持ち良かった。
どれも、小さくて誰にも気づかれないような出来事です。
でも、自分の中ではちょっとだけ勇気を出したり、
面倒を乗り越えたりした“越境体験”なのです。
“やってみた”を、もっと大事にしていい
大学で心理学を学んだとき、
「成功体験の積み重ねが、自信を育てる」と教わったことが印象に残っています。
これは「自己効力感(self-efficacy)」という概念で、
提唱したのは心理学者のアルバート・バンデューラさんです。
自己効力感とは、「自分ならできるかもしれない」という感覚のこと。
この感覚を高める一番の方法が、“成功体験を積むこと”なのだそうです。
といっても、成功といっても
「表彰される」「成果を出す」といった大きなことではなく、
「ちょっと気が進まなかったけど返事できた」
「面倒だけどやってみたら気持ちよかった」
「言葉にするのが恥ずかしかったけど、コメントを残せた」
そんな“やってみた”が積み重なって、自分への信頼が育っていくのです。
「できた」と思えた瞬間、自分が少し好きになる
私は、そうした小さな体験を見逃さずにいたいと思っています。
誰かが褒めてくれるわけでもない、報酬があるわけでもない。
それでも、「あれ、私ちゃんと越えてたな」と気づけた瞬間、
自分のことを少しだけ好きになれるのです。
自信って、努力や結果で得られるもののように思われがちだけれど、
その前に「ちゃんとやってたよね」と、
自分の行動に〇をつけることから始まるのかもしれません。
きっと誰にでも、今日ひとつぐらい、
小さな“越境体験”があったのではないでしょうか。
忙しい日々の中で見逃しているだけで、
「ちゃんと超えてた」ことは、実はたくさんあるのです。
まとめ|小さな壁を越えた自分に、静かに拍手を
「もっと自信を持ちたい」「変わりたい」と思ったとき、
人はつい大きなチャレンジをしなければ…と思ってしまいがちです。
でも、毎日の中にはちゃんと“越えた”瞬間があって、
それに気づいてあげるだけで、
自分の中に静かにろうそくの炎が灯るような感覚が生まれます。
大げさなことじゃなくていい。
今日もそっと、小さな壁を越えていたあなたに、
静かに拍手を送りたいと思います。
パチパチ!