「間違えたらどうしよう」「失敗したら恥ずかしい」
そんな思いが、私たちの一歩を止めてしまうことがあります。
でも実は、“失敗できる環境”こそが、

人を強くし、前へ進ませてくれるのです。
今回はエイミー・C・エドモンドソン著『失敗できる組織』をヒントに、

失敗の捉え方と心理的安全性の重要性について考えてみます。

1. 間違えたら罰せられる、という記憶

小学生のころ、間違えた答えを言うと、

先生に叩かれたり、罰掃除をさせられたりすることがありました。
「また間違えたの?」「こんな簡単な問題もわからないの?」
そんな言葉に、教室中の笑いが重なる——その体験は、

今でも鮮明に思い出せます。

“間違える=価値が下がること”“失敗=笑われること”という感覚が、

自分の中に深く刻み込まれていきました。
それ以来、発言の場面では「正解を言えるか」ばかりを気にして、

内容よりも“失敗しないこと”を優先していた気がします。

 

2. 失敗を“質”で見分けるという視点

エイミー・C・エドモンドソンの著書『失敗できる組織』では、

失敗を「すべて同じもの」として扱わず、3つのタイプに分類しています。

  • 基本的な失敗:注意不足やスキル不足による予防可能な失敗

  • 複雑な失敗:複数の要因が絡み合う避けがたい失敗

  • 知的な失敗:未知の挑戦の中で起こる価値ある失敗

特に彼女が強調するのは、「知的な失敗」はむしろ歓迎すべきであるという点です。

「イノベーションが不可欠な時代において、挑戦と失敗を増やし、そこから学ぼうとする環境をつくることは、組織の責務である」

 

すべての失敗を肯定するのではなく、その「質」を見極め、

意味ある失敗を育てることこそが成長の鍵。

過去の私が“恐れていた失敗”のすべてが、悪いものではないのです。

3. “失敗できる環境”が人を変える

失敗しても責められない。
むしろ、「やってみたこと自体がすごい」

「そこに気づけたのが収穫だ」と声をかけてもらえる。
そんな空気のなかでは、人は守りに入らず、

自然と次の一手を考えられるようになります。

たとえば、思い切って挑戦したことが思うようにいかなかったとき。
かつての自分なら、自責や自己否定のループに陥っていたかもしれません。
でも、ラクアカでの学びを経験した今はこう思えます。

「次にもっとうまくやるにはどうすれば良いか?」と。

発明家のトーマス・エジソンはこう語っています。

「私は失敗したことがない。ただ、1万通りのうまくいかない方法を見つけただけだ。」
"I have not failed. I've just found 10,000 ways that won't work." — Thomas Edison

 

この言葉は、失敗とはやってはいけないことではなく、
何かを前に進めようとする中で、

誰もが通る“当たり前の過程”であることを思い出させてくれます。

 

4. 心理的安全性が失敗を“力”に変える

エドモンドソンの研究の出発点は、医療現場での失敗報告に関する調査でした。

そこでは意外な結果が出ています。

心理的安全性の高いチームほど、失敗報告の数が多かった

 

これは、「安心して失敗を共有できる環境」があるからこそ、

隠すことなく改善につながるという証拠です。
心理的安全性とは、「チームの他のメンバーが自分の発言を拒絶したり、

罰したりしないと確信できる状態」のこと。
自分の考えや不安、失敗を口にしても、

人格を否定されないと信じられる土壌があるから、人は挑戦できるのです。

 

5. まとめ:強さとは、安心して失敗できること

真の強さとは、完璧であることではなく、

失敗しても立ち上がれる柔軟さだと今では思います。
そして、その柔軟さを支えるのは、

挑戦のための“安全基地”があることなのだと思います。

失敗を「なかったこと」にするのではなく、

「次につながる出来事」として受け取れる力。
それが、私たちがこれから育てていくべき“挑戦する力”ではないでしょうか。
あなたは今、どのタイプの失敗に直面していますか?
それは、責めるべき失敗ではなく、

未来を切り拓くための“正しい失敗”かもしれません。

 

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