仕事を終えて、パンプスでパンパンに浮腫んだ足を労わりながら歩いていると、ふと胸の奥にぽっかり空いた穴のような感覚が広がります。

 

「わたし、今日も笑っていたはずなのに、なんでこんなに疲れてるんだろう…」 そんな感情に襲われた経験、ありませんか?

 

 

 なぜ、職場の人間関係が疲れるのか

 

40代という年齢を迎えると、職場の中では “潤滑油” であることを求められるポジションだと思いがちです。

 

若手にはやさしく、上司には気を配り、後輩のミスはなかったことのようにカバー。

 

わたしも過去、そんな「できる大人の女性を演じる」のが当たり前になっていました。そう、演じていたんです。

 

自分の本音を抑え込み、相手の顔色を読むことばかりに意識を向けていました。でも、ふとした瞬間に思うのです。

 

“この気配り、ただの自己満足では?”と。

 

間違った「気の遣い方」は、自分の心のエネルギーを静かに、かつ、確実に消耗させていく行為です。

 

相手のためを思っての行動が、実は、自分をよく見せたい、よく思ってほしいという、自分に矢印を向けたものだったんです。

 

顕在意識では「見返りなんて求めていない」のに、潜在意識では思いっきり求めている。

 

この矛盾に、心が悲鳴をあげていたのだと思います。

 

 

誰に言われたわけでもないのに、“誰かの期待を裏切らないこと” を自分に課して、優しさだったり責任感だったりを押し売りして、自分自身の心を置き去りにして、疲弊してしまう。

 

イライラやもやもやを誰かのせいにしていたけれど、結局、全部自分が作り出したことなんですよね。

 

まずは “自分を整える” ことが先なんだなと、強く感じました。

 

40代女性の約6割が「職場での人間関係にストレスを感じている」と回答しているそうです。とくに地方在住の女性は、同調圧力の強さや役割期待の重さから、都市部よりもさらに心理的負担を感じている傾向があると報告されています。

最新調査で見る40代女性の生活不安と地域差

 

 

 孤独感はなぜ見えにくいのか

 

当時の職場にも、所謂「人気者」と言われる人がいました。

 

その人は常に誰かと話していて、わたしは「休憩時間位ゆっくり休んだらいいのに」と思っていたものです。

 

※講師業なので、講義でさんざん喋るのに、喉休めなくて大丈夫?!というという感覚。

 

 

でも、その人がポツリとこぼした一言が忘れられません。 

 

「話せば話すほど、なんか空しくなるんだよね」と。

 

にぎやかな会話、丁寧な対応、明るい笑顔…その裏側には、「本当のわたしをわかってくれる人がいない」という深い孤独が潜んでいるのかもしれません。

 

特に40代になると、「弱音を吐くこと=未熟さ」と捉えられることを恐れて、自分の本音を封じ込める傾向があるように感じます。(実際、そういう人をたくさん見てきました)

 

責任のある立場や家庭との両立、さらけ出して受け入れらなかった場合の不安など、自分を出すことが難しいのかもしれません。

 

表面的なつながりではなく、安心して本音を語れる “心の安全基地” こそが、40代のわたしたちにとって最も必要なものです。

 

心をさらけ出せる存在や場が、大人になったわたしたちの人生を支えてくれます。

 

「気軽に悩みを話せる友人がいない」と答えた40代女性が全体の48%にものぼっています。周囲に人がいても、心を預けられる相手がいない。そんな“孤独の見えにくさ”こそが、現代女性の生きづらさの根源なのです。

最新調査で見る40代女性の生活不安と地域差

 

 

 40代女性特有の“感情のすり減り”

 

年齢を重ねるほど、職場で求められる “役割” が増えていきますよね。

 

頼られることは確かにやりがいのあること。

 

でも同時に、“感情を削る機会” が増えることでもあったのです。

 

誰かの悩みに耳を傾け、トラブルの火消しをし、気配りの一言を忘れずに伝える…そういったひとつひとつの行為が、見えない感情のマイルストーンになっていました。

 

感情を使いすぎて「自分の気持ちがわからない」という状態になってしまうこともあります。

 

それはまさに、“感情のすり減り” であり、心の摩耗です。

 

仕事を終えて家に着いたとき、心の充電残量は何%か考えるようになりました。

 

結果は…マイナスとまでは言いませんが、限りなく0に近かった記憶があります。

 

“笑顔で頑張っている” の裏側にあるエネルギー消耗。どうしたら少なくできるんだろう?

 

ゆっくり考えている暇もなく、また今日が始まり、そして消耗…の繰り返しでした。

 

 

 負のループからの脱却

 

わたしが最初に取り組んだのは、「なんでもポジティブに考える」ということ。

 

併せて、お気に入りのカフェでノートを開き、その日に感じたことをただ素直に書き出していく。

 

これが完全に逆効果でした(涙)。

 

何でもポジティブに変換することに無理があり、ノートにはネガティブワードの羅列。ブレーキをかけながらアクセルを踏んでいるような、ちぐはぐな状態です。

 

こういう時って、一人ではどうにもこうにもなりません。

 

視野が狭すぎるので、人の目を借りるしかないです。これは断言します。

 

じゃあ、「話を聴くだけのカフェ」や「感情表現ワークショップ」といった、感情の整理を目的とした場にいけばいいのか?

 

こういった類のものでは、ループからは抜け出せないです。

 

一時的には楽になりますが、根本的には何も変わらないからです。

 

わたしのこれまでの人生で、最も効果があったのは、「思考ではなく、捉え方にフォーカスする」という方法です。

 

感情を生み出すのは思考、思考の元となるのは捉え方(認知)。

 

だから、感情にフォーカスしても、同じ出来事に遭遇したら、また同じ感情が生まれるのです。

 

この仕組み(中庸思考🄬)を高衣沙彩さんから学び、永遠に続くかと思ったループから、やっと抜け出せたのです。

 

 

セルフチェック:あなたの心の状態を見つめる5つの質問

  1. 最近、何かに感謝したことを思い出せますか?

  2. 人と話した後、「疲れた」と感じることが多くありませんか?

  3. 週に1回でも、自分だけの時間を持てていますか?

  4. 何もしていない時間に、罪悪感を感じていませんか?

  5. 「本当の自分を出せる場」がありますか?

どれかひとつでも「ドキッ」とした方は、少し立ち止まるタイミングかもしれません。

 

 

 おわりに

 

人間関係に疲れるのは、あなたが繊細で思いやりがあり、一生懸命な人だからです。

 

そんなあなたが抱える孤独や疲労感に蓋をせず、自分の心に正直に、少しずつでも自分を解放する時間を持ってください。

 

あなたの心が、静かにやわらかくほぐれていきますように。