夜風が窓辺をそっと撫でる静かな夜。マグから立ち上るコーヒーの香りと、頬に触れるひんやりした空気、カーテン越しに見える星のきらめきを見つめる。

 

こんなドラマみたいな生活とは程遠い40代を送っていたわたし。現実はもっと、厳しくて、辛くて、でも楽しくて、とにかくがむしゃらだった。

 

そして時々、「この先わたしは、どんな人生を送るんだろう」って不安になってました。

 

名刺に並ぶ肩書きや、SNSのプロフィールに書ける経歴はそれなりに増えていたけど、どこか心の奥で「これでいいの?」というひっかりがあったんです。

 

あの頃悩んでいた自分に言ってあげたいのは、「何を持っているか」より「どんな物語を生きるか」で決めればいいんだよ、ということ。

 

 

 

 

 

ステータスでは語れない「わたしのストーリー」

 

40代ともなれば、誰だって履歴書に書けることはそれなりにあるものです。でも、その「ステータス」って本当にわたしたちを表してるんでしょうか?

 

古いアルバムをめくって...ではなく、ネットにある10年前の写真を漁りながら、思い出します。

 

大規模なカンファレンスに登壇した日のちょっと緊張した表情のわたし、何度か落ちてやっと手に入れた資格が嬉しくて嬉しくて撮り収めた合格証、初めて出版した時に本屋さんでこっそり撮った自著、——どれも誇らしい瞬間。

 

でも、心をじんわり温めてくれる思い出って、意外とそういうものじゃなかったり。

 

暑い夏の日、ふらっと入ったカフェで、アイスコーヒーじゃなくて思わずビールを飲んだ時の爽快感。秋の夕暮れ、ざくざくっと枯れ葉を踏みしめた時の感触。信号待ちしていたら突然ご婦人に「素敵なコートね」と言われて少しだけ暖かくなった雪の日。

 

そんな「小さな瞬間」がわたしの物語を色づけていたなーって、思い出すんです。

 

次の10年は、もっと「市川やすこらしいストーリー」で満たしていきたい。そう決意しました。

 

 

 

40代から始める『次の10年』のデザイン

 

次の10年をデザインするって、なんだか大げさに聞こえるかもしれませんね。でも実は、内側の小さな声に耳を澄ませることから始まるんです。

 

 

1. 価値観を明確にする

みんなわかっているようでわかっていない、「本当は何が大切なんだろう」ってこと。

 

40代の頃のわたしは、「欲しいモノ」とか「年収アップ」とか、物欲にまみれていて、目に見えないものに価値があるなんて全く気付いていませんでした。

 

今は、「心から没頭できること」「感動で胸がいっぱいになる瞬間」を大事にしています。そこに、「自分が本当に大切にしていること」、「自分が価値を感じていること」があらわれているからです。

 

自分の価値観が明確になると、何を選ぶかだけじゃなく、何を「選ばない」かを決める勇気も自然と手に入ります。これらが、次の10年を形づくる土台となるんです。

 

 

2. 小さな行動が紡ぐ物語

「いつか行きたいな」って思っていた、とある場所。仕事がキャンセルになったので、夫を誘ってふらっと行ってみたんです。予備知識なしで。

 

そこでは偶然、漫画家さんが似顔絵を描いてくれるイベントをやっていたんです。しかも、夫曰く、かなり有名な方で。

 

こんなチャンス2度とはないので、もちろん、夫とふたりで描いてもらいました。今でも我が家の壁に飾られています。

 

それからというもの、「漫画家さんにオシャレな似顔絵が描いてもらう」ことが、わたしたち夫婦の共有生涯イベントの1つとなりました。

 

完璧な準備なんて必要ないんですよね。好奇心に従って踏み出す一歩一歩が、誰にも真似できない「市川やすこ物語」を紡いでいくんだなって思います。

 

 

3. 柔軟さが生む物語の深み

出張で行った地方でのこと。完璧な準備なんて必要ないを実践していたわたしは、特に予約せずとも美味しいご飯を食べれらると思っていました。

 

でも、ここ良さそう!と思ったお店はどこも「予約してますか?」と聞かれ、撃沈。がっかり(そしてちょっぴりイライラ)しながら探し疲れたわたしは、全国どこにでもあるファミリーレストランに入りました。

 

そこで出会った地元の常連さんとの会話(普段絶対しないけど)が、妙に盛り上がり。特別なご飯は食べられなかったけど、かえって忘れられない思い出になりました。

 

人生って、計画通りに進まないからこそ面白いんですよね。「失敗」や「予定外」も全部、わたしの物語の一部。柔軟な心があれば、どんな展開も楽しめる。楽しめる力って、大事ですよね。

 

 

 

 

「わたしらしいストーリー」を描くためのアクション

 

さて、思い出話はもういいよ、結局何すればいいの?って思いますよね。わたし自身、実際にやってみて効果を感じた具体的なアクションをいくつか紹介します。

 

1. 未来の自分になり切る

わたしはよくビールを飲むんですが、10年後の自分もビール飲んでるかな?って思うんです。「どこにいるかな、何してるかな」って想像して、未来の自分になり切ってみるんです。

 

意外だったのは、「ビールを飲んでいる」というイメージ。あはは。10年後も飲んでるかーと、思わず笑ってしまいました。

 

でも、そこから、じゃあ仕事は何してる?どんな服着てる?誰といる?どんな暮らしっぷり?と、考え始めたらすごくワクワクしたんですよね。

 

「あぁ、そうだよね、こんな風に生きたいんだよね」って気づきがあり、そういう自分になれるという確信、自分を信じるという心持が、強くなりました。

 

 

2. ライフデザインジャーナルを始める

スマホの中に溢れる写真やデジタルスケジュールはめちゃくちゃ便利ですが、人生の記録は手書きできる手帳やノートを使うことをお勧めします。「今日、心が動いた瞬間」を箇条書きにするだけの簡単なものでいいんです。

 

「炬燵で暖をとりながら飲んだお茶の香り」
「わたしの好きな曲が音漏れでおすそ分け」
「電車で見かけたおじいちゃんと孫の笑顔」

 

こんな風に書き留めていくと、不思議と日常が輝きだして、「わたしの物語」が少しずつ形になっていくんです。

 

1日のうちに色々な感情を持っているのに、ほとんど無視して終わっているはずです。そこに気付いてあげるだけ。それを出来るのは自分だけ。

 

3. 心を満たすコミュニティを選ぶ

「義理でつきあうイベント」より、「豊かになる集まり」を選ぶようになりました。今は、オンラインで繋がることができる時代ですので、本当に色々な人と出会い、対話することが可能ですよね。

 

40代だからこそ、縛られずに、自由になっていいと思うんです。今まで一生懸命がんばってきたんですから。

 

人と繋がると、思いがけない視点をもらえますよね。寂しさや時間、プライドを埋めるために人と会うのは30代まで。

 

「お互いが豊かになる」ことが、40代からのコミュニティ選びにマストです。

 

 

 


ステータスを超えた先にある自由な物語

 

仕事が終わって家に戻り、ご飯を食べて、お風呂に入って、気が付くと0時を過ぎています。部屋の明かりを落として、パソコンの明かりでジャーナルをつけます。

 

毎日、「次の10年、市川やすこはどんな物語を生きようかな」って、ワクワクしながら考えています。

 

40代を過ぎると、人生の折り返し地点ともいわれますが、わたしはむしろ「本当の自分らしさ」への旅が始まる時だと思うんです。

 

もう誰かの期待に応えるための人生じゃなくて、わたし自身が「この人生、最高だった!」って心から笑顔になれる物語を選びたい。

 

ステータスより、ストーリーを。あなたも、誰かに語りたくなるような未来を、創ってみませんか?

 

 

お読みいただきありがとうございました!