遺書には何一つ私のことは書いていなかった。

ごめんね。もありがとう。も


それは最後に自分の存在が彼の死を止めることが出来なかった証拠。

苦しかった。

何度もメールし電話し、最後は家にも行ったが、私の思いは届かなかった。彼を止めることは出来なかったのだ。

しかし恩師は言った

ありがとう。と言われてもごめんね。と言われてもあなたは一生自分を責めたわ。
そんな話を恩師にしていた。

「彼は自分の家族が欲しかったのね。だからあなたと出会えたのは仕合わせだったはず」

じゃあなんで。。。


「死ぬほどの仕合わせを手に入れたのか。たまたま自殺し成功してしまったのか。分からないわ。でも彼があなたを守りたいと思ったのは確かよ。遺書にあなた宛てに何も書かなかったんでしょ?」


私はうなずいた。


何も書かない意味・・・
お通夜の時にご両親が
あの子の部屋にビールの缶が散らばっていた。慣れないお酒を飲んで酔い、自殺をしたのだろうと言っていた。

彼は実は大のお酒好き。よく飲みに行っていた。しかし家族の前では飲まなかったようだ。

更に彼の趣味である車で山を走ることも家族は知らなかった。

家族の前で笑顔を見せなかったとのこと。


私が見ていた彼とのギャップに驚いた。


「家族の前にいる時は本当の自分ではない」

そんな彼の言葉を思い出す