箒に乗って


空飛ぶ軟膏をぬって


キリリとした生き物を従えて。



私は魔女に憧れていた。




まだまだほんのり幼い少女の頃




だけど私には、箒もないし

黒猫だって、近所の野良の友達しかいない

軟膏だって、傷薬しか持ってない。




だけど。

おばあちゃんのお家にくると、私は魔女になれた。


かなへびをつかまえて、
小さなカゴヘいれる。

小さなお花も一緒に。


これは蜥蜴よりも綺麗だったから、

魔法みたいだったから

だから、魔女の薬の蜥蜴のかわり。


煮込むのは可哀想で出来ないから、
カゴの中でお花と混ざって龍になる魔法をかける。

一緒に空を飛ぶために。



それから、
なついてくれていた野良犬をお供に従えて。


箒は、これ。






陽に翳すと、キラキラして

星屑を集めて編んで作った箒みたいだったから。




ぺんぺん草で音を奏でて

魔法の杖と、呪文の代わり







そうしたら、

カゴをあけて

龍にならなかったかなへびを外へ出す。


なぜだかいつも、かなへびを龍にする魔法は失敗ばかり。

一度だけ、カゴをあけたら。

龍になったかなへびが飛び立ったのか、中が空っぽになってたことがあった。

自分でかけた魔法のくせに、
少し頭を抱えてしまった。


犬の頭に、

カゴに残った空飛ぶ魔法のお花を飾ったら

私は空飛ぶ箒を握りしめて

走り出します


空へ空へ!



坂道を登って

山の稜線が見えるから、

飛べる気がした。

飛んでる気がした。

友達の犬も、一緒に走ってくれる


クスクス笑いながら、

あの頃私は魔女になれた。

あの友達と、空を飛んでた。





この空を飛んでいた



あの頃となにも変わらない。

空も山も、人の暖かさも

草と土の匂いも。





小さな魔女と、

優しいお供がいたこと

思い出した今日の空





八十八夜、は

通り過ぎたけれど



キラキラ夏を待ちわびて

背伸び、背伸び。







一際明るく光輝いて


きらりひかる


新しい煌めきの力強さ




遠くまで、

ひろく

押し寄せるような波みたいな

お茶の海。





月夜の茶畑も、

静かに光ってきっと幻想的だろうとおもう





この中をてを広げて走り抜けて



『お茶畑を泳いできました』



言ってみたい




宮沢賢治というひとの、

豊かな魂の感性を

私の心にも住まわせてみたい





うまれて


そして



次の世代へ。




生きる。



いうこと。



輝きの連鎖