　　　　　　　深夜

　　　　　　　私の家の窓から、Lの家の窓に灯りがついているのが見える。

　　　　　　　まだ　起きてる・・・・

　　　　　　　また　寝られないのかしら？

　　　　　　　遅くまで　灯りが消えないことが　よくありました。

　　　　　　　実際

　　　　　　　　Ｌが　夜遅くに　私の家に来ることも度々ありました。　

　　　　　　　　もう、子供達を寝かしつけたから　ちょっとあがってもいい？

　　　　　　その頃　

　　　　　　Ｌの上の子供達二人は既に成人していて

　　　　　　狂夫との子供二人だけが　Ｌのケアの元にありました。

　　　　　　母子3人暮らし。

　　　　　　夜にやってきては　

　　　　　　夫との思い出話や　子供が連れ去られた時のことを

　　　　　　延々と話します。

　　　　　　自分は夫をずっと待っているし、ここに家族がいるのだから

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　帰ってこなければならないと怒ってみたり。

　　　　　　　私は聞いているだけ。　　　　

　　　　　あんな　狂った奴の　どこがいい？

　　　　　子供を　母親から引き離すって　どういうアタマ？！

　　　　　あなたの私物燃やして、　全財産　奪われて、

　　　　　あなただって暴力振るわれたんでしょ？　　それなのに　まだ一緒にいたいの？

　　　　　ああいう人間が　子供に必要だと思うの？

　　　　　近寄らせない。　　私ならバカ男を子供に　近寄らせないようにする。

　　　　　狂気よ。　　猟銃であの男が何をしたのよ！？

　　　　　まともじゃないんだよ！　危険だって　分かってるでしょう？

　　　　　そもそも　もう、この国にいないし、　連絡もゼロ。

　　　　　ガールフレンドだって　作ってたじゃない。

　　　　　もう　終わってるんだよ。　

　　　　　夫の方では　あなたとの事は終わってるんだよ。

　　　　　ただ、紙の上で夫婦というだけ。　

　　　　　思い出す価値のない男。

　　　　　こちらから　離婚届け送りつけてやりゃあいい。

　　　　　自分のことが、　自分の人生がもったいないと思わないの？

　　　　　心の中では　こう言っていた私。

　　　　　でも　実際は　ただ　うなづいて　わかるよ。　　と。

　　　　　話すだけ話したら　Ｌは安心するのです。

　　　　　おそらく、別の友人達は　私が心で言っていたことと同じことを

　　　　　　　　　　　　　　声に出して　伝えていたと思います。

　　　　　　　　だから私は　ただ、　聞き役に徹しようとしていました。

　　　　　　　　Lの気持ちと、私のモラ男への感情を照らし合わせながら・・・・。

　　　　　　　　　　　　　　傷がまだ深いうちは、

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　現実も真実も見えないのだから。

⑳冷めない気持ち