明けまして おめでとうございます | 減農薬のりんご栽培

減農薬のりんご栽培

(木村秋則氏の自然栽培に近づくために)

本年もよろしくお願い申し上げます。

50%以上減農薬の栽培も4年目となります。

当初イメージしていたのとは異なり、変動の大きな気候が毎年続いて、毎年そのパターンが違いますので、対応に骨が折れます。

農薬の使用回数を減らすということは、効果がどこかで途切れるかもしれない・・・というリスクを背負うことです。

それによる悪影響は夏以降の後半に園の異常事態として明らかになりますので、途中では判りません。

2012年、2013年 共に 最後の収穫を迎えて漸くほっとしたのが現実でして、途中はハラハラ、ドキドキの連続でした。


減農薬しない通常の慣行栽培の散布内容でも、予期しない病害の発生は実際に起きている地区があります。

追加散布、薬剤の追加や変更で対応するのが、従来の物の考え方であり、それが、農業試験場あるいはJAがこれまで指導してきた方策です。

しかし、自然栽培や減農薬をいったん志向しますと、1回の散布追加 や 1剤の追加さえも ”やりたくない” という意識が強くなります。

収穫まで辿り着きませんと、1年間の意味は全くないに等しいのですが、薬剤の多用に安住する気にもなりません。

昨年、散布間隔が1週間余計に空いたり、積算雨量が限度を越えたにもかかわらず、病害虫の異常が我が園に起きなかったのは、多雨の後 次の散布までに余計な降雨が少なかったからだと思われます。

無施肥、減農薬、石灰ボルドーの効果による、病害の起きにくい環境に徐々に成っているとも思います。

通常の散布内容(年10-12回)実施している地区で、病気に寄って王林が全滅したという話も聞きました。
2日で100ミリという多量の降雨ですと、薬剤の効果が短時間で洗い流されてたために(流亡)、途中で薬効が切れて無防備の日数があったのだと推測されます。

通常の降雨量ですと 展着剤(葉や枝に薬液を広げる界面活性剤の機能と、薬剤をある程度固着させる糊の効果もある)の能力では、流亡に耐えられないのです。

実際に、JAの防除暦には、展着剤の代りに固着剤を使用して、流亡を防ぐ・・・という選択の記述があります。
(アビオンE、 ペタンV などを梅雨の期間に使用という指針)

しかし、短時間に多雨という事象は、昨年の場合梅雨だけでなく、9月、10月にも同様の降り方をしました。

石灰ボルドー剤は、1ヶ月間、300ミリまで対応するものですので、薬液の固着に成分がパラフィンのペタンVという固着剤を使用します。
長期間に渡り、徐々に薬効を放出して銅イオンの効果で菌を抑える機能です。


ですので、6月以降は固着剤を使用する方針が取られるようになるのかもしれません。

ペタンVは固着力が強くボルドーの使用には理想的ですが、白い色が長い期間残りますので、8月以降はアビオンEが好ましいでしょう。

固着剤は使用料量が多く、コストも高額になりますから、一般農家はそこをどうするかが問題です。
毎回の散布に、高額で多量が必要な固着剤を使うのはコスト問題が大きすぎます。