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Rainbowのブログ

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  「次に登場するは、今宵 最後の仲間となりました。みなさん、どうぞ 最後までお楽しみ

   ください。」


 サルの団長は、場内をぐるっと見渡し、二カット白い歯を見せる。ぎん と たまも顔を見合わ

せほほえむ。客の中には 椅子に姿勢を正し直し、座る者もいて、舞台に再び熱い視線がとぶ。

 かすかに鈴の音が聞こえてきた。高く澄んだ音色。なぜだか なつかしい音。ぎん と たま 

は音に耳を傾けると、そのまま気持ちよく 音の中へと溶けこんでいくかのようだった。音色は

だんだん客席にリズミカルに迫り、「おお~」と声が上がる。ぎん と たま の 頭上でも 急

に音が鳴る。

  二人は急いで 見上げる。真っ白で大きな天馬が羽ばたいていた。天馬はそのまま舞台へと向

かい、羽ばたきながら舞台の宙に止まる。天馬の体はしなやかで角はうしろに弓なりに大きく伸び

ていた。鈴の首飾りをしており、羽ばたきに合わせて音色も跳ねる。



  「さあ、この天馬。ごらんのように優雅に宙を駆けます。しかしながら、地面を歩くこと

   ができません。だけど、今日の日のため、歩く練皆をして参りました。皆さまのもとに歩い

   て参ります。ゆっくりとその優雅な姿をご覧ください。」



 サルの団長の言葉が終わると、天馬はゆっくり舞台の上に降り立った。天馬の脚はゆらゆら震

え、ドサンと倒れる。「キャーッ」と驚く客もいたが、ぎん と たま は 黙って 目をそらせ

ずにいた。天馬は、何度もよろけては立ち上がり、一歩 また 一歩と進んだ。やがて舞台から降

り、客に近づき目をひとり ひとりと合わせた。

 そして、いよいよ ぎん と たま のところへ天馬がやってきた。ぎん は 天馬の目を見つ

めると なつかしくて それが何でか知りたくてたまらなくなった。

 たまは、キラキラ目を輝かしながら天馬を見つめた。天馬は鼻先を たま の柔らかいほっぺに

そっと 滑らせた。

 すると、急に 天馬が両前足をあげ、「ブルルル!!」と鼻息を荒げた。天馬の角を ひとつ前

の席の体格のでかい男が握りしめていた。



  「なんて、素晴らしい角じゃないか。きっと 高く売れるぞ。」

 
 
男が腕力に任せ、今にも角をへし折ろうしている。

 
 
  「しまった!!本物の人間が入って来ていたか!!」



サルの団長は、マイクを投げ捨て男に飛びかかる。


 「いててて・・・」

腕をひっかかれた男は、腕を振り払い サルの団長を振り落とす。


ぎんは、とっさに男の顔に噛みついた。


 「おお、やめろ!!」


男は、ぎんもすごい勢いで振り落とした。


 「よしよし、このキツネとサルも連れて帰ってやる。」


 そういって、男が ぎん たちの方へ振り向いた瞬間。体を横たえていた天馬が体をそっと起こ

した。そして、角で男をすくい上げると、背中に乗せて、宙に舞った。



 「おい、降ろせ!!」


天馬の背を必死になって しがみついている男を見て、皆が笑った。天馬はそのまま男を出口まで

運び去ってしまった。


サルの団長は、腰をさすりながら体を起こして、マイクを取りに急いだ。


 
  「もう、夜明けが明けてきました。誠に残念ですが、これでサーカスは終わりです。また、

  来年お会いしましょう!!」


言うやいなや 慌てて、舞台のそでに隠れた。客たちはひとり また ひとりと立ち上がり、大き

な拍手を送り続けた。



   「とうちゃん!!」


 ぎんの姿に たまは驚く。たま を見た ぎんも目を丸くした。二人の姿は、いつの間にかキツ

ネの姿に戻っていた。伏せろと ぎん は声を押し殺し、鋭く叫ぶ。ぎん が唾を飲み込みながら

辺りを伺う。すると、すぐ隣の小さな女の子のいる家族はタヌキに姿を変えていた。タヌキ達は

化けが取れたのも気づかずに、拍手を送り続けている。

 ぎん は 呆然と立ち上がる。


  「とうちゃん。どうしたの。もう隠れなくていいの?」


 たま は ぎん を 見上げる。返事がないので、たまは立ち上がった。


  「わあ、とうちゃん。すごいや!!」


 たま は 飛び跳ねる。

 さっきまで、人間だった客たちが、リスや鹿、ウサギ、ワシなどたくさんの動物に姿を変えてい

たのだ。客席にいた一番鶏が威勢よく声を上げる。


  「コォケコッコ~~ッ!!」


 すると、少しずつトンネルテントが夜明け空に とろけていく。動物たちは、自分たちの姿が

戻っているのを気づくと、息急き切って、丘を駆け下りていった。

 ぎん と たま も 家へと走る。たまが うしろを振り返り、立ち止まる。ぎん は たまが

ついて来ていないのに気づき、ぎん の元に走り帰る。


  「おい。早くしろ。」


ぎんが声をかけるが、たま は空を見上げたまま笑っている。ぎん も空に目をやると、天馬が

駆けていた。そして、その姿はキツネへと変わっていく。


  「かあちゃん!!」 


たま は 声の限りに呼んだ。キツネは振り向き たまを見つめ、目を細めた。


  「私のだいじ だいじ の 坊や。また、きっと 坊やと とうちゃんに会いに来ますから 

   ね。お誕生日おめでとう。」


キツネも やがて まばゆい朝焼けの空へと溶けていった。






    
                     (おわり)