今朝、あるお客様が、新しい世界に旅立たれました。54歳の女性でした。
彼女は、ALS発症前、主に外資系の金融レディとして、日夜忙しくご活躍され、留学先のイギリスやアメリカでも、沢山のご友人を得ました。
また、大変ご家族思いな方で、私達介助者にも、常に気遣いの人で、文句やお怒りなど聞いたこともありませんでした。
8ヶ月間、濃密に介助をしていく中で、やはり、私はホテル業界に戻る方が幸せであろうと、私の才能を高く評価し活かして下さりました。
ALSは、難病ではありますが、人工呼吸器を着ければ長く生きられます。
しかし彼女は、自分の尊厳、またはそれ以上に家族や周りに迷惑を掛けないという、崇高な精神と、非常に強い意志で、頑なに気管切開を拒み、先週入院されました。
彼女が望むように、病院で眠るように、ヘルパーに迷惑もかけず、たった一人で旅立ちました。
入院も、たった5日間と短く、最期まで気遣いの方でした。
最後に聞けたお声は「ありがとう」。
昨日は、引き継ぎ時間まで、ずっと手を握りしめていました。
私が掛けた最後の言葉は「ありがとうございました」。サービスマンとして、見送れたことを、誇りに思います。
おそらく、私が出会った女性の中で、最も聡明な方だと思います。
介護業界に入って、初めてお客様を見送りましたが、世に言う、燃え尽き症候群はなく、ホテル同様、お客様には一期一会の気持ちで毎日接していましたので、彼女との約束を果たすべく、今日からしっかり頑張ろうと決心しました。
彼女との思い出を胸に、戻るべき場所に戻れるよう、笑顔で前に進み始めました。
今、難病の方を支援するべく、医療ソーシャルワーカーを目指して頑張っています。
その日が来たら、また、お会いしましょう。
さようなら。