「自主避難一律8万円」に悔し涙~叶わなかった実費全額賠償 | 民の声新聞

「自主避難一律8万円」に悔し涙~叶わなかった実費全額賠償

文部科学省の「原子力損害賠償紛争審査会」が出した結論は「一律8万円」だった─。寒空の下、かき消された切なる願い。被曝回避のため自主的な県外避難を強いられた人々の訴えは届かなかった。傍聴席では、「実費全額賠償」に遠く及ばない結論に抗議する傍聴者が退場させられる一幕も。郡山市から、身重の妻や幼子とともに静岡県に避難した長谷川克己さん(44)は悔し涙を流しながら審査会を傍聴した。「無念だ」と肩を落とす長谷川さんに、率直な想いを寄せていただいた。残念な結論が出されたが、まだあきらめてはいない。「これから避難する方々の道を開くべく頑張りたい」


民の声新聞-一律8万円
政府の避難指示によらない、いわゆる「自主避難」

に対しても実費全額賠償を求めて行われた文科省

での抗議行動。寒風吹きすさぶ中の訴えは残念な

がら届かなかった=東京都千代田区


途中、涙がこぼれて止まらなくなりました。

支援者の方々が、大きな声を続々とあげて退場させられていく光景に、有り難さと情けなさが入り混じってしまいました。

私は、これから避難する方々の道を開くことが自分の役目であり、名誉回復の道だと信じてやってきました。

福島全域が認められなかったことにより、当然、他県からの避難者の道は断たれ、12月を区切りにすることで、福島は、「缶詰め」にされるのだなと感じております。

無念です。

が、諦めずに道を開くべく頑張ります

つい最近までは、不本意な内容なら、訴訟しかないと思っておりました。

しかし、今は、少し疲れたとも実感しております。

ただ、やはり、誰かが声を上げていかなければならないことを、他人任せにしてはいけないなと思います。

その場合、訴訟が一つの手段なのだろうとは思います。

しかし、金も時間も消耗している人達に「あとは個々でやって下さい」とは、原賠審も酷なことを言うなと感じております。


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この日の審査会では、政府の避難指示が及ばない地域からの県外避難者(いわゆる自主避難者)と避難せずに福島に残った人に対し、23の市町村を対象に一律8万円の賠償を認める指針が決められた。妊婦と18歳以下の子どもは40万円。

白河市や会津若松市など26市町村は対象外。対象区域の人口は150万人だが、対象から外された地域からの県外避難者も1164人いる(3/15現在)。

毎日新聞は、審査会長・能見善久学習院大教授の「恐らくもっと(費用が)かかっている方はおられ、不満があるのは当然と思うが、共通して賠償を認めても問題なさそうな金額として算定した」という談話を報じている。

(了)


12/6に開催された「第18回原子力損害賠償紛争審査会」の配付資料はこちら

http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/kaiha