夜遅く、都会の喧騒が静まり、一人の女性が帰路についていた。彼女はスーツを着込み、黒いヒールをカチカチと鳴らして歩いていた。彼女の名前は真矢(まや)で、IT企業で働く若手プログラマーだった。

真矢はふと、ポケットにしまっていたスマートフォンを取り出し、メールをチェックしようと画面を見た。しかし、そこには普段とは異なる不気味なアプリが表示されていた。アプリの名前は何も表示されておらず、ただ真っ黒な画面に不気味な目が点滅しているだけだった。

真矢は少し驚いたが、興味本位でそのアプリを起動させてみた。すると、画面が一瞬明るくなり、その後に現れたのは、不気味な笑い声だった。真矢は恐怖を感じながらも、その笑い声を聞き入ってしまった。

すると、スマホの画面に映し出されたのは、自分が知らない場所だった。そこは暗い部屋で、天井からは血のような液体が滴り落ちていた。真矢は悲鳴をあげそうになったが、その場から逃げ出すこともできずに立ち尽くしていた。

やがて、映像の中の部屋にいた何者かがスマホの画面に向かって微笑んでいた。その笑顔は異様で、真矢の心を恐怖で震わせた。そして、その人物は静かに口を開いて言った。「ようこそ、私たちの世界へ。ここから逃れることはできないよ。」

真矢は絶望感に包まれながらも、その場から逃げることを決意した。しかし、部屋のドアは閉ざされ、窓からは外には逃げることができないほど高層階だった。彼女はスマホを何度も振ったり、叩いたりしても、その不気味なアプリからは逃れられなかった。

絶望の淵に立たされた真矢だったが、ふとした思いつきでアプリを閉じようと画面をタップしてみた。すると、アプリは一瞬にして消え、元の画面に戻った。真矢は不安定な足取りでその場から逃げ出し、一目散に自宅へと向かった。

帰宅してからも、真矢はその出来事を忘れられなかった。スマホにはその不気味なアプリはもちろんなく、すべてが普通だった。しかし、彼女はその日以降、スマホを使う度に不安を感じるようになり、とうとうスマホを手放すことができなくなってしまった。

あの日からというもの、真矢は自分の周りに不気味な現象が次々と起こるようになった。部屋の中で人影を感じたり、鏡に映った自分とは異なる顔が笑っていたりした。そしてある日、真矢は部屋にいるはずのない人物の声を聞いた時、ついに気が狂ってしまった。

彼女はスマホを持って逃げ出し、震える手で警察に通報した。しかし、警察の調査では真矢の家には誰もいないと判明し、彼女の訴えは受け入れられることはなかった。

絶望に沈む真矢は、最後に自らの手でスマホを破壊することを決めた。悲鳴を上げながら叩き割ると、その瞬間、部屋中に異様な光が満ちた。何もかもが消え去り、真矢は意識を失った。

目を覚ました時、真矢は自分の部屋にいた。スマホは破壊され、その怪異も消え去っていた。彼女は一息ついて、過去の出来事に幕を閉じることができたのだった。

だが、それ以来、真矢はスマホを使うことを避けるようになった。彼女はあの日の出来事が夢だったのか現実だったのかわからないまま、心に深いトラウマを残して生きていくことになった。

終わり