ある晩、私は仕事からの帰り道にふとした衝動で夜行列車に乗ることを決めた。何かが私を誘うような不思議な感覚があり、それを無視できなかった。駅に到着し、迷うことなく切符を購入し、プラットフォームへと向かった。
「夜行列車」の看板が輝いていた。乗客はほとんどおらず、寂しげな雰囲気が漂っていた。私は一番後ろの車両に入り、空いている席に座った。列車は出発の合図とともにゆっくりと発車し、窓の外には暗闇がただよっていた。
暇を持て余した私は窓の外を眺めることにした。しかし、突如窓ガラスに人影が映り込んだ。私は驚いて振り返るが、誰もいない。不気味な気配が車内に漂い、私は不安を感じ始めた。その時、列車がトンネルに突入し、車内は一瞬真っ暗になった。
トンネルを抜けると、再び車内が明るくなったが、そこには違和感を覚える光景が広がっていた。車両内にはかつての乗客たちが薄汚れた姿で座り、無表情なまなざしを私に向けていた。彼らは生前の姿とは異なり、どこか呪われたような雰囲気を漂わせていた。
私は恐怖に襲われ、逃げ出したい衝動に駆られたが、足が動かない。車内の温度が急速に上昇し、息苦しさが襲ってきた。思考が混乱し、私は何が起こっているのか理解できなくなった。
すると、車掌と思われる人物が私の前に姿を現した。彼の目は赤く光り、悪意に満ちているようだった。彼は静かに微笑みかけながら、私に言った。
「歓迎の夜行列車へようこそ。ここから先は、二度と抜け出すことはできんぞ。」
私は絶望に包まれ、この列車が異世界へと続くものであることを悟った。そして、夜行列車は永遠に続く旅路の幕を開けた。
終わり