答えはいつも
 
シンプルだ
 
 
生きる
 
生きている
 
生きていこう
 
 
なんて難しい
 
答えだろう
 
 
 
 
みんな
 
目に見えない
 
悲しみを負って
 
立っている
 
 
明日になっても
 
昨日になっても
 
 
 
 
幸せは
 
何も
 
生み出さないと
 
思っていた
 
 
幸せになっては
 
いけないと
 
感じてた
 
せいかも知れない
 
 
まだ
 
このくせから
 
抜け出せそうにない
 
 
出口の前で
 
足踏みしてるのを
 
僕は知っている
 
 
何が
 
足りないと
 
いうのだろう
 
 
幸せの海に
 
小舟を浮かべて
 
 
いつまで
 
指先だけの
 
水遊びを
 
してるつもりなんだろう
 
 
 
 
わかっている
 
この道の行く先は
 
 
知っている
 
振り返れば
 
ただ一本の道
 
 
忘れてはいけない
 
ひとは
 
戻れない
 
一秒前にすら
 
 
見えるだろう
 
今なら
 
 
大切に
 
しなきゃ
 
いけないものが
 
 
 
幸せでも
幸せかどうか分からなくても
 
人は同じさ
 
何処から来て
何処に消えてくのか
 
誰も知らない
 
そんなことより
なりたいものがある
 
泣いてる子ども
 
不安を隠さず
人を信じて
思うままに出す声
流れる大粒の涙
 
それなら今度は
なれるかもしれないよ?
 
だって人は
一歩先のことも
分からないんだから
 
でもまあ
なんだかよく分からない
幸せってものに
向かって歩いてく方が
 
いいのかも
知れないけどね
 
カニやケヤキや子どもほど
 
自由で淋しくは
ないだろうけど
 
 
ボルボで走っても
サンダルで歩いても
 
道は同じさ
 
地平線へ延びて
空に溶けて消えてく
 
そんなことより
なりたいものがある
 
一本のケヤキ
 
しっかり土に根をはって
たくさんの枝葉を
自由に空へとのばしてる
 
でもまあ
ボルボとサンダルじゃ
違いすぎるってことに
 
気付いた方がいいのかも
知れないけどね
 
 
ハワイも江の島も
 
波は同じさ
 
水平線からわいて
砂にしみて消えてく
 
そんなことより
なりたいものがある
 
一匹のカニ
 
堅い甲羅で身を守り
たくさんの足で
自由に砂浜を駆け回る
 
でもまあ
ハワイと江の島じゃ
違いすぎるってことに
 
気付いた方がいいのかも
知れないけどね
 
 
一匹のカニ
 
作詞:谷川俊太郎
作曲:小室等
 
 
君はハワイへ
行ったんだってね
 
俺は江の島へ
行ったのさ
 
波は
水平線からわいてきて
 
砂に
しみ込んでいったよ
 
俺がうらやましいのは
君よりも
 
赤い甲羅の
一匹のカニさ
 
負け惜しみかも
しれないけれど
 
 
君は幸せに
なったんだってね
 
俺はどうなのか
分からない
 
人は
細い路地の向こうから
 
何処へ
消え去ってくのか
 
俺がうらやましいのは
君よりも
 
泣きわめいてる
一人の子どもさ
 
負け惜しみかも
しれないけれど
 
負け惜しみかも
しれないけれど
 
 
アルバム「プロテストソング」収録