あるクラスメイトがいます。


特に目立っているわけでもなかったはずです。


マジメだという印象はあったものの、


特筆すべき何かがあったようには思いません。


ただ、その「マジメだ」という印象は


今にして思えば、


特筆すべき何かだったのでしょう。


努力はいつからか、既に始まっていました。


ただ安定に甘えていた、とある彼は


それに気付くことなどありえませんでした。


彼は、よく話しかけられるな、と思い始めました。


彼は、聞かれたら答える、をしていただけでした。


まだ彼は気付きません。


彼は、よく頑張っているな、と思い始めました。


彼は、特に気にしていませんでした。


けれどやっと、気付きはじめました。


そのときには、


甘えていた彼の足は、


そう簡単には前に進めなくなっていました。


だから彼は眠りました。


見ないふりをして眠りました。


目を覚ましたときには、


もう後ろにその姿はありませんでした。






ってな感じで


華麗に彼を追い越したマジメなあの人は、


けれど彼を嘲笑することもなく


一緒に走ろうといってくれます。


それでも、ただただ膨らんだプライドが、


その手をとることを邪魔するのですが。


全てにおいて追い越されたわけじゃない。


もうボロボロになった、そんな足場にまだ縋っています。


一緒に走れないなら、


遠回りをしてでも、


走り始めなきゃダメでしょう……。























         今日も非魔神で暇人でした。