アクセル全開で飛ばし、数十分かかってやっと目的地に着いた。
 目的地も何も辺りは火の海だった。数時間前まで都市だった場所だ。
 MIBloodの巨大な本部はまだ、無事のようだ。

 上空6000メートルほどで状況を見る。
 敵の戦艦は40~50。
 といっても全体を見れるわけではないからだいだいだ。

 しかし、数は問題ではない。
 数がどれだけいても関係ない。
 大将を取れば戦は終わる。
 一番でかい戦艦は……あれだ。
 ひときわ目立つ大きな戦艦を見つけるとアクセルを掛け向かう。

 音速の三倍近くのスピードを出したバイク。
 そのままの状態で戦艦の外壁に突っ込む。
 外壁は発泡スチロールのように崩れる。
 バイクの周りを取り巻く特殊素材は金属をも貫く強度を持っている。 

 戦艦の通路に出た。
 床は無機質な金属だ。
 流石に多少壊れたバイクから出る。
「到着っと」
 んっそんなことをいっていると無線。
『各支部からの人員をやっと送れそうだ。この侵略、絶対に鎮圧してくれ』
「了解」
 短くそう答える。

 船内の通路を進む。
 おそらく敵の根源がいる場所に……。
 あいつらはたぶん今回で決着をつけるつもりだ。
 なぜなら、組織の規模は今までに無いほど縮小している。
 さっきもらった資料には驚くべき数字が書かれていた。
 36……そう36……、それが今の組織の人数だ。
 一ヶ月前の40人から4人が減ったわけだ。
 組織員は年に10人ほどしか補充できない。志願者はほとんどいないし、無理に集めるにも限度があるからだ。
 普段はそれで十分なんだが今年は事情が違った。
 気付いただろう……‘‘アトミック’’だ。
 今年に入って従来の数倍の事件が起きている。
 あいつらは組織の末端や金で雇ったやつらを使って大量の事件を起こした。
 その中で何人かが犠牲になった。

 あいつらは今回で決着をつけるつもりなんだ
 あいつらにとってはこの組織がどれだけ邪魔な存在か。
 それはこの組織にいる俺だからこそ分かる。
 この組織がなくなればこの星団は無法地帯だ。
 MIBも一応取り締まりを行っているんだが、生き物相手に銃も撃ったことないやつらなんかあいつらの敵じゃない。
 SCPOという組織もあるんだが縄張りだのという古い考えに囚われている。
 この広い宇宙の中で1cmでも自分たちの管轄範囲を超えれば追うのを止めるような集団だ。法律を破りながら法律の穴をつくずる賢い‘‘アトミック’’に対抗できるとは思えない。


 通路を進んでいると向こうに数人の星人が見える。
「おいっBloodだぞ」
 プラセル星人とエウセム星人。全部で三人いる。
 チッ見つかったか……。

 いくつかの銃声が響き、数発の銃弾が飛んでくる。
 軽い身のこなしで全てよけると三発撃ち返す。

 二発は正確に胸に突き刺さり、もう一発は残りの一人の足を貫く。
 二体の死体ともう一人のいる場所へ向かう。
 残った一人は倒れたまま、こちらに銃を向ける。
 俺はもう一発撃つとそいつの銃を持つ腕を吹き飛ばす。
 ついでにもう二発撃ち、残った四肢を破壊する。

 のた打ち回るそいつに俺は質問する。

「おい、お前らのボスはどこだ?」

 そいつは答えようとしない。
 銃を突きつける。
「言わないと撃つぞ」
 ひっ、と短い悲鳴を上げる。
「た、多分、スイートルームか操縦室だ……」
 搾り出すようにそういった。
 所詮、弱いものが自分のみを守るためにくっついてる集団。
 一番大事なのは自分ってことか……。
「貴重な情報をありがとう」
 突きつけた銃をしまうことはせず、

「さよなら」

 とだけ言っておいた。

 俺の狙いは‘‘アトミック’’のボスただ一人。

 いくつかの部屋に入る。
 寝泊りすると見られる部屋。
 食料を貯蔵する場所。
 どの場所にもいるのは下っ端みたいな雑魚だけだ。

 そのうち見つけた一番豪華な部屋。
 スイートルーム。ボスがいると思われる部屋。
 密猟した動物の毛皮で作られたソファー。同じく毛皮で作られたじゅうたん。
 無機質だった床がここだけはカラフルに彩られている。
 …………いない。ここにもいない。
 ってことは後、可能性があるのは、後、操縦室のみ。

 そこで決着をつける。

 手に持った銃をしっかり握った。




───────────────────────







次で最後になります。


感想、お願いします!!