続き物です。

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よければ見てください。




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二日目。

いつものシャワーは中止だ。
昨日おっさんにぶっ壊されたからな。

今日は金曜か。
明日からは家に居れるな。

俺はいつもどおりの一日を過ごした。
もちろん授業には出ていない。

ただ、おっさんの分まで夕飯作らなくちゃいけないから金曜なのに買い物に行く羽目になった。


今日は炒飯を作った。
おっさんは『うまそうな炒飯だな』って昨日と同じような台詞を言っていた。
俺を守る役じゃなかったのか。
ふざけているようにしか思えん。
でも、訳の分からん光何ちゃらを持ってるから信じることにするか。
今のところは。

今日一日は特に会話は行わなかった。

こんな感じでなにもせず、すぐに出て行ってくれるといいんだが。

今日はいつもより数十分遅く寝た。




三日目。

最近、おっさんのせいで生活リズムがくずれてるから起きるのが遅くなった。
普段は分単位で行動できるんだけどな…
ある意味、特殊能力の一つだ。

せっかく、あいつの視線から逃れられる休日なのに、おっさんの視線がある。
あの何やらで俺にも見えないようにしてくれたほうがいいのに。

それはそれで困るか。
家の中で誰かがいるけど、見えないなんてそんな気持ち悪いことがあるか。

俺は特にしゃべる用事もなかったから、ずっと沈黙のままだった。
そのほうがいい。
あのおっさんが言うことは意味わかんないし、話してるとなんか負けているような気がする。

今日は中華飯を作った。
気付いたかもしれないが、俺はご飯に何かつけるぐらいの料理しか出来ない。
あとのおかずは冷凍か惣菜コーナーで買ってきたものだ。
めんどくさいな。
自炊よりインスタントのほうが安いな。
明日からそうするか。


どうにか食費を浮かす方法を考えながら、俺は今日も眠りについた。





四日目。

日曜だ。
午前の十時くらいにだらだらしていると、おっさんが急に話しかけてきた。
「君は外出しないのかね?」
何でこんなことを聞くんだろうか?
お前に関係ないだろう。
「行かない」
俺は一言そういっておいた。


出かけたくない理由はいくつかある。
一つは人ごみが嫌いだっていうこと。
もうひとつはあいつだ。
外にいると生きた心地がしない。
学校だと何時間かはあいつも授業を受けてるからまだいい。
ずっと寝てるし。


いつからだろうな。
俺があいつの影を感じるようになったのは…






五日目。

もう月曜か。

いつものように登校して、屋上に行く。
すると、いつもは黙ってるだけのおっさんが話しかけてきた。
「何で君は授業に出ないんだ?」
何でまたこんなことを…
「授業なんて意味はないからだ」
俺は一言言った。
「テストは大丈夫なのか?」
質問が的をはずしてるような気もする。
「常に学年で十本の指には入る」
それが先生なんて必要ないという意思表示だ。
「授業では知識だけでなく、いろいろなことを教えていると思うが」
何だ?
今日のおっさんはめんどくさいな。
「ただ、与えられた分を教えた振りするだけの授業なんて受けても意味はないだろ」
先生ってのは仕事を消化するためだけに授業をやってるんだ。
時間を消化するために、学校来て何の問題がある。
引きこもれば楽だけど、それでは社会から逃げてるだけだ。
俺はものすごい負けず嫌いだから…
「そうか……」
おっさんは珍しく考え込んでいるみたいだ。


ってかこんなところで話してたらダメじゃないか!
あいつの目線が……
いや、考えないことにしよう。
そう思って俺は寝た。



昼休みにおきると、たくさんの生徒の話し声が聞こえた。
えっ?
みんな購買部か教室にいる時間だろ。
下校の時間には早いぞ…


あぁ今日はもう終業式だから、授業は午前で終わりなんだ。
すっかり忘れてた。
よし帰ろう。
「君に渡すものらしいぞ。木曜日に校門のところに立ってた先生が置いていった」
不意におっさんに話しかけられて驚いた。
俺に渡すもの?
おっさんから紙を受け取る。
活字で『夏休み中の補習の案内』
「誰が行くか。」
俺は紙をそこらへんに捨てて屋上から三階へ続く階段へ歩いていく。
そのとき、後ろでおっさんが紙を拾ったような気がしたが、大して気にしてなかった。


「後、二日か……」
帰り道でつい、そう呟いてしまった。
160時間を計算すると、あさっての夜8時ぐらいになる。
光学迷彩や最初の登場も普通じゃ有り得ないし。
消滅が何やらとかいう話も本当なのかもしれない。
現実では奇跡的に助かるなんて有り得ない。
あのおっさんに俺が救えるとは思えない。
自分に残された時間がないと知ったら、人は何をするんだろうな?


俺には…何もないな。





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次回で終わります。

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