痔核に対して、外来ででき、合併症と再発の少ない?治療法 上直腸動脈塞栓術について

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痔核に対して、外来ででき、合併症と再発の少ない?治療法 上直腸動脈塞栓術について日々勉強するブログです。

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第3回(2018.8.20)

今日は図書館で、外科で最も権威のある、Sabistonの教科書(20版、2017)をコピーしてきました。また、本屋で、臨床消化器病学、標準外科学を立ち読みしてきました。

Sabistonの教科書には、

“痔は肛門管の粘膜下に位置する正常の血管性組織である、”(p1400)

と明言されています。正常の、です。病気ではありません。

治療については、1,2,3度は外来で、生活改善についてまず述べられています。

次に、ゴム輪結紮術の記載があります。

合併症は稀な会陰部敗血症が報告されています。遅発性あるいは増加する痛み、排便不能、発熱も患者に周知します。成績は症状の緩解が80%。相対的禁忌は免疫不全患者(化学療法、HIV,AIDS)、血液凝固障害、(アスピリン以外の)抗凝固剤あるいは抗血小板剤服用。

その次に、硬化療法の記載があります。

この治療法は硬化剤(3%の食塩水)などを注射するものです。短期成績は良好ですが、長期フォローでは再発経口があります。出血傾向のある、あるいはこう凝固剤を飲んでいて、止められない患者さんでは利益があります。

赤外線あるいはレーザーでの凝固が、凝固と壊死を起こし、痔の領域の粘膜下の線維化を起こすとの記載があります。

手術的治療では、痔核切除は永続性のある治療法で、長期成績は最も良いと記載されています。第3,4度が適応です。つまり、高度脱出し用手還納が必要(3度)か、還納できない(第4度)です。

閉鎖的痔核切除(Ferguson)では、過剰な組織を切除しないことで、肛門狭窄の合併症を避けることができます。開放的痔核切除では、術後合併症は、尿うっ滞(最大30%)、便失禁(2%)、感染(1%)、遅発性出血(1%)、狭窄(1%)です。典型的には、患者さんは迅速に回復し、1-2週間でしごとに復帰できます。

 

超音波(Harmonic Scarpel)あるいは電気エネルギー(Ligasure)を使った技術があります。これらは過剰な痔組織を、術後の浮腫や痛みが少なく、取り除こうとするものです。多数の報告で、短期成績は伝統的な治療法と同様で、痛みと鎮痛薬の使用が減ることで、その有効性が示されています。

Stapeled hemorrhoidpexyは、円周性の装置を用いて、下部直腸と上部肛門粘膜、粘膜下を円周的に切除する技術です。この治療法の成績にはばらつきがあります。この治療法は安全ですが、再発あるいは再手術の立が高いと長期のフォローでは報告されています。

動脈結紮術についての記載はありません。

コメント

痔核が正常構造であることは常識のようです。日本の教科書ではそうではないようです。日本で盛んなALTA注射や動脈結紮術についての記載がありません。