※ この投稿は、2019年12月にFacebookに投稿した記事の再掲です。

この子はいつも僕に背を向けていた。
世界に絶望し、誰にも心を開かない子ども。
僕はただそばにいるしかなかった。

居続けていれば、そのうち心を開いてくれるかもしれない。

しかし、今、初めてこの子は僕の方を見ている。
それも、炎のような怒りに燃え、泣きはらした目で僕を睨み付けている。

「・・・この子、怒ってるよ。僕に対してすごく怒っている。」

「まさおちゃんは、いつもこの子を切り捨ててきたんだね。他者のニーズを優先して、自分のニーズを諦めてきた。それで毎回この子は諦められ、見捨てられてきた。」

ショックだった。
世界に絶望しているこの子ども。
その絶望は僕が創っていた。
僕がこの子を見捨て、絶望の淵にたたき落としていたのだ。

誰かや何かに絶望させられた訳ではなかった。
自分で自分を絶望させていたのだ。

そして、首を絞める2本の腕の主にしても、僕は抵抗すれば出来た。腕を振りほどこうとすれば振りほどけた。
しかし僕はそうせず、たぶん死んだ。
僕が諦めたことによって、彼は罪人となった。
僕が彼を罪人せしめたのだ。
手を振りほどいて生き延びて、意見の相違を埋めたり、異なる主張を戦わせたりしたら、もしかしたら、二人の違いを超えた真理にたどり着けたかも知れないのに。
僕は自らその機会を諦め、彼にもその機会を失わせた。

「まさおちゃん、この子にどうしたい?」

「・・・どうしようもない。ただ謝るだけだよ。それしか出来ない。この子が許してくれるまで、いや、許してくれなくても謝り続けるしかない。」

「この子の炎のようなエネルギーが、まさおちゃんが本来持っている力だよ。この子を諦め、見捨ててきたことで、まさおちゃんは自分のエネルギーも切り捨ててしまった。」

小さな子どもに謝った。
子どもは怒りに燃えたまま、表情を変えない。
ただ涙ににじみ、大きく見開いた赤い目で僕をにらみつけるばかりだ。

ただただ申し訳ない、という思いで、この子を見つめていた。
そのうち、子どもは目を閉じて、僕の腕の中で眠ってしまった。

「そろそろ、ヒーリングに移ろうか。」

そう舞衣ちゃんが言った。

「ね?すぐヒーリングに入らないで、ちょっと会話した方がいい感じがするって、言ったよね?」

にやりと舞衣ちゃんが笑った。

(終わり)

 

※ この投稿は、2019年10月にFacebookに投稿した記事の再掲です。

僕の首にからまる2本の手。
これに気づいたときはさすがにびっくりした。

自分の網膜には何も映っていない。
しかし、はっきりとイメージされる。
そして首が絞まった感じもリアルだ。

手は、ひじから先だけが見えていて、首を絞めている手が誰の手なのかはわからない。

「舞衣ちゃん、両手で首を絞められているよ、僕。」

舞衣ちゃんは表情一つ変えずに訊いた。

「で、まさおちゃんはそれでどう感じているの?」

「・・・ん~、諦めてる。僕の首を絞めている相手は、僕に対する誤解か、相手自身の思い込みで僕を恨んでいる。僕からすれば、それは誤解だけど、自分が死んで彼の気持ちが晴れるならいいのかなぁ、と抵抗する気をなくしている。」

「・・・そうやって、自分のニーズを切り捨ててきたんだね?」

え?
言われている意味がわからなかった。

自分のニーズ・・・。

生き延びようとすること。
絞めている2本の手をふりほどいて自分の命を守ること。
誤解を解いて双方が生き残ること。
自分自身の考えの正当性を主張すること。

そう考えても「ああ、でも面倒くさい。自分が諦めた方が楽だ。」という考えがすぐに浮かんでくる。

そうかあ・・・。
そうやって、僕は人生を何度も諦めてきた。
自分が諦めるのが一番簡単だったんだ。

争うのは嫌だったし
自分を通すのも、尊大な感じがして嫌だった。
そもそもそんなに自分自身に自信もなかった。

なのに、何度も諦めて、何度も生まれ変わってきた。
何のため?
諦めた人生を取り戻すため。
諦めたために出来なかった自分の人生の目的を果たすため。

そうか。
今生こそは諦めずにやるために生まれ直してきたんだ。

しかし・・・。

「ところで、小さな子どもはどうしてる?」
と舞衣ちゃんが言った。

すっかり忘れていた。
自分の中の小さな子どもを見た。

子どもは初めて僕の方に顔を向けていた。

子どもの両眼は、炎のように赤く見開き、
涙を流し、唇を噛みしめながら、
怒りに燃えて、僕を睨んでいた。

(その3に続く)

※ この投稿は、2019年10月にFacebookに投稿した記事の再掲です。
 

そだねカフェの前日、たまたま、舞衣ちゃん( 石川 舞衣子さん)のセッションを予約してあった。


今日はセッションで扱う自分自身のテーマが見つからず、前回のセッションでのヒーリングの絶大な効果の記憶もあって、なんとなく「今日はヒーリングかな」と思っていた。


セッションが始まるとすぐに舞衣ちゃんが
「身体が疲れてるね。」と言う。


「え?そうなの?この前ほどではないはずだけど・・・。まあ、でも今日はテーマもないからヒーリングかと思っていたからちょうどいいや。」


「うん・・・でもすぐヒーリングに入るのではなくて、少しこんな感じで話をしてからの方がいい気がする。身体はどんな感じ?」


「いやぁ、『身体は』って言われても、この前に比べたら全然まし・・・というか、普通だよ。明日そだねカフェ初開催だから、それでちょっと気にしてるかな。」


「それだ。そのことを感じるとどんな感じ?」


「いやいや、そりゃあ初めてだから多少不安はあるけど、こればっかりはしょうがない、というか、当然のことだし・・・。」


「もっと身体の中を感じてみて。小さな子どもがいるでしょ?」


「インナーチャイルドのことかい?まあ、今はいつでも呼び出せるけど・・・。あれ?どうしていいいか、わからなくて泣いている感じ。」


「そうそう!子どもが何をしたいのか、どうしたいのかもわからず、座り込んで泣いている感じ。それよ!まさおちゃん、ちゃんと身体が感じられるようなったんやね。」


「ほめて頂き、ありがとうございます。あれ~、そうかあ。。。不安ねえ。じゃあ、僕の中の不安をすべてこの子が抱えてこんで、外側の自分には感じさせないようにしてくれているってこと?で、僕はどうすればいいの?」


「その子の姿を感じられるんだよね。じゃあ、まさおちゃんはどうしたい?」


「・・・え~っと、この子、口も利いてくれないからなあ・・・。とにかく、そばにいるようにするよ。・・・あれ?なんだか、首が絞まる。。。。」

そのとき、僕の首に、2本の手がからみついていた。


(その2に続く)