このあいだ浅草ロック座に行ったら思い出したことがあったのでひっそりと更新。思い出したというか、記憶をそのまま引っ張り出されたような感じなのですが…。

 

2月から始まった「FEMME FATALE」(ファムファタール、以下ファムファタ)公演も1stが終わって2ndに突入したからそろそろいいか、と思って公演内容に触れるので、ネタバレが嫌な方はここで読むのをやめてください!

 

 

2021年の夏にストリップを見始めた自分にとっては今回が初めての「ファムファタ」で、どんな公演だろうとワクワクしつつ、本音としては「妖艶な女たち」がテーマだというその公演に、あまり気持ちが向いていませんでした(今年の浅草新春公演がとても好きだったので、その余韻がまだ残っていたのもあるかもしれません)。

 

今月初め、いつも通り浅草へ行き、いつも通り入場し、いつも通り席について、でもなんとなく香盤表だけ先に撮っておこうと思って一旦受付のところまで戻りました。

 

「香盤表」というのは登場する踊り子さんの順番や演目で使われている曲がリスト形式で書いてあるもので、浅草ではいまロビー入り口の扉に貼ってあって、場内ではここだけ写真を撮るのが一応許されています。

 

普段は登場順や使用曲を事前に知らない方がいいと思ってステージをひと通り見てから撮っていたのですが、登場順は知っていたのもあって、なぜかあの日は先に撮っておこうという気持ちに。

 

といっても写真を1枚パシャリと撮るだけなので、その内容までは見ないで席に戻るつもりでした。が、ある演目の1曲目のタイトルがなんだか強烈に目に飛び込んできて、「わ、見ない方がいい」と思いつつ反射的に2曲目、3曲目と目で追って、その演目が過去の公演の再演景だということが分かってしまったのです(「景」というのは浅草ロック座での演目の呼び方です)。

 

「どうして見てしまったんだー( ;∀;)」と思ったけれど、記憶を消せるわけもなく、ソワソワしながら席に戻る自分。そして始まる公演。1つ目の演目から自分の好きな感じで、思っていたよりファムファタ好きかも、などと思いつつ、頭の中ではずっとその再演される演目のことを考えていました。

 

23年「ファムファタ」5景は、自分が初めてストリップを見た浅草ロック座21年「祭音」4景の再演でした。

 

あの時、初めての浅草ロック座で「好きだ」と思わせてくれたあの演目。

(そのときの話はこちらに書いています)

 

中休憩を挟んで5景が始まり、あの時と同じオープニング映像からあの時と同じ曲、あの時と同じ衣装に身を包んだ踊り子さんが出てきて、懐かしい気持ちになると同時に、意識は完全に「あの時」へ飛んでいってしまいました…。

 

もし、あの時のあのステージがなければ自分は今ストリップを、あの踊り子さんを好きでいなかったかもしれない、と思っているくらい特別な演目で。見始めた最初の頃は「また再演してくれないかな」なんて軽い気持ちで思っていたけれど、そんなにすぐに再演されるわけもない、と思っていたら、まさか1年半後に再演されるなんて。

 

自分にとってはファムファタの5景というより完全に祭音4景の再演で、見ていて楽しかったしやっぱり好きな演目だなーと思ったけれど、それ以上にあの時のことを思い出してしまったのです。

 

ストリップを見ていると演目や曲に本当に思い出がたくさんできて、他の踊り子さんで同じ曲が使われていたり、街中やテレビで演目に使われていた曲を耳にしたりしただけで、ステージの思い出がものすごくよみがえってきます。

 

今回に関してはよみがえってきたというか、自分の中にずーっとあった気持ちがまた出てきたみたいな感じで、もしかしたら自分はこの1年半、あの祭音4景の余韻に浸っていたのかもしれないなと思ったり。初めてのストリップであのステージを見られたのは本当に奇跡みたいな出来事だったなと思っていたけれど、自分でもこの演目にこんなに思い入れがあったのかってびっくりするほどで。

 

今回この演目を見るのが初めての人、あの時の演目にここまで思い入れのない人もたくさんいるだろうし、というかそういう人の方が圧倒的に多いだろうし、たぶんこんな気持ちになっているのは自分くらいなのかもしれないけど、特別って本当に特別なんだなって、改めて気付いたような気がします。思い出は、そんなに簡単に引っ張り出そうとするもんじゃないなと思ったり。

 

なんかモヤモヤした文章になりましたが、これがこのあいだファムファタを見にいって自分が考えていたことです。ファムファタ自体は想像していたより楽しい公演で好きな演目も多かったけど、まだその1回しか見ていないうえに、正直フワフワした気持ちで見てしまってちょっと消化不良なので、落ち着いたらまた見にいくつもりです。