亀井金融相が騒ぎ出したモラトリアム法案。
中小企業の借入金や個人の住宅ローン返済を3年程度猶予するというもの。
ただ目立ちたいだけのパフォーマンスにしては度が過ぎる。
真面目に言っているなら正気の沙汰ではない。
こんなことをすれば、金融機関はつぶれる。都銀など大手銀行はともかく、信用金庫や信用組合の融資は大部分が中小企業融資である。
日本の金融機能が滅茶苦茶になるであろう。
苦しくなる金融機関には公的資金を投入すると言うが、また税金を使うのか。財源などないであろう。
そもそも大臣の言う金融機関が貸し渋りしているという根拠は何か。
麻生政権は20兆円もの中小企業に対する政府保証枠で貸し渋り対策を行い、金融機関は中小企業融資を推進してきた。金融機関はノーリスクで儲けられるのだから、貸し渋りする理由などない。
政府保証枠は各県の信用保証協会で審査されている。政府の政策であるため、通常の銀行融資に比べかなり緩やかな基準で審査されている。
貸し渋りされていると言うような企業は、おそらくこの審査にも通らない、再建見込みのない企業である。そのような企業は救ってもまたいずれ行き詰る。
それに加え、モラトリアムを導入すれば、間違いなく貸し渋りが起こる。
儲からない先にお金を貸すようなお人好しな金融機関などないのは当たり前である。
3年程度猶予するという意味も不明である。
3年経てば返済できる保証がどこにあるのか。たとえ景気回復しても、中小企業の利益や個人の給料が上がる保証なんてない。
日本は資本主義国であり、貧しい者は形振りかまわず政府が救えばよいというわけではない。
このようにモラトリアムは、百害あって一理なしである。
間違った正義感をお持ちの目立ちたがり大臣には即刻退場してもらいたい。