商工ローン大手SFCGが民事再生法の適用を申請した。これは国(裁判所)がつぶしたと言っても過言ではない。背景には、近年、過払金返還訴訟において、相次いで借り手有利の判決が出されていることにある。SFCGに限らず、中小貸金業者はもちろん、アイフルなど大手業者も苦境に立たされている。


 恐喝まがいの取立てなどをマスコミが繰り返し報道したこともあり、世間では貸金業者=悪との感情が強い。もちろん債務者を自殺に追い込むような取立ては許されるべきではない。しかし、原則に立ち戻って考えてみると、借りた金は返すのが当たり前である。それを返さないから取立てがされるのである。


 基本的に借り手は銀行などからは借りることができないリスクの大きい借り手であるため、貸し手はそのリスクに応じて高金利をとる。債務者も契約に基づいて支払いを行う。債務者は少なくても契約時には支払いに同意しているはずである。最高裁はグレーゾーン金利の過払金返還を事実上認めたが、グレーということは法律上、黒とは言えなかったはずである。明らかにこれは国(立法)の不備である。それを突如として黒と認定し、消滅時効も事実上なくしてしまった。これは国による貸金業者つぶしと言わずして何というのか。


 貸金業で働く人も労働者であり、そこから得られるお金で生活し家族を養っている。それに貸金業者が果たす金融機能も見逃すべきではない。業績の苦しい中小企業や収入の乏しい個人にとって、最後の貸し手であることを忘れるべきではない。今後、貸金業者は危険な借り手には貸さないだろう。それにより資金繰りに行き詰った中小企業や個人の破産が増加するだろう。


 邪推であるが、これにより得をする業態がある。そう、弁護士である。最近、「債務整理します」といった弁護士の広告をよく目にするようになった。法曹改革により弁護士も増加傾向にあり失業する人も出ていると聞くが、過払金返還訴訟や自己破産訴訟が増えれば、弁護士の失業も減るのではないか。最高裁がああいう判決を出すことで、弁護士の仕事を増やしているなんて考えたくもないが…