今回のテーマは「駿河の国の見どころ」。
前回は「旧マッケンジー邸」を訪ねた。
今回は「駿河一国33ヶ所 観音霊場巡り」について。
3ヶ月ほど前に「駿河の国で寄り道」の記事で「安倍七観音」を巡った。
その際にその寺に「駿河一国33ヶ所 観音霊場」とも書かれていたので調べてみた。
奈良時代前期に「行基」によって創られた「安倍七観音」
ほぼ同じ年代に関西で33ヶ所を僧が行脚したのが巡礼の始まりとされている「西国三十三所霊場」。
「四国88所遍路」は平安時代以降のことなので歴史が浅い。
霊場として寺巡りが庶民に広まったのは江戸前期。
霊場として代表的なのが「西国」「坂東」「秩父」の霊場で、併せて百観音霊場と称されている。
「駿河一国33ヶ所 観音霊場」も江戸前期から始まったとされているので見劣りするものではない。
四国遍路も江戸前期から庶民に広まり始めた。
全国に数多くの観音霊場を巡礼する風習があるが歴史が浅いものが多い。
そんなことから「駿河一国33ヶ所 観音霊場」は歴史的にも由緒ある霊場のようだ。
この「駿河一国33ヶ所 観音霊場」は前述のとおり江戸時代前期に始まった。
第1番 真言宗 音羽山 清水寺 藤枝市原6-1
本尊は「千手観音」で「安倍七観音」と同じ「行基」作と言われていて、寺の創建は奈良時代前期。
第2番 天台宗 池沢山 東光寺 島田市東光寺557
本尊は「千手観音」、創建は平安時代。
第3番 天台宗 千葉山 智満寺 島田市千葉254
本尊は「千手観音」、創建は奈良時代で修験道の霊場である山岳寺院
第4番 曹洞宗 公峰山 清林寺 藤枝市高柳2425
飛鳥時代の705年に創建。本尊は「聖観世音菩薩」 イボ取で有名な寺院。
第5番 曹洞宗 竜地山 洞雲寺 藤枝市藤枝5-2-28
本尊は「如意輪観音」
創建は奈良時代。室町末期に中興した。
第6番 天台宗 村岡山 万願寺 藤枝市群726-1
山号を「村岡山」と称する廃寺となった天台宗寺院。本尊は「聖観音」
第7番 曹洞宗 普門山 補陀洛寺 藤枝市花倉1038
725年に行基が開いた、70年に1度の本開帳となる秘仏の「行基」作の「馬頭観世音菩薩」を安置する。
第8番 曹洞宗 谷川山 梅林院 藤枝市桂島964
神入寺だった観音堂に、子安観音(聖観音)と薬師如来の2体の木喰仏がある
第9番 曹洞宗 普門山 観音寺 藤枝市下当間1099
梅林院が管理する無住の寺。「聖観音」
第10番 天台宗 高草山 法華寺 焼津市花沢2
本尊として「行基」作と伝わる秘仏の「千手観音」を祀っている。
「安倍七観音」と同じく「行基」作と伝わる秘仏が志太地域に多く存在していた。
第11番からは静岡市内の寺院が続く。
次回「駿河の国で寄り道(19)」では
「駿河一国33ヶ所 観音霊場」の続き。