4月12日、Cheeky Paradeの解散が発表された。

 

 

 

 

詳しい解散の理由は明らかになっていないが、先日の配信番組での樋口Pの発言から察するに、おそらくチキパも赤字だった…あるいは満足な収益を出す見通しが立たなかったのだろう。

 

要は、数字を残せなかった、結果を出せなかったという事である。

 

こうなってしまった原因は一体どこにあるのか?

 

運営のプロデュースやプロモーションが足りなかった?

メンバーのアイドルとしての資質やパフォーマンスのせい?

ファンが新規ファンの入り易い雰囲気を作れなかったから?

 

もっと言えば、時代のせいかもしれないし、経済のせいかもしれない…人のせいにしようと思えば、いくらでも出来るのである。

 

敢えて言えば、関わってきた全ての人間に責任はあるのだろう。

 

だが、1人1人の責任を問うたところで、それは不毛というもの。

 

故に、“解散は誰のせいでもない”と、私は考えるのだが如何だろうか?

 

 

 

 

 

・運営叩きへの違和感

 

今回のチキパに限らず、グループの解散が発表されると、叩かれがちなのが運営だ。

 

だが、前述した様に、解散の責任が必ずしも運営だけにあるとは考えられない。(中には運営の責任で解散するケースもあるのだろうが)

 

なので、一方的に運営を批判する態度には違和感を覚える。

 

例えば、元GEMの村上さんはチキパの解散発表直後に、こういうツイートを投稿した。

 

 

 

 

 

後述するが、村上さんの言い分にも一理はあるだろう。

 

しかし、彼女の発言には自分達の責任、グループとして結果を残せなかった事実が排除されているのである。

 

そういった視点を無視して、一方的に運営側を批判するのは、いささかアンフェアなのではないだろうか?

 

 

 

こう書くと、Twitter上の140文字では伝え切れなかったと反論されるかもしれない。

 

だが、このツイートがまとめサイト等に転載されると、彼女は「すごいやん すぐニュースにするやん は〜〜生きずれぇ〜〜〜」というツイートを投稿した。(現在削除済み)

 

ここから村上さんの自分の発言の責任すら放棄する姿勢が窺い知れる事だろう。

 

メンバー1人1人の気持ちを汲まない大人は、確かに怖くて汚い存在なのかもしれない。

 

だが、自らの責任を負わず、自分勝手な発言を繰り返す子供もまた、怖くて汚い存在なのである。

 

 

 

 

 

・チキパに思う事

 

そういった意味では、チキパ島崎さんが更新したブログには深い感銘を受けた。

 

 

 

 

彼女はこの中で、「色んな人たちの意見がある。色んな責任があるのも分かってる。」と記しており、自らの責任にも言及している。

 

その上で、解散を覚悟していたという事…覚悟していても尚、解散が悔しい事を素直に綴っているのだ。

 

 

 

思えば、最近のチキパは“ステージに立ち続ける事”を信条に活動していたし、自分達で作詞に挑戦したりもしていた。

 

 

 

 

 

昔のチキパはどこか大人の顔色を伺いながら活動していた印象があったが、当時と比べれば、非常に主体的、実存的に活動していた様に思う。

 

大人に言われてやるのではなく、自分達の意思で活動するのだという、メンバーの強い気持ちを感じる事が多かった。

 

それだけに今回の解散通告には、ただのグループ解散以上の、自分達の信念や人生そのものを否定されたかの様な悔しさがあったのだろう。

 

 

 

だが、それだけの悔しさを味わえるという事は、ある意味では幸せな事でもある。

 

現在、数多くいるアイドルの中で、自分達の人生を賭けるに値すると思えるグループと出会えたアイドルは、一体どれだけいるのだろうか?

 

そう思えるグループに出会えた事、そして、そう思えるまでのグループに育て上げた事を彼女達は誇りに思っていい。

 

 

 

確かにグループは解散する。

 

しかし、色んな裏切り、疑心、喪失がありながらも、いよいよ終わりが近づいていると分かっていても、彼女達は決して自らがギブアップする事はなかった。

 

その不屈の魂と共に、どうか今感じている悔しさを、今後の人生の糧にしてくれる様、願うばかりである。

 

 

 

 

 

・不可解な運営の対応

 

話は変わって、前述した島崎さんのブログで引っ掛かるのが、「私たちもまだ、曖昧で不確定な情報しか分からず、すぐに皆様へしっかりとした説明を出来ないのがもどかしくもあり、申し訳ない気持ちで一杯です。」という部分だ。

 

解散発表までしておいて、未だに本人達も解散の理由が分かっていないのだろうか?

 

また永井さんのツイートには、「どんだけ訴えても理解してもらえない屈辱さ。」という一文がある。

 

 

 

 

この一文からも、彼女達が解散に納得していない事が伝わってくる。

 

ここから推測されるのは、メンバーへの説明やコミュニケーションを疎かにして、一方的に解散を突き付けたであろう運営の対応だ。

 

これに関しては、前述した村上さんの意見にも一理がある。

 

解散という結論は変えられないにしろ、そこに至るまでの経緯を変える事は出来たのではないだろうか?

 

少なくとも運営はメンバーが納得するまで、時間を掛けて話し合いをするべきだったし、採算面以外の解散理由を模索し、ファンが解散を受け入れ易くなる様な道筋を立てるべきだった。

 

そういった努力と配慮を怠り、断罪的な対応をした運営は非難されて然るべきだろう。

 

 

 

しかし、どうにも解せないのが、今回の運営の性急な行動である。

 

GEMの解散から一ヶ月も経っておらず、チキパはGEMの様にメンバーが問題を起こしたわけでもない。

 

ましてや、6月には留学メンバーが帰ってくる算段だったはずで、どうして、この直前で解散を決めてしまったのか疑問が残る。

 

 

 

話は変わるが、突然の人事に驚かされたという意味では、最近だとサッカー日本代表ハリルホジッチ監督の解任劇があった。

 

ハリルもまた、W杯本番まで2ヶ月という時期に突如として解任され、その背後にはお金やビジネスの影響が囁かれている。

 

チキパに起きた事と、似ていると感じるのは私だけだろうか?

 

 

 

 

 

・日本サッカー協会の思惑

 

サッカーに詳しくない方もいると思われるので、ここで一旦ハリルに起こった事を説明しておく。

 

まず前提として、ハリル率いる日本代表は人気がなかった。

 

それは監督の志向する守備的なサッカーが退屈であったり、守備的なサッカーを実践するにあたって有名な人気選手を外した事などが原因として挙げられる。

 

監督の手腕の是非はともかく、スタジアムには空席が目立ち、視聴率が低下してしまった事は事実だ。

 

そういった状況下で、もしもW杯でハリルが結果を出してしまったらどうなるか、想像してみて欲しい。

 

ハリルのサッカーの正当性が証明されてしまい、サッカー協会は守備的サッカー路線を継続せざるを得なくなるだろう。

 

負けて方向性を変えるのはともかく、勝って方向性を変えるというのは、論理性を欠く判断になるからだ。

 

そして、ハリルが続投する事はなくても、彼の様な厳しい外国人監督が必要だ…という世間の論調も強くなるだろう。

 

人気だけを考えれば、日本人選手を褒め称えてくれる日本人監督を据えた方が、ナショナリズムを高揚させて良いかもしれない。

 

 

 

つまり、例えW杯で結果を出したとしても、ハリル路線を継続する事になったら、代表人気が復活する見通しはないという事だ。

 

日本代表はW杯後の9月~11月に6試合もの親善試合を組んでいるのだが、現状の代表人気のまま、この興行を迎える事態はどうしても避けたかったのだろう。

 

だからこそ、この本番まで時間がないにも関わらず、監督解任に踏み切ったのではないだろうか。

 

日本サッカー協会はハリルの勝利こそを最も望んでいなかった…いささか暴論ではあるが、そういった仮説も成り立つのである。

 

 

 

 

 

・エイベックスの思惑

 

一方で、エイベックスだ。

 

まず前提として、最近のエイベックスは業績が良くない。

 

CD等のパッケージビジネスは依然として不振のまま、頼みの配信ビジネスも光明を見出せずにいる。

 

dTVは苦戦しUULAはサービス終了、昨年にはゲオチャンネルのサービス終了が発表された。

 

そういった状況を考えると、エイベックスとしては採算性の悪い部門は早くに見切りをつけ、人的・金銭的リソースを別に回したいという考えがあるのだろう。

 

チキパを活動規模や予算の縮小といった方向での継続ではなく、解散という道を選んだ事からも、彼らの意思は明らかだ。

 

 

 

そんな中、留学生が帰ってきたらどうなるか?

 

一時的にしろ話題にはなるだろうし、動員や収益も上がるだろう。

 

そうなったら、エイベックス側が解散の理由として上げた、採算性という名分が揺らいでしまう。

 

少なくとも、今よりは解散し難い空気になっていたに違いない。

 

つまり、エイベックスとしては留学生の帰国こそを最も望んでいなかった…という事も考えられるのである。

 

 

 

 

 

・協会とエイベが失ったもの

 

今回のハリル解任には多くのサッカーファンが失望を露にした。

 

別に全てのサッカーファンがハリルを支持していたわけではない。

 

「ハリルならW杯で絶対に勝てる」、そう思ってた人間はむしろ少数派だろう。

 

だが、そういった期待はなくとも、日本の守備的なサッカーがどこまで通用するのか、興味を持っていた人間は多かったと思う。

 

そして、その結果をベースに今後の日本代表の強化が行われる事を、全てのサッカーファンが望んでいた。

 

しかし、そんなサッカーファンの楽しみや希望は、脆くも崩れ去ったのである。

 

 

 

エイベックスにしても同じだ。

 

留学生が帰ってきたからといって、各グループが爆発的な人気を獲得すると期待していた人は少なかっただろう。

 

だが、留学生が各グループにどんな影響をもたらすのか、少なくとも私はアイドルファンとして興味を持っていた。

 

また、エイベックスにしても、留学生がどう市場に受け入れらるのか、マーケティングデータを取るには絶好の機会だったはずである。

 

サッカー協会にしろ、エイベックスにしろ、今回の一件で大きく信用を失った事に間違いはない。

 

 

 

 

 

・最後に

 

さて、ここまでサッカー協会とエイベックスを比較しながら語ってきたが、両者には決定的に違う点が1つある。

 

それは、サッカー協会はサッカーを止める事は出来ないが、エイベックスはアイドルを止める事が出来るという事だ。

 

サッカー協会はハリルに代わる新しい監督を発表したが、エイベックスからGEM・チキパに代わる新しいアイドルが発表される動きは…ない。

 

 

エイベックスはアイドルのプライオリティーが低い企業だと、長年言われ続けてきたが、今回の解散劇はエイベックスのアイドル事業撤退宣言でもあるのかもしれない。

 

もう続ける気がないからこそ、ブランドイメージを著しく傷つける様な解散を断行出来たのではないだろうか。

 

 

iDOL Street発足から約7年。

 

曲がりなりにも続いてきたこの道も、いよいよもって途絶えてしまったのである。