(「マッサージチキチキ」からの続き)

 

 崖南鎮府の1階にはやはりレストランがあり、カラオケは2階にありました。

 

 そこの一室に通されたのですが、カビ臭く、薄暗い照明です。しかも、蚊の多い事(蠅も飛んでいました)。それを殺虫剤で退治してくれましたが、「ここで歌うんか~い」。

 

 暫くすると一人の女の子がやって来て、小李とイチャイチャ。「なるほどね」と独りごちていると「○○さんは呼ばないだか」「僕はいいよ」「それなら僕もいいだよ」。

 

 女の子が帰ろうとするので「ちょ、待てよ(何でキムタク風なんだ)、あの子の友達でも呼んでくれよ」。小李がこの女の子に会いに来た事は一目瞭然です。野暮な事は出来ませんよね。

 

 私の相手として連れて来られたのは、何と「如何見ても中学生やんけ」。「身長150㎝すらないやろ、一体どうなってるんだこの店は、いや崖南鎮政府は一体何考えてんだ・・・」。

 

 そんな事お構いなしに、小李と阿芳(小李のお気に入りの女の子)は二人の世界に浸っています。横を観ると中学生が借りて来た猫の様にちょこんと座って固まっています。

 

 ビールと御つまみが運ばれてくると、中学生がビールを注いでくれたのですが、心なしか手が震えている様な。客が付いたの初めてなんかい。

 

 私の心を読んだのか、阿芳が「この子来て2ヶ月しか経ってないから客がまだ付いてないんです」「そうなの、僕が初めての客」。私は中学生に「よろしくね」と言ったのですが・・・。

 

 しかし、中学生はそのまま固まってしまいましたとさ(なんでやねんプンプン)。

 

 「オイオイ、如何すればいいの、俺・・・」。

 

 化粧もせず、肩まである黒髪を後ろで結わえ、白の上下スウェットに身を包み、胸の辺りには、大きく 「 香 港 」 と書かれています(香港返還の1年前で流行っていました)。

 

 私と香港の周りだけ重苦しい空気が漂っています。「兎に角、どげんかせんと」と想い、「君の名前は何て言うの」と聞くと、もじもじしながら、か細い声で 「・・・」 「何」 「・・・」

 

 「ごめん、紙に書いて」「阿麗」。「阿麗って言うの、綺麗な名前だね」と言うと、はにかみながらも、ちょっとニコッとほほ笑んだ様に見えました。「何処から来たの」 「・・・」 「何」 「・・・」

 

 「ごめん、紙に書いて」「湖南」。「湖南省から来たのか」。私はリュックから地図を出し(私は海外に行く時は必ず現地の地図を持って行きます)。「湖南省の何処」と聞いたのですが・・・。

 

 どうも自分の生まれ育った場所が良く解っていない様子です。「中学生には無理か」と想いつつ、「兄弟は」 「 ・・・」 。上に兄が二人いるのだと聞きだす事が出来ましたが、「虚しい」。

 

 知らない人が見たら、補導された女子中学生を尋問している警官ですよね。「カラオケに来て何してんだ俺」と想い「歌おうかな」と言うと、楽曲リストを持って来ましたが、「しょぼい」。

 

 歌える曲を探していると、阿麗は意を決した様に「你是日本人吗(日本人ですか)?」「対、是日本人(はい、日本人です)」と答えると、更に身を固くして固まってしまいました。

 

 中国では日本人をどんな人間だと教えてるんだい(極悪非道の好色人種と教えているのさグラサン)。なんだそ~なんだって何でやねん。「馬鹿にするのも大概にせ~よ・・・」。

 

 こんなところで中学生を働かせてる方がよっぽど酷いんじゃないんかい。「江〇民よ、そこに直れ、この俺が叩き斬ってやる」と心で叫ぶのでした(心でなグラサン)。

 

 楽曲リストをペラペラしていると、「お、これなら歌えるべ・・・」。私が選んだのは鄧麗君(テレサ・テン)の「我只在乎你」(日本では「時の流れに身をまかせ」)。中国でも人気です。

 

 「よ~し、中国語で歌って驚かせてやるぜ、Baby」(何言ってんだかプンプン)。

 

(つづく)

 

 

 

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白楽雲

 

 

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