剛性って高ければ高いほど良い。
これってクルマにも言えますし、自転車にも言えます。
クルマの場合は、ボディ剛性はマジに高ければ高いほど良い。
重量の問題があるので、狙った車重で高い剛性を出さないといけないのでそのバランスが難しい。
あと、ステアリングまわりとホイール保持剛性も大事。
翻って自転車はどうでしょう。
剛性は低いよりは高い方が良いですが、いたずらに高すぎる剛性ってどうなんでしょう。
剛性バリバリのフレームに乗った事がないからわかんないですけれど、試乗した範囲ではドグマやヴェンジやEmonda SLR、Madone SLRくらいしか経験ないですけれど、剛性はもちろん高い。
高いんですけれど、雑誌や様々なネット記事で見るほど「脚を削るほど剛性が高い」って事もなく、またバンバンに高い剛性からくる乗り心地の辛さも無いです。
(それはタイヤに起因する要素が非常に大きい気がしますけれど。)
どのモデルも様々な特徴と、得手不得手みたいなところはあるんでしょうけれど共通して感じるのが「踏むと進む」
この「踏むと進む」と、文字にすると非常に陳腐な表現になっちゃうんですけれど、この単純な「踏むと進む」という効率の次元が違います。
よく速いクルマに乗ると例えとして「後ろから蹴とばされるような加速」と表現されますが、まさか自分の脚で漕ぐ自転車でそれを感じるとは思いもしませんでした。
表現が大袈裟かも知れませんがw
今まで乗ってたロードバイクって一体何だったんだ?
と思わず思っちゃったくらい、クランクを回した時に進む効率が段違いに凄いんです。
私が乗っているAllez sprint comp discやEmonda SL5 2018も、BBを中央嵌合式の剛性があがるBBやクランクをアルテグラへアップデートしたりして、パワー伝達効率が純正セットよりも上がり「むっちゃ進むようになった!」と感じていた状態でもこの差です。
試乗したMadoneSLR6に関しては、ホイールがハイエンドモデルじゃなくBontrager Aeolus comp5 discですよ。
このホイールはリムだけ使用して、スポークをSapim CX-RAY、ハブをDT350sなどでアップデートしたホイールをEmonda SL5 2018で使用しています。
ノーマルcomp5よりもより進む状態にカスタムしたホイールで経験しています。
そんなカスタムして純正より回る上に伝達効率もスポークの性能アップなど含めて良くなっている状態のemonda SL5よりも、Madone SLR6はもっと気持ち良く、しかも重いホイールなのに軽快に走るのです。
これには驚きました。
Roval Rapide CL50 discを組んだAllez sprint comp discよりも速いんですよ。
しかも軽い力で回していて到達する速度が高い。
フレームでこんなに変わるのか…と衝撃を受けました。
また現行のEmonda SLR9eTAPにも試乗した事がありますが、こちらもケタ違いの速さと楽さでした。
何を言ってるんだ?と思われるかも知れません。
五月山と妙見山を登って北摂を走りまくってきて帰ってきた、ヘロヘロの状態で乗って巡航40km/hが楽に出せるんですよ。
Emonda SLR9eTAP 2021
試乗した後、同じ試乗コースをEmonda SLR9eTAPよりも力いっぱいぜぇぜぇ言うほどクランク回して、Allez sprint comp disc(Rovalセットした状態です)で出せた速度は36km/hでした。
疲れているからこそ、良くわかる試乗でした。
恐らく脚がビンビンに残っている状態で試乗しても、そのすばらしさはわかるかも知れませんがここまでの差を感じる事は難しかったかも知れません。
前置きが長くなりましたが、ブログタイトルに戻るのですが「剛性」
自転車って剛性高いほど良いんでしょうか。
一定以上の剛性の高さは必須だと思います。
しかし、それ以上の剛性って要るのでしょうか。
Roval Rapide CL50 discは、割といい剛性が出ています。
ミドルグレードの割に。
これで距離乗っても、不思議と疲れにくいんですよ。
ロヴァールのホイールはヌルイと言われる方もいらっしゃいます。
確かに少しヌルイのかも知れません。
しかし、それをキンキンに張ってどんなメリットがあるのか。
足回りが必要以上に堅い車を想像してください。
その堅いアシ組んだ車で、必ずしもサーキットで最速ラップタイムを記録できるでしょうか。
クルマの場合はそうじゃないですよね?
クルマをやってる人ほど、その愚かさを知っておられますよね?
じゃあ、なんで自転車のホイールって剛性・剛性って言うんでしょう。
ホイール自体の剛性が高くたって、タイヤの空気圧抜いて走れば一緒ですよ。
タイヤの剛性が支配的になってホイールの剛性が活かせません。
じゃあ、タイヤの適正空気圧とは?
自身の体重とホイールの剛性に合わせて適宜空気圧をホイールセット(とタイヤの幅など)に合わせて空気圧を変えておられますか?
このホイールは堅いけれど跳ね気味だから空気圧は少し抜いてる…とかないですか?
それなら、適正空気圧に設定したタイヤ(のバネ特性)と一体になって上手く良い意味で撓るホイールの方がバランス良いんじゃないでしょうか…。
こんなん言い出すと難しいんですけれど、極限まで詰めた考え方をするならば、クルマのレーシングカーと同じく乗り手の体重やドライビングスタイルに合わせて前後左右のサスセッティングと空気圧セッティングを変えてレースに挑むのと同じで、自転車のホイールは突き詰めると乗り手の体重とライドスタイルと装着タイヤ特性に合わせて、1輪1輪スポークテンションから全て変えないと本来はダメなはずです。
スポークの張り方も…というか、編み方も変えないとダメなはずです。
そこで完組ホイールが若干ハタから見て多少アホな組み方をしていても、最高峰の世界選手権で優勝するような機材は本当にダメなホイールなんでしょうか。
パワーと耐久力の権化みたいなプロ選手の出力を250km以上もの距離をレーススピードと負荷の中で受け続けているんですよ、そのホイール。
要するに、もうちょっとわたしの言いたい事を簡単にまとめると「あえてそうしているんじゃないだろうか」という考え方もあるんじゃないのかな?と素人ながらに思います。
少しヌルイと感じちゃうフィーリングは、確かにいかんともしがたい問題ではあると思います。
それを自分の納得する「堅さ」まできっちりと組み上げるのも趣味の世界と実際に試してみないとわからない世界があるので否定もしません。
ですが、特定の狭いコース(クルマでいうならサーキット)みたいなところで、1点勝負で速さを求めるなら確かにそういうカスタムもアリですけれど、趣味で乗るような我々の場合は様々な場所をそれなりの距離で走ります。
また、同じコースでも路面コンディションは常に違う場合もあります(雨天や砂利が浮いていてグリップがいつもより違う、以前よりも路面が荒れている…など)
剛性を求めて堅くなる事で、そういう場面で実は乗りやすさや速さを捨てている場面が「ノーマルより増えていた」場合は、それはダメだと思うのです。
そこがカスタムの難しさ。
クルマでもありますものね。
サーキットでタイム出せるようにチューンナップした。
(やったらアカンけどw)その代わり、峠ではクルマが跳ねて以前なら踏めてたところで踏んでいけない…
というような結果です。
全方位で速くなる。
なんてクルマの世界だと「嘘」ですからね。
何かを捨てて、何かを拾っているだけです。
例えば、走行性能の面だけで言えば全方位で純正より速くなるケースはあるでしょう。
その代わりに捨てている性能としては、メンテのわずらわしさや快適性や静粛性を捨てていたりしているでしょう。
燃費も捨てているかも知れません。
要するに、全方位でクルマとしての総合性能が上がるチューニングは、できたとしても非常に難易度が高いハナシで相当無理があるのはおわかりでしょうか。
そんなのメーカーにしかできません。
なのでわたしは最近思うのです。
Bontrager Aeolus RSL37やRovalを経験して思うのが「ホイールって剛性はもちろん大事だけど、剛性や堅さだけじゃないのでは…」と思いました。
そこで、次に疑問に浮かぶのが
じゃあ、何のホイールが一番良いの!?
それは乗り手の体重やパワーにもよるでしょうし、装着するタイヤ銘柄にも左右されるでしょうし、もっと言えば自分が選ぶどのフレームセットに乗るのか…にも影響されて答えは変わるでしょうね。
なので、今度納車予定のMadone SLRが手に入ったら…
最初はProject Oneで発注したRSL37で一通り経験してみたら、予算が許せばですけれどわたし自身が興味を持つホイールを徐々に増やしていって、いろいろ試して自分の中でのモノサシを増やそうと思います。
一番興味があるのはPriceton carbon WorksのWAKE6560です。
次に興味があるのはCampagnolo製ホイールとFulcrum製ホイール。
現行のRoval Rapide CLXも興味があります。
全部試すとエグい金額になっちゃいますけれど、そこは時間をかけて徐々に増やしていければなあ…と思います。
DT SWISSのPRC1100 Dicutも興味ありますねw
まぁどこまで買えるかわかりませんけれど…。
せっかく一生続けられるだろう良い趣味を見つけたので、身体を鍛えるのはもちろんですが機材を楽しむスポーツでもあるので、機材の方もどんどん楽しみたいと思います。